
昔あるところに王様がお嫁探しになるとおっしゃって、あの侍をお呼びつけになり、「自分の嫁になる女
は姿も綺麗で、とても品の良い女で、歌読みをして歌の返しが出来る女でなければならないよ。」とおっし
ゃたって。侍は、「重い役目だね。」って言って、家を出られて、あっちこっち島々めぐっていらっしゃる
時に、川端に女中さんがその洗濯をやっていた。その側に侍が立ち寄られると、顔は卵形で色は白く、目は
丸く鼻は高く、唇の綺麗、品の良い女であったそうです。だけれども背が低いから侍のおしゃるには、「顔
は卵形で色は白く、目は丸く鼻は高く、唇の綺麗品の良い女だけれども、背が低いね。」とおっしゃた。そ
の女の答えるには、「背は低くても人並みの花は咲けますよ。」おっしゃた。だから侍はさっそくこの女の
姓名を聞いて、それの働いている家の名前も聞いて、帰って早速王様に申し出たら、王様は早速よ、「それ
じゃ行こう。」とおっしゃたから、「それじゃお供しよう。」と言って、車に乗られて、その家を訪ねてい
らっしゃって、その主人にこの事を話されたら、その家には年頃の娘がいたので、主人はまた自分の娘だろ
うと思って、「王様のことならどんな事でも聞きます。」と言って、自分の娘を立派にその身なりを整えて
、立派な着物を着けさせて、王様の前に出しました。その時にその侍がね、膳と皿とを出して、皿に塩を入
れて、塩の上に松と竹とを立てて、「これを題にしてね、これを歌に詠みなさい。」と、おっしゃたら、こ
のお嬢さんはあんまりおだてられてるお嬢さんだから、あんまりもう理解が無かったか、顔を赤らめて俯い
てしまった。だから両親はよ、そばに立ち寄って、「どうでもいいから、王様のことであったら詠みなさい
。」とおっしゃるけど、侍が、「もうどうでもいいから詠みなさい。」とおっしゃたら、ようやく顔を上げ
てよ、言うのに、「膳の上に皿、皿の上に塩、塩の上に竹と松。」と言ったから、侍はよ、「これはちごう
ちごう。」と言って、立ち寄られたところの女中さんの家に行って、女中さんを呼んだら、女中さんは見苦
しい姿をして、暗い闇のように震えているのを、侍はよ、「何も震えて心配する必要は無い。」と言って、
王様の前に連れだして、「これを題にして歌を詠みなさい。」とおっしゃたら、この女中さんが詠むにはね
、「膳皿にやさら、竹に雪降りて、雪をねにして空と松かねー。」と言ったら、侍、王様も、「これだこれ
だ。」と言って満足されて、もう主人に、「今日まであなたの家の女中であったがよ。明日から王様のお嫁
さんだから。」言って、「さようなら」と言って立ち去られたから、主人の二人はね、悪い顔つきをして、
「茗荷(みょうが)畑にも花が咲くね。」と言って、見送りしたそうです。これで終わり。
| レコード番号 | 47O150116 |
|---|---|
| CD番号 | 47O15C007 |
| 決定題名 | 王様の嫁探し(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 当山喜久 |
| 話者名かな | とうやまきく |
| 生年月日 | 19011212 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | - |
| 記録日 | 19750804 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市大浜T12A09 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 13 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 大浜の民話(平成7年度卒業論文)P70 |
| キーワード | 王様の嫁探し,難題,下女 |
| 梗概(こうがい) | 昔あるところに王様がお嫁探しになるとおっしゃって、あの侍をお呼びつけになり、「自分の嫁になる女 は姿も綺麗で、とても品の良い女で、歌読みをして歌の返しが出来る女でなければならないよ。」とおっし ゃたって。侍は、「重い役目だね。」って言って、家を出られて、あっちこっち島々めぐっていらっしゃる 時に、川端に女中さんがその洗濯をやっていた。その側に侍が立ち寄られると、顔は卵形で色は白く、目は 丸く鼻は高く、唇の綺麗、品の良い女であったそうです。だけれども背が低いから侍のおしゃるには、「顔 は卵形で色は白く、目は丸く鼻は高く、唇の綺麗品の良い女だけれども、背が低いね。」とおっしゃた。そ の女の答えるには、「背は低くても人並みの花は咲けますよ。」おっしゃた。だから侍はさっそくこの女の 姓名を聞いて、それの働いている家の名前も聞いて、帰って早速王様に申し出たら、王様は早速よ、「それ じゃ行こう。」とおっしゃたから、「それじゃお供しよう。」と言って、車に乗られて、その家を訪ねてい らっしゃって、その主人にこの事を話されたら、その家には年頃の娘がいたので、主人はまた自分の娘だろ うと思って、「王様のことならどんな事でも聞きます。」と言って、自分の娘を立派にその身なりを整えて 、立派な着物を着けさせて、王様の前に出しました。その時にその侍がね、膳と皿とを出して、皿に塩を入 れて、塩の上に松と竹とを立てて、「これを題にしてね、これを歌に詠みなさい。」と、おっしゃたら、こ のお嬢さんはあんまりおだてられてるお嬢さんだから、あんまりもう理解が無かったか、顔を赤らめて俯い てしまった。だから両親はよ、そばに立ち寄って、「どうでもいいから、王様のことであったら詠みなさい 。」とおっしゃるけど、侍が、「もうどうでもいいから詠みなさい。」とおっしゃたら、ようやく顔を上げ てよ、言うのに、「膳の上に皿、皿の上に塩、塩の上に竹と松。」と言ったから、侍はよ、「これはちごう ちごう。」と言って、立ち寄られたところの女中さんの家に行って、女中さんを呼んだら、女中さんは見苦 しい姿をして、暗い闇のように震えているのを、侍はよ、「何も震えて心配する必要は無い。」と言って、 王様の前に連れだして、「これを題にして歌を詠みなさい。」とおっしゃたら、この女中さんが詠むにはね 、「膳皿にやさら、竹に雪降りて、雪をねにして空と松かねー。」と言ったら、侍、王様も、「これだこれ だ。」と言って満足されて、もう主人に、「今日まであなたの家の女中であったがよ。明日から王様のお嫁 さんだから。」言って、「さようなら」と言って立ち去られたから、主人の二人はね、悪い顔つきをして、 「茗荷(みょうが)畑にも花が咲くね。」と言って、見送りしたそうです。これで終わり。 |
| 全体の記録時間数 | 4:20 |
| 物語の時間数 | 4:04 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |