
昔、桃里村(とうざとむら)のカネヤマという青年が、役人からよ、「馬の鞍を作りたいから、鞍になりそうな木を山に行って切ってこい。」と言われて、桃里村の後ろの方に山が重なりあって、いかにも屏風をたてたような屏風山(ぺーふやま)というのがあるから、その山の中に木を切りに行ったわけよ。そして、途中から雨に降られたけども、役人からのいいつけだから、なんとかしてその木を探してこないといけないということで、どんどん、どんどん山にあがって行ったら、それらしき木が見つかったから、「よし、あの木を切ってきよう。」と思って、こう見ていたらね、ハブが一生懸命に上にどーんと行ったり、下にどーんと落ちたりするもんだから、このカネヤマは、「はあ、大変なことを見てしまったな。」と思っておると、ハブがね、泣きながら、「私はあんたに大変なところを見られてしまった。私はいつころからね、この山で何十年も何百年も生きてきた。それでね、今から龍になって、天に上がる。だけど、こういうことあんたに見つかってしまったからね、私は天に上がることもできない。」と言ったわけ。そうしたら、カネヤマは、「心配するな。私は見ないことにする。絶対人にも言わない。僕は後ろ見てる間にね、あんたは上がりなさい。」と言ったから、「じゃ、約束しますか。絶対に人に言わないでくださいよ。あんたが言ってしまったら私は大変なことになるから、言わないで下さい。」と言われた。それで、後ろに向いて知らんふりりをしてる間に、ハブは無事に龍になって天に上がったわけ。カネヤマは、木も切って上納もして、その日のことは、誰にも言わないわけさあね。その後、結婚もして、家庭も貧しかったけどね、子どもも出来て家庭も順調にいって裕福な生活をしてたわけね。ある日、何十年か後の大雨の日に、家族団欒をやってるときに、何気も無しに家族に、「昔ね、こういう大雨の時に、こういうことがあったよ。これは絶対に言うてはいけないということだから、それを今まで守ってきた。」と天に昇るハブのことを喋ってしまったわけさあ。けども、その話をして終わったか終わらないうちに、家の後ろにどすーんと落ちる音がしたもんだから、何が落ちよったかなあと見てみたら、天に上がった龍が死んでいたってことさ。ハブとの約束というのは、それだけ固いと。今まで栄えてきたカネヤマの子孫も衰えて、ハブが死ぬようにね、家族も消滅してしまったと。だから、約束は守りなさいよと言っていたよ。
| レコード番号 | 47O341164 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C091 |
| 決定題名 | 千年蛇(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 田本浩 |
| 話者名かな | たもとひろし |
| 生年月日 | 19240726 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市字平得 |
| 記録日 | 19970912 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市平得 T69 B05 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | むかし |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 桃里村,カネヤマ,青年,役人,馬の鞍,木,山,屏風山,雨,ハブ,龍,天,上がる,見つかってしまった,約束,結婚,裕福な,何十年か後,大雨の日,家族団欒,喋ってしまった,落ちる音,死んでいた,衰えて,消滅 |
| 梗概(こうがい) | 昔、桃里村(とうざとむら)のカネヤマという青年が、役人からよ、「馬の鞍を作りたいから、鞍になりそうな木を山に行って切ってこい。」と言われて、桃里村の後ろの方に山が重なりあって、いかにも屏風をたてたような屏風山(ぺーふやま)というのがあるから、その山の中に木を切りに行ったわけよ。そして、途中から雨に降られたけども、役人からのいいつけだから、なんとかしてその木を探してこないといけないということで、どんどん、どんどん山にあがって行ったら、それらしき木が見つかったから、「よし、あの木を切ってきよう。」と思って、こう見ていたらね、ハブが一生懸命に上にどーんと行ったり、下にどーんと落ちたりするもんだから、このカネヤマは、「はあ、大変なことを見てしまったな。」と思っておると、ハブがね、泣きながら、「私はあんたに大変なところを見られてしまった。私はいつころからね、この山で何十年も何百年も生きてきた。それでね、今から龍になって、天に上がる。だけど、こういうことあんたに見つかってしまったからね、私は天に上がることもできない。」と言ったわけ。そうしたら、カネヤマは、「心配するな。私は見ないことにする。絶対人にも言わない。僕は後ろ見てる間にね、あんたは上がりなさい。」と言ったから、「じゃ、約束しますか。絶対に人に言わないでくださいよ。あんたが言ってしまったら私は大変なことになるから、言わないで下さい。」と言われた。それで、後ろに向いて知らんふりりをしてる間に、ハブは無事に龍になって天に上がったわけ。カネヤマは、木も切って上納もして、その日のことは、誰にも言わないわけさあね。その後、結婚もして、家庭も貧しかったけどね、子どもも出来て家庭も順調にいって裕福な生活をしてたわけね。ある日、何十年か後の大雨の日に、家族団欒をやってるときに、何気も無しに家族に、「昔ね、こういう大雨の時に、こういうことがあったよ。これは絶対に言うてはいけないということだから、それを今まで守ってきた。」と天に昇るハブのことを喋ってしまったわけさあ。けども、その話をして終わったか終わらないうちに、家の後ろにどすーんと落ちる音がしたもんだから、何が落ちよったかなあと見てみたら、天に上がった龍が死んでいたってことさ。ハブとの約束というのは、それだけ固いと。今まで栄えてきたカネヤマの子孫も衰えて、ハブが死ぬようにね、家族も消滅してしまったと。だから、約束は守りなさいよと言っていたよ。 |
| 全体の記録時間数 | 6:53 |
| 物語の時間数 | 5:42 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |