
昔、宮古にヌズーゲーマというもう天下に珍しい大変な別嬪(べっぴん)の娘がおって、評判になっていたので、役人がそれを聞いて、「そのヌズーゲーマという娘を呼んでこい。」と言った。その娘さんは、宮古から引っ張って来たんだが、身分の差があるからとても恐がって、「一緒になっても迷惑がかかるから、夫婦になるのはいやです。」ヌズーゲーマは、於茂登山の奥に逃げて身を隠して百日もの間隠れていたわけですね。そしたら、召し捕られんでしょ。ところがヌズーゲーマは親戚もいない娘だったのか、探しにくる人もいない。そのうちに食べるものもなくなって、飢えに耐えかねてあまりにも苦しいもんだからね、村に帰ろうとしたら、来るときに渡った川は水が出て深みになったりして渡れなかった。もう道が分からなくなるし、三か月物を食べないから飢えで身体が衰えているので、とうとう元気がなく倒れてね、最期を遂げたわけ。そしたら、ヌズーゲーマのおっぱいの片一方に樫の木が生えて、もう一方のおっぱいには、トゥムの木が生えて、その木の伸び方が素晴らしくてね、たちまちにして大木になったわけ。その大木をヌズーゲーマを嫁にしようとしていた役人が見つけて、「これは立派な船材だ。これで船を造ろう。」と言って、切ってきてくり船を造ったから、ヌズーゲーマは生きている間は断ったが、死んでからその役人に乗られてるんだね。だから、ヌズーゲーマは船になってから、「怖がらないでそのまま役人にね、乗られたらよかったのに。」と言ったとイキヌブスのジラバという民謡にも歌われているわけ。
| レコード番号 | 47O340666 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C047 |
| 決定題名 | イキヌブス由来(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 東成底光秀 |
| 話者名かな | ひがしなりそこみつひで |
| 生年月日 | 19130127 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市字宮良 |
| 記録日 | 19960913 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市字宮良 T111 A02 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12,20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 八重山諸島民話集 P47 石垣島の民話 P39 |
| キーワード | 宮古,ヌズーゲーマ,別嬪,評判,役人,身分の差,恐がって,於茂登山,逃げて,百日,隠れていた,飢え,最期を遂げた,おっぱい,片一方,樫の木,トゥムの木,大木,立派な船材,くり船,イキヌブス,ジラバ |
| 梗概(こうがい) | 昔、宮古にヌズーゲーマというもう天下に珍しい大変な別嬪(べっぴん)の娘がおって、評判になっていたので、役人がそれを聞いて、「そのヌズーゲーマという娘を呼んでこい。」と言った。その娘さんは、宮古から引っ張って来たんだが、身分の差があるからとても恐がって、「一緒になっても迷惑がかかるから、夫婦になるのはいやです。」ヌズーゲーマは、於茂登山の奥に逃げて身を隠して百日もの間隠れていたわけですね。そしたら、召し捕られんでしょ。ところがヌズーゲーマは親戚もいない娘だったのか、探しにくる人もいない。そのうちに食べるものもなくなって、飢えに耐えかねてあまりにも苦しいもんだからね、村に帰ろうとしたら、来るときに渡った川は水が出て深みになったりして渡れなかった。もう道が分からなくなるし、三か月物を食べないから飢えで身体が衰えているので、とうとう元気がなく倒れてね、最期を遂げたわけ。そしたら、ヌズーゲーマのおっぱいの片一方に樫の木が生えて、もう一方のおっぱいには、トゥムの木が生えて、その木の伸び方が素晴らしくてね、たちまちにして大木になったわけ。その大木をヌズーゲーマを嫁にしようとしていた役人が見つけて、「これは立派な船材だ。これで船を造ろう。」と言って、切ってきてくり船を造ったから、ヌズーゲーマは生きている間は断ったが、死んでからその役人に乗られてるんだね。だから、ヌズーゲーマは船になってから、「怖がらないでそのまま役人にね、乗られたらよかったのに。」と言ったとイキヌブスのジラバという民謡にも歌われているわけ。 |
| 全体の記録時間数 | 9:39 |
| 物語の時間数 | 7:11 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |