
これも子どもの時に婆さんから聞いた話だがね。タラーとジラーというね、非常に仲のよい男兄弟二人居ったって。山に行くにも、畑へ行くにも、海へ行くのにも、絶えず一緒だったって。それでね、親の中から恨めしがられるくらいの仲良しでね、兄弟が力合わして裕福な生活しておったらしいね。ところが、ある日、田んぼの帰りにね、大雨なったわけだよ。大雨に遇ってね、宮良川の上流に赤下川という川があるよ。そこにさしかかった時にね、雨の後で水かさが増してね、渡れなくなったんだ。二人は着物を脱いで、頭に置きながらね、そこ渡ったわけだ。と、弟の方がね、溺れて下に流されたって。兄さんはもう、「ジラー、ジラー。」と、弟の名前呼びながらね、川の側を歩きながら助けようとしても、見えないって。とうとう見失ってしまってね、帰ってきた。月日の経つのは早いもので、それから満三年になった。兄のタラーは、ジラーのことを思ってね、赤下川のほとりを探そうと思って行くとね、その頃から、夜なるとね、いっつも夕方から夜にかけて、夜な夜なね、美しいこの音色でね、音楽が奏でられるって。人々も皆不思議だなと思ってね、「どうしてこんな夜、誰がこういう風に美しい音楽をするんだろう。」というので、不思議がっておったって。この兄さんがね、もしや弟ではないかなと思ってね、そこを歩いたって。気がついたら、波の川の大きな石の上にね、一つの骨がね、引っ掛かっておったって。この骨にね、流れ水があたる。風があたる。あたる毎にその骨が鳴って、美しい音楽を奏でるって。その骨をこう弟の骨だってんで、骨を取り上げてみるとね、そこに七つの孔が開いておったって。そいで、兄さんはね、これ家に持ってきてから、弟さんだといってね、これを供養したって。それから後、この恰好似せて、孔を開けて作ったのが、八重山の笛の始まりという伝説があるさ。
| レコード番号 | 47O150322 |
|---|---|
| CD番号 | 47O15C019 |
| 決定題名 | 横笛由来(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 慶田正介 |
| 話者名かな | けいだしょうすけ |
| 生年月日 | 19181129 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 石垣市大浜 |
| 記録日 | 19940823 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市大浜T96B01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12,20 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | おばあさんから聞いた。 |
| 文字化資料 | 大浜の民話(平成7年度卒業論文)P82 |
| キーワード | 兄弟,横笛 |
| 梗概(こうがい) | これも子どもの時に婆さんから聞いた話だがね。タラーとジラーというね、非常に仲のよい男兄弟二人居ったって。山に行くにも、畑へ行くにも、海へ行くのにも、絶えず一緒だったって。それでね、親の中から恨めしがられるくらいの仲良しでね、兄弟が力合わして裕福な生活しておったらしいね。ところが、ある日、田んぼの帰りにね、大雨なったわけだよ。大雨に遇ってね、宮良川の上流に赤下川という川があるよ。そこにさしかかった時にね、雨の後で水かさが増してね、渡れなくなったんだ。二人は着物を脱いで、頭に置きながらね、そこ渡ったわけだ。と、弟の方がね、溺れて下に流されたって。兄さんはもう、「ジラー、ジラー。」と、弟の名前呼びながらね、川の側を歩きながら助けようとしても、見えないって。とうとう見失ってしまってね、帰ってきた。月日の経つのは早いもので、それから満三年になった。兄のタラーは、ジラーのことを思ってね、赤下川のほとりを探そうと思って行くとね、その頃から、夜なるとね、いっつも夕方から夜にかけて、夜な夜なね、美しいこの音色でね、音楽が奏でられるって。人々も皆不思議だなと思ってね、「どうしてこんな夜、誰がこういう風に美しい音楽をするんだろう。」というので、不思議がっておったって。この兄さんがね、もしや弟ではないかなと思ってね、そこを歩いたって。気がついたら、波の川の大きな石の上にね、一つの骨がね、引っ掛かっておったって。この骨にね、流れ水があたる。風があたる。あたる毎にその骨が鳴って、美しい音楽を奏でるって。その骨をこう弟の骨だってんで、骨を取り上げてみるとね、そこに七つの孔が開いておったって。そいで、兄さんはね、これ家に持ってきてから、弟さんだといってね、これを供養したって。それから後、この恰好似せて、孔を開けて作ったのが、八重山の笛の始まりという伝説があるさ。 |
| 全体の記録時間数 | 3:28 |
| 物語の時間数 | 3:13 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |