箪笥の値段(共通語))

概要

あるところに東の方は、金持ちの老家(ろうけ)で、西の方は、その夫の方は教員の若夫婦で、女の方は
家庭で裁縫しておりました。ところが、隣のその富豪家の長男が、その教員の奥さんに話しかけて遊んだの
がもつれとなって、とうとう女は浮気になり、とうとう昼ごとに、その東の家の長男と悪い行いをしたわけ
ですが、それがある隣の婆ちゃんが耳に入(い)り、見つかったので、婆ちゃんは、教員の夫に、注意を与
えました。与えたところが、夫そのものは、「自分の妻は、決してそんな悪い行いはするものではありませ
んよ。」と、心ではもうふやふやして、「それはまず確かめてみたい。」とのことでありましたが、それで
、日曜を利用して、「今日は、もう登山旅行をするから、弁当でも特別にこしらえてくれ。」と、言ったら
、妻は、とうとう弁当は藁弁当をこしらえて行かしました。ところが、夫は、昼過ぎまでは密かに別の家で
隠れておって、その昼過ぎへ自分の家へ来て突飛に入るのもその感じが悪いと思って、声高らかに疲れたふ
りをして家に入って、その外向きに、縁に座ってわらじの紐を解き、巻袢を解きして、わざと時間をとりま
した。その間(ま)において、その悪魔の二人は、自分の悪巧みは全部良いように整理して、東の家の長男
は、箪笥の中に隠れておりました。そのところを、その晩において夫の方が、「僕には何の事業をするけれ
ども、金銭が不足でどうも出来はしない。どうにか考えはできませんか。もう仕方がなければ箪笥でももう
売りましょう。」と言ってから、妻の方も承諾を得まして、「それじゃ、そうしましょう。」と事は決まり
、翌朝、箪笥は市場に運ぶことになりました。ところが箪笥の値段がとても高くしたので、交渉しても、二
、三日しても誰も買う手がない、それで、その箪笥には、男が隠れているから、二、三日もしたら、あの隠
し夫が飢え死にでもするんじゃないかと、妻の方は夜も昼も休めず眠ることが出来ない。そしたら、その後
、その隣の東の家に行って、「どうぞ、この箪笥を求めてください。」と持って行ったら、東の家は、金持
ちだから、「この箪笥より品の良い物、家にはたくさんある。それに値段が高いから、これは買う必要がな
いよ。」って。それでも、「でも、どうぞ買ってください。」と言っても聞かないので、西の家の夫は、「
三日前にこうこうの理由で、あなたの家の息子がこっちに来たんですが、うちは懲らしめたりはしてません
。この箪笥の中身は、あなたの息子ですからどうぞ、中身を買ってください。」と言うんで、「それじゃ、
もう買うことにしましょう。」と言って、東の家の金持ちは、その箪笥を買って、ようやくその長男の命を
助けた。しかしながら、あの若夫婦の妻は、隠しも隠しきれないので、心も心であれが許さず遠慮がちにな
っていたが、とうとうもう密かに家を出て行ったので、夫もまた怒りもせず、その妻を離縁をして分かれた
という話です。

再生時間:3:58

民話詳細DATA

レコード番号 47O150049
CD番号 47O15C003
決定題名 箪笥の値段(共通語))
話者がつけた題名 くずれ恋愛
話者名 前津治平
話者名かな まえつじへい
生年月日 19040609
性別
出身地 沖縄県石垣市大浜
記録日 19750803
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市大浜T08A07
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 13
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 大浜の民話(平成7年度卒業論文)P95
キーワード 浮気,箪笥,
梗概(こうがい) あるところに東の方は、金持ちの老家(ろうけ)で、西の方は、その夫の方は教員の若夫婦で、女の方は 家庭で裁縫しておりました。ところが、隣のその富豪家の長男が、その教員の奥さんに話しかけて遊んだの がもつれとなって、とうとう女は浮気になり、とうとう昼ごとに、その東の家の長男と悪い行いをしたわけ ですが、それがある隣の婆ちゃんが耳に入(い)り、見つかったので、婆ちゃんは、教員の夫に、注意を与 えました。与えたところが、夫そのものは、「自分の妻は、決してそんな悪い行いはするものではありませ んよ。」と、心ではもうふやふやして、「それはまず確かめてみたい。」とのことでありましたが、それで 、日曜を利用して、「今日は、もう登山旅行をするから、弁当でも特別にこしらえてくれ。」と、言ったら 、妻は、とうとう弁当は藁弁当をこしらえて行かしました。ところが、夫は、昼過ぎまでは密かに別の家で 隠れておって、その昼過ぎへ自分の家へ来て突飛に入るのもその感じが悪いと思って、声高らかに疲れたふ りをして家に入って、その外向きに、縁に座ってわらじの紐を解き、巻袢を解きして、わざと時間をとりま した。その間(ま)において、その悪魔の二人は、自分の悪巧みは全部良いように整理して、東の家の長男 は、箪笥の中に隠れておりました。そのところを、その晩において夫の方が、「僕には何の事業をするけれ ども、金銭が不足でどうも出来はしない。どうにか考えはできませんか。もう仕方がなければ箪笥でももう 売りましょう。」と言ってから、妻の方も承諾を得まして、「それじゃ、そうしましょう。」と事は決まり 、翌朝、箪笥は市場に運ぶことになりました。ところが箪笥の値段がとても高くしたので、交渉しても、二 、三日しても誰も買う手がない、それで、その箪笥には、男が隠れているから、二、三日もしたら、あの隠 し夫が飢え死にでもするんじゃないかと、妻の方は夜も昼も休めず眠ることが出来ない。そしたら、その後 、その隣の東の家に行って、「どうぞ、この箪笥を求めてください。」と持って行ったら、東の家は、金持 ちだから、「この箪笥より品の良い物、家にはたくさんある。それに値段が高いから、これは買う必要がな いよ。」って。それでも、「でも、どうぞ買ってください。」と言っても聞かないので、西の家の夫は、「 三日前にこうこうの理由で、あなたの家の息子がこっちに来たんですが、うちは懲らしめたりはしてません 。この箪笥の中身は、あなたの息子ですからどうぞ、中身を買ってください。」と言うんで、「それじゃ、 もう買うことにしましょう。」と言って、東の家の金持ちは、その箪笥を買って、ようやくその長男の命を 助けた。しかしながら、あの若夫婦の妻は、隠しも隠しきれないので、心も心であれが許さず遠慮がちにな っていたが、とうとうもう密かに家を出て行ったので、夫もまた怒りもせず、その妻を離縁をして分かれた という話です。
全体の記録時間数 4:07
物語の時間数 3:58
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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