
猪は蛙とかハブとかを食べるが、ある日、蛙が見つかったから、「お前はいいところで見つかった。」と、引き裂いて食べようとしたら、「僕をなんと思ってるか。」と蛙が言うから、「なんだお前は、ただの蛙じゃないか。この横着な野郎、何言うてる。」と猪が言うと、「蛙は蛙だけど普通の蛙じゃないんだよ。お前は山猪(やましし)でお互い同し動物じゃないか。僕はぴょんぴょんと飛ぶけれどもね、走りが上手の君なんかには負けない力持っておるんだよ。それでも貴様は僕を食うつもりか。」と蛙が言うたから、猪は、「何を言うか。そんなら走りの勝負をしてみよう。今日か」と言うたらしい。そしたら、蛙は、「いや、今日はできない。」と言って、勝負の日を決めたそうだ。蛙は智恵があるから蛙全部集めてよ、「今日はやがて猪に食われるところであったけれど難を逃れて、猪と我々蛙が川平から石垣まで競争することになった。だから、八重山郡全体の蛙を集めて、川平から石垣まで一メートル毎に点在しておいて、さあ、何月何日何時の勝負になったら、けろっと鳴くことにしよう。」と相談した。その日になると、いよいよ猪は出発したさ。蛙はケロッケロッと鳴きつつ飛んで行く。ところがよ、蛙は配置しておるでしょ。猪が来るとこれがケロッと鳴く、次にこれがケロッと鳴く。それが猪には分からない。走っても走っても追いつかんでしょ。「大変なことになった。蛙のやつらほんとに僕より速いのかなあ。」と思ったら、石垣に行って最後の蛙のやつを捕まえたらしい。捕まえてみたら自分と賭けしたやつじゃない別な蛙でしょう。「お前はどこからきた奴だ。」と聞いたら、「こうこうであった。」とその蛙が言ったから秘密はばれたさあね。「お前も今日殺してやる。」と猪が思うたけれどもね、その蛙がよ、「いや、今日僕を助けてくれたらいつかまたあなたを助ける時期もあるから許してくれ。」と言うから、「お前らのようなやつが、どうして僕が助けられるか。」「ある。」と言うたと。夏には田んぼにお米があるでしょ。それを夜猪が食いに来る。「田んぼの中であんたが人間様の作ったお米食うとる時に、あんたは田んぼの中をだぼだぼだぼだぼと水の音をさせて歩くから、それを聞いた人間様に撃たれるんだよ。そのときに、僕達仲間がごろごろごろごろごろごろと騒いだら田んぼに寝ておる人も起きないよ。」と言ったから、「そうか、なら許してやる。それじゃあ以後よろしく。」と猪は蛙を許して帰った。それで蛙はお米を刈る最中に人が歩く時はそう泣かないけれども、急ににわか雨が降ってみなさい。そのときは猪が来ておるという意味でごろごろごろごろと鳴くよ。
| レコード番号 | 47O340301 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C021 |
| 決定題名 | 山猪と蛙の競争(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 喜舎場兼次郎 |
| 話者名かな | きしゃばけんじろう |
| 生年月日 | 19040113 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市字川平 |
| 記録日 | 19950913 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市字川平 T58 A04 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 11 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 石垣島の民話 P182 |
| キーワード | 蛙,ハブ,山猪(やましし),走りの勝負,智恵,秘密,人間,田んぼ |
| 梗概(こうがい) | 猪は蛙とかハブとかを食べるが、ある日、蛙が見つかったから、「お前はいいところで見つかった。」と、引き裂いて食べようとしたら、「僕をなんと思ってるか。」と蛙が言うから、「なんだお前は、ただの蛙じゃないか。この横着な野郎、何言うてる。」と猪が言うと、「蛙は蛙だけど普通の蛙じゃないんだよ。お前は山猪(やましし)でお互い同し動物じゃないか。僕はぴょんぴょんと飛ぶけれどもね、走りが上手の君なんかには負けない力持っておるんだよ。それでも貴様は僕を食うつもりか。」と蛙が言うたから、猪は、「何を言うか。そんなら走りの勝負をしてみよう。今日か」と言うたらしい。そしたら、蛙は、「いや、今日はできない。」と言って、勝負の日を決めたそうだ。蛙は智恵があるから蛙全部集めてよ、「今日はやがて猪に食われるところであったけれど難を逃れて、猪と我々蛙が川平から石垣まで競争することになった。だから、八重山郡全体の蛙を集めて、川平から石垣まで一メートル毎に点在しておいて、さあ、何月何日何時の勝負になったら、けろっと鳴くことにしよう。」と相談した。その日になると、いよいよ猪は出発したさ。蛙はケロッケロッと鳴きつつ飛んで行く。ところがよ、蛙は配置しておるでしょ。猪が来るとこれがケロッと鳴く、次にこれがケロッと鳴く。それが猪には分からない。走っても走っても追いつかんでしょ。「大変なことになった。蛙のやつらほんとに僕より速いのかなあ。」と思ったら、石垣に行って最後の蛙のやつを捕まえたらしい。捕まえてみたら自分と賭けしたやつじゃない別な蛙でしょう。「お前はどこからきた奴だ。」と聞いたら、「こうこうであった。」とその蛙が言ったから秘密はばれたさあね。「お前も今日殺してやる。」と猪が思うたけれどもね、その蛙がよ、「いや、今日僕を助けてくれたらいつかまたあなたを助ける時期もあるから許してくれ。」と言うから、「お前らのようなやつが、どうして僕が助けられるか。」「ある。」と言うたと。夏には田んぼにお米があるでしょ。それを夜猪が食いに来る。「田んぼの中であんたが人間様の作ったお米食うとる時に、あんたは田んぼの中をだぼだぼだぼだぼと水の音をさせて歩くから、それを聞いた人間様に撃たれるんだよ。そのときに、僕達仲間がごろごろごろごろごろごろと騒いだら田んぼに寝ておる人も起きないよ。」と言ったから、「そうか、なら許してやる。それじゃあ以後よろしく。」と猪は蛙を許して帰った。それで蛙はお米を刈る最中に人が歩く時はそう泣かないけれども、急ににわか雨が降ってみなさい。そのときは猪が来ておるという意味でごろごろごろごろと鳴くよ。 |
| 全体の記録時間数 | 4:56 |
| 物語の時間数 | 3:42 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |