マージャッピ(共通語)

概要

川平の漁師で父の友達だったお爺さんは、いつも夜になると崎枝の今海老の養殖しておるところに舟を出して魚釣りに行かれて、四箇へ向かって右側の方のずうっと先の屋良部崎の近くを漁場にしていたらしいですね。それで川平の海水浴場の船着場から明るいうちに舟を出して行って、そこに着いて魚を釣っていたら、その日は、日が暮れたら山の上におる梟(ふくろう)がきて舟の前に座った。「とう、これは何かの前兆だ。ここにおったら命を取られるかもしらん。帰ろう。」とそのまま帰ってきておるです。何日か後、同じ所で一時間待っても二時間待っても魚が釣れないから、「引き上げて帰ろうかな。」と思っていたら、釣れたらしいんです。「さあ、今だ。」と餌をつけて投げるとまた釣れて、次から次に矢継ぎ早にどんどん釣れたらしいです。 喜んで釣り上げておると、急に途絶えた。餌が無いのかなと手繰って針をみたら、昔は女の髪の抜けたのをたくさん集めて、これをきりきりきりきり丸めたのを板に挟んで田んぼに持って行って置いて、それを焼いた匂いで、猪が来ないようにしていたんです。その髪の毛を巻いたのがかかったらしいです。「あれ、これどうも変だな。」と思って、それを外して餌をかけて下ろすと、今度は陸におる蛙が釣れた。さあ、「海の中に蛙がいるということはどういうことか。」と不思議に思ったから、竿を上げて、「沢山釣ったから煙草(たばこ)を一本吸って帰ろう。」と思っていたら、このテレビ塔がある山からぱっと火が出たらしい。「あら。」と思ったら、すうっと山から海に下りてきて水面をまたすうっと来て舟の舳先に、その火かぶっかってきたらしい。その火は舟にぶっつかっるとくり舟ですから両方に分かれて舟の両側から、ずずずずっとこの爺さんの股のところに来るらしいです。祖父さんは悲鳴交じりで、櫂で水をひっかけて、「何者だ貴様。」と怒鳴ると、またすうっと丸くなって今度は屋良先崎の方へ行ったらしいです。「ああ、こんなこともあるのか。また来たらどうしようか。今錨上げて逃げても多分逃げられないだろう。これは大変だ。そうだ。山刀も火縄も持っておる。よし、今度来たら山刀で切って、火で焼いてやろう。」と右手には山刀、左手に火をつけた火縄を持ち構えておったら、また火が来て気味悪く接近するとまた同しようにここにぶつかってきたから、「まず、山刀で切ってみよう。」と思ったが、怖くて火縄をふっと吹いたら、ぱっと火が起こった。するとその火の玉は今度鳩間島に逃げて消えてしまってそれっきり来ないからですね、「はあ、何十年間も海に来ておるが、こういうことは初めてだ。」とやっと手を洗って、煙草(たばこ)を吸うていたら、昔は後で廃村なった崎枝もあって、そこから、鶏の鳴き声が聞こえた。「ああ、夜は明けた。」と、それから錨を上げて帰って来られたと。それから、その爺さんは、家に帰ったら、そんなえらい目に遭ったから、病気になって、頭髪の毛が抜け落ちた。あれだけ熱があったから、マラリアじゃないですかね。「ああ、この人はあの世行きだな。」と思っていたら、そうじゃない。元気になったが、その家の人は、「もう爺さんは海には行かれないでしょう。」と言うと、「そうじゃない。今度は長い竿を持って行って来たら叩くよ。」と言って、この爺さんはうちの父と親友でしたから、またうちの父と一緒に海に行ったらしいです。次の日の朝、私が早く起きておるとすっごい魚を四匹担いで来られると私の家で下ろして、「はい、二匹は今晩あんたのお父と僕とで食う。この二匹はお前ら食べれ。」と二匹の大きな魚を置いて行った。マージャッピというのは川平の湾の向こうの真謝バナリという小島に今も立ってるらしいですよ。そのマージャッピは海で友達になったら、一緒に魚も沢山獲ってくれるというような話はありますけんど、「マージャッピ、マージャッピ。」と言ったら怒るから、マージャッピという差別はしないで、友達と意味の方言で、「友達(とぅーらー)、友達(とぅーらー)行こう。友達(とぅーらー)一緒に行こう。」と親密に話をすれば、人間を信用して魚も獲ってくれるというようなことです。その姿は子供じゃなくて普通の人間の大人の大きさだそうです。もっとも昔はそんなことがあったかもしれけど、私は何回も海に行ってもそんなことありませんですね。だから、人間と一緒に魚を獲るマージャッピを見た人は一人もいないんじゃないですか。このマージャッピは魚の目玉を取って食べると言いますが、それはそうじゃない。昼、海に行くと死んで魚が浮いてきておることがある。それを見て行って、帰って来る時に見ると目玉がなくて小さい魚が集まっておる。魚の皮は堅いけど目は小さい魚でも取って食える。だから小さい魚が魚が群がって取っておるですよ。それを見たから、「ああ、これはマージャッピが魚の目玉とると言うが、そうじゃないんだな。」と思いましたよ。マージャッピは、魚を食う鳥のくちばしに夜光虫がいっぱいついて、その鳥が飛ぶと、その夜光虫がマージャッピの様に見えるという人がおります。その鳥が飛んで行く時に、七羽も八羽も群れて飛んで行くから一つになったり、八つになったり、十になったりすると言うんです。僕たちが海に行くとき、夜で危険性ですから、一人ではなかなか行かない。友達と二、三名一緒に組んで行きますよね。海に行っていつも休んでる所に火を焚きつけて、潮時を待っておると、岸の上に一つぽかんと火がある。やっぱり薄い火ですよ。だから、「マージャッピがいる。」と言うと、「どこにある。」と言うから、「これはマージャッピじゃない。鳥のくちばしについた夜光虫だ。」「いや、そうじゃない。」と言って、そうだ、そうじゃないと言っているうちに、四、五名のみんなが、「じゃあ、鳥のくちばしについた夜光虫なら、手を叩いてみんなで大声を出してみよう。そうすれば分かるだろう。」と言って、みんなで手を叩いてみんなで大声を出すと、見事にサギが飛んで行ったですよ。明るい光りのマージャッピが一つから、四つも五つもなるというけれどもですね、あれは別で、あっちこっちに火事を起こすのは子供の姿をした火玉じゃないですか。

再生時間:8:11

民話詳細DATA

レコード番号 47O340321
CD番号 47O34C023
決定題名 マージャッピ(共通語)
話者がつけた題名
話者名 喜舎場兼次郎
話者名かな きしゃばけんじろう
生年月日 19040113
性別
出身地 沖縄県石垣市字川平
記録日 19960321
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市字川平 T59 B02
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12,20,30
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 八重山諸島民話集 P204
キーワード マージャッピ,ピダマ,海,蛙,サギ,魚の目玉
梗概(こうがい) 川平の漁師で父の友達だったお爺さんは、いつも夜になると崎枝の今海老の養殖しておるところに舟を出して魚釣りに行かれて、四箇へ向かって右側の方のずうっと先の屋良部崎の近くを漁場にしていたらしいですね。それで川平の海水浴場の船着場から明るいうちに舟を出して行って、そこに着いて魚を釣っていたら、その日は、日が暮れたら山の上におる梟(ふくろう)がきて舟の前に座った。「とう、これは何かの前兆だ。ここにおったら命を取られるかもしらん。帰ろう。」とそのまま帰ってきておるです。何日か後、同じ所で一時間待っても二時間待っても魚が釣れないから、「引き上げて帰ろうかな。」と思っていたら、釣れたらしいんです。「さあ、今だ。」と餌をつけて投げるとまた釣れて、次から次に矢継ぎ早にどんどん釣れたらしいです。 喜んで釣り上げておると、急に途絶えた。餌が無いのかなと手繰って針をみたら、昔は女の髪の抜けたのをたくさん集めて、これをきりきりきりきり丸めたのを板に挟んで田んぼに持って行って置いて、それを焼いた匂いで、猪が来ないようにしていたんです。その髪の毛を巻いたのがかかったらしいです。「あれ、これどうも変だな。」と思って、それを外して餌をかけて下ろすと、今度は陸におる蛙が釣れた。さあ、「海の中に蛙がいるということはどういうことか。」と不思議に思ったから、竿を上げて、「沢山釣ったから煙草(たばこ)を一本吸って帰ろう。」と思っていたら、このテレビ塔がある山からぱっと火が出たらしい。「あら。」と思ったら、すうっと山から海に下りてきて水面をまたすうっと来て舟の舳先に、その火かぶっかってきたらしい。その火は舟にぶっつかっるとくり舟ですから両方に分かれて舟の両側から、ずずずずっとこの爺さんの股のところに来るらしいです。祖父さんは悲鳴交じりで、櫂で水をひっかけて、「何者だ貴様。」と怒鳴ると、またすうっと丸くなって今度は屋良先崎の方へ行ったらしいです。「ああ、こんなこともあるのか。また来たらどうしようか。今錨上げて逃げても多分逃げられないだろう。これは大変だ。そうだ。山刀も火縄も持っておる。よし、今度来たら山刀で切って、火で焼いてやろう。」と右手には山刀、左手に火をつけた火縄を持ち構えておったら、また火が来て気味悪く接近するとまた同しようにここにぶつかってきたから、「まず、山刀で切ってみよう。」と思ったが、怖くて火縄をふっと吹いたら、ぱっと火が起こった。するとその火の玉は今度鳩間島に逃げて消えてしまってそれっきり来ないからですね、「はあ、何十年間も海に来ておるが、こういうことは初めてだ。」とやっと手を洗って、煙草(たばこ)を吸うていたら、昔は後で廃村なった崎枝もあって、そこから、鶏の鳴き声が聞こえた。「ああ、夜は明けた。」と、それから錨を上げて帰って来られたと。それから、その爺さんは、家に帰ったら、そんなえらい目に遭ったから、病気になって、頭髪の毛が抜け落ちた。あれだけ熱があったから、マラリアじゃないですかね。「ああ、この人はあの世行きだな。」と思っていたら、そうじゃない。元気になったが、その家の人は、「もう爺さんは海には行かれないでしょう。」と言うと、「そうじゃない。今度は長い竿を持って行って来たら叩くよ。」と言って、この爺さんはうちの父と親友でしたから、またうちの父と一緒に海に行ったらしいです。次の日の朝、私が早く起きておるとすっごい魚を四匹担いで来られると私の家で下ろして、「はい、二匹は今晩あんたのお父と僕とで食う。この二匹はお前ら食べれ。」と二匹の大きな魚を置いて行った。マージャッピというのは川平の湾の向こうの真謝バナリという小島に今も立ってるらしいですよ。そのマージャッピは海で友達になったら、一緒に魚も沢山獲ってくれるというような話はありますけんど、「マージャッピ、マージャッピ。」と言ったら怒るから、マージャッピという差別はしないで、友達と意味の方言で、「友達(とぅーらー)、友達(とぅーらー)行こう。友達(とぅーらー)一緒に行こう。」と親密に話をすれば、人間を信用して魚も獲ってくれるというようなことです。その姿は子供じゃなくて普通の人間の大人の大きさだそうです。もっとも昔はそんなことがあったかもしれけど、私は何回も海に行ってもそんなことありませんですね。だから、人間と一緒に魚を獲るマージャッピを見た人は一人もいないんじゃないですか。このマージャッピは魚の目玉を取って食べると言いますが、それはそうじゃない。昼、海に行くと死んで魚が浮いてきておることがある。それを見て行って、帰って来る時に見ると目玉がなくて小さい魚が集まっておる。魚の皮は堅いけど目は小さい魚でも取って食える。だから小さい魚が魚が群がって取っておるですよ。それを見たから、「ああ、これはマージャッピが魚の目玉とると言うが、そうじゃないんだな。」と思いましたよ。マージャッピは、魚を食う鳥のくちばしに夜光虫がいっぱいついて、その鳥が飛ぶと、その夜光虫がマージャッピの様に見えるという人がおります。その鳥が飛んで行く時に、七羽も八羽も群れて飛んで行くから一つになったり、八つになったり、十になったりすると言うんです。僕たちが海に行くとき、夜で危険性ですから、一人ではなかなか行かない。友達と二、三名一緒に組んで行きますよね。海に行っていつも休んでる所に火を焚きつけて、潮時を待っておると、岸の上に一つぽかんと火がある。やっぱり薄い火ですよ。だから、「マージャッピがいる。」と言うと、「どこにある。」と言うから、「これはマージャッピじゃない。鳥のくちばしについた夜光虫だ。」「いや、そうじゃない。」と言って、そうだ、そうじゃないと言っているうちに、四、五名のみんなが、「じゃあ、鳥のくちばしについた夜光虫なら、手を叩いてみんなで大声を出してみよう。そうすれば分かるだろう。」と言って、みんなで手を叩いてみんなで大声を出すと、見事にサギが飛んで行ったですよ。明るい光りのマージャッピが一つから、四つも五つもなるというけれどもですね、あれは別で、あっちこっちに火事を起こすのは子供の姿をした火玉じゃないですか。
全体の記録時間数 14:35
物語の時間数 8:11
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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