
あるところに、貧乏人(ひんじゃー)の子どもと金持(ごーじゃー)の子どもがありました。学校時代と
ても不和で、金持の家は、毎夜、天ぷらを焼くので、貧乏人の子どもはそれを食いたい。食いたいけれども
、仲が悪いので食わすことは出来ず、仕方なく芋を持っていって、その壁の側で匂いをかけて食べておりま
した。だが、「いつかは必ず富豪になって天ぷらでも欲しいものは食べてみよう。」というのが、それが望
みでありました。今度はまた、金持は、その貧乏人を馬鹿にして、「は、君達は貧乏(ひんそー)、貧乏。
」と言って軽蔑するもんだから、「いや、貧乏であっても、腹の中は誰しも分かりませんよ。」と。「それ
じゃ、腹の中の争いをしましょう。」「どうして争いをする。」「これは食ったものの証拠を捨てたものの
競争だよ。」と。「そうか、それならばいい。」と思って、貧困人(ひんこんじゃー)の子どもは黄色い芋
だけを取り果てて、あれと塩とでかけてあの御飯は食べました。金持(うやっきやー)の子どもは、「どう
せこうせ良い物を食べる者は、良い物をもうまるだろう。」と思って、とうとう両方に分かれて座ったとこ
ろが、あべこべに貧乏人の子どもは黄色くして立派なもんである。金持(こんじゃー)の子どもはもう何と
も言えないみさぼりしい糞であってから、とうとうこれでもって貧困人の子どもが勝ち、金持負けとなった
わけです。
ところが、青年になってから、やはりまた争いが来る。青年時代にいっては貧乏人の子どもが、綺麗な良
い妻を求めるし、また学校時代よりのその反感、対立がなお激しくなったので、今度は、「貴様は、僕の家
の天ぷらのおかげでうやきしてる。だから、そのお金を分けてくれないか。」とあんまり怒るもんだから、
「必ず取ると言ったら分けますよ。」と。今度は、あの貧困人の子どもは、「それじゃ。」と言って、大き
い、あのメリケンを袋にお金を入れて、そのお金をジャランジャラン鳴らして、「はい、取ってくれえ。さ
あ、取ってくれえ。」と言ったら、音ばかりジャランジャラン鳴らして、「あなたは君の天ぷらは一つもく
れなかったよ。僕の取ったのは匂いだけだよ。だから、僕のお金のあの音だけ取るのが当然だよ。はい、匂
いの代わりに、お金の音を取ってくれえ。」って、ジャランジャラン鳴らして、とうとうあの貧乏人の子ど
もが、最後の勝負も勝ったということであります。
| レコード番号 | 47O150051 |
|---|---|
| CD番号 | 47O15C003 |
| 決定題名 | 匂いの代金(方言) |
| 話者がつけた題名 | 貧乏人の子と金持ちの子の勝負 |
| 話者名 | 前津治平 |
| 話者名かな | まえつじへい |
| 生年月日 | 19040609 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市大浜 |
| 記録日 | 19750803 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市大浜T08A09 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 13 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 大浜の民話(平成7年度卒業論文)P96 |
| キーワード | 貧乏の家と金持ちの家,臭い貧乏の家と金持ちの家,臭い |
| 梗概(こうがい) | あるところに、貧乏人(ひんじゃー)の子どもと金持(ごーじゃー)の子どもがありました。学校時代と ても不和で、金持の家は、毎夜、天ぷらを焼くので、貧乏人の子どもはそれを食いたい。食いたいけれども 、仲が悪いので食わすことは出来ず、仕方なく芋を持っていって、その壁の側で匂いをかけて食べておりま した。だが、「いつかは必ず富豪になって天ぷらでも欲しいものは食べてみよう。」というのが、それが望 みでありました。今度はまた、金持は、その貧乏人を馬鹿にして、「は、君達は貧乏(ひんそー)、貧乏。 」と言って軽蔑するもんだから、「いや、貧乏であっても、腹の中は誰しも分かりませんよ。」と。「それ じゃ、腹の中の争いをしましょう。」「どうして争いをする。」「これは食ったものの証拠を捨てたものの 競争だよ。」と。「そうか、それならばいい。」と思って、貧困人(ひんこんじゃー)の子どもは黄色い芋 だけを取り果てて、あれと塩とでかけてあの御飯は食べました。金持(うやっきやー)の子どもは、「どう せこうせ良い物を食べる者は、良い物をもうまるだろう。」と思って、とうとう両方に分かれて座ったとこ ろが、あべこべに貧乏人の子どもは黄色くして立派なもんである。金持(こんじゃー)の子どもはもう何と も言えないみさぼりしい糞であってから、とうとうこれでもって貧困人の子どもが勝ち、金持負けとなった わけです。 ところが、青年になってから、やはりまた争いが来る。青年時代にいっては貧乏人の子どもが、綺麗な良 い妻を求めるし、また学校時代よりのその反感、対立がなお激しくなったので、今度は、「貴様は、僕の家 の天ぷらのおかげでうやきしてる。だから、そのお金を分けてくれないか。」とあんまり怒るもんだから、 「必ず取ると言ったら分けますよ。」と。今度は、あの貧困人の子どもは、「それじゃ。」と言って、大き い、あのメリケンを袋にお金を入れて、そのお金をジャランジャラン鳴らして、「はい、取ってくれえ。さ あ、取ってくれえ。」と言ったら、音ばかりジャランジャラン鳴らして、「あなたは君の天ぷらは一つもく れなかったよ。僕の取ったのは匂いだけだよ。だから、僕のお金のあの音だけ取るのが当然だよ。はい、匂 いの代わりに、お金の音を取ってくれえ。」って、ジャランジャラン鳴らして、とうとうあの貧乏人の子ど もが、最後の勝負も勝ったということであります。 |
| 全体の記録時間数 | 3:08 |
| 物語の時間数 | 3:07 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |