真栄里マニカー(共通語)

概要

名蔵にアンパルーっていう地名があるわけ。そのアンパルーに伝わる話で、私ども田本の祖先にまつわる話があるんだけどね。昔、この真栄里部落によ、三名の悪(わるー)の兄弟がいて、その兄弟が山賊になって昼は山ん中に立て籠もって夜は出てきて牧場の牛を盗んだり、いろんな悪いことをして山中で生活していたわけ。それは真栄里の人だから真栄里マニカーと呼んで恐れられてたわけ。だから、そのころ何か盗まれると真栄里マニカーの仕業だなあと言っていた。そうして、真栄里マニカーの三名の兄弟が逃げて来て、山中で生活してる間にね、鳩間家の猪取り名人がいらっしゃったって。昔は鉾と犬で猪を取っていたもんだから、犬を連れて山中に入ったら、案の定、真栄里マニカーとかち合ってないわけさ。普通だったら、この鳩間家の人は、真栄里マニカーに殺されるところを自分が連れてきた犬が真栄里マニカーを襲ったから、鳩間家の人は犬に助けられた。結局真栄里マニカーも、そこで、「負けました。」と降伏したわけね。鳩間家の人は、「じゃあ、そんなら、お前達は僕の言うことを聞くか。聞かなかったらすぐ上様に訴えるからすぐ牢屋だよ。」と言ったら、「はい、聞きます。」ということで、真栄里マニカーを連れてきて、ここで田んぼを開拓させたという話があるわけ。そのころ、私たちの何代前かの祖先が田んぼで仕事してる時にね、昔は火縄(びなー)って言って、梯梧(でいご)の木を使ったり、大浜ボーの木を使ったりして作った火種の火がいつの間にか、消えてしまって、煙草吸うにも、煙草吸えないから、「これは大変だ。」と田んぼから高い山の上に上がったら、山の中に火が燃えているのが見えたと。そこで、うちの祖先は、「ああ、よし。向こうで火が燃えとる。向こうに行って火種を貰ってきよう。」と行ったところが、そこにいたのは真栄里マニカーだったわけ。三名の兄弟がどっかの牛を盗んできて炊いて食べてるわけさあね。これ現場を見られてしまったもんだから、「お前も殺して捨てる。」と言うもんだから、ここで知恵を働かして、「実はそうじゃない。自分も食べ物が無くて大変困っているよ。島におってもどうしようもないから、あんたたちの仲間に入れてくれ。」とお願いしにきたと。「ああ、そういうことだったらいいだろう。」と一緒に牛を食べたわけね。だけど、いつまでもここにおれん、なんとかの方法でここ逃げ出さないといけないわけよね。そいで、なんとかして逃げようとどういう方法で逃げたかは分からんけど、とにかく逃げたが、一緒に牛を食べて同罪だから真栄里マニカーに会ったことは誰も言わなかったって。ところがいつか夜、夫婦で眠りながら、これを何気なしに自分の奥さんに喋ってしまったわけよね。そうすると、女は、「ああ、うちの人は偉い。そういうこともあって、こうこうして逃げてきた。」と誰かに話したから、それが分かってしまったんだよね。その後この真栄里マニカーの悪いことをしている噂もいろいろ出てるわけさあね。それでとうとう鳩間家の人もあれを匿うことが出来なくて、「お前達がいつまでもここにおったら大変なるからお前たちはどっかに行け。」と行かされたから、真栄里マニカーは山の中に入って於茂登岳のあの辺にいたが、役人は、これを縛るためにオオーっと山から追い出して来て向こうの名蔵にどの辺にアンパルっていう森に立て籠もったもんだから、あの森の周囲を魚を一網打尽にちするように、みんな取り囲んで、真栄里マニカーの捕り物にしたということから、向こうの森はアンパルと名前を付けられて、そいで真栄里マニカーは捕まえられたでしょ。そのとき役人が、「お前はどういうことでああいうことをしたか。」と言ったら、「僕一人じゃない、あの牛は平得の田本(たーむとぅ)も一緒だった。」と言ったから、私の先祖の田本の人も島流しの罪に問われて西表島の星立(ほしたて)に流されたと。その人は西表島で女を探して子どもが出来た。その家は本当は田本(たもと)と付けるべきだけども、田本の名前が汚れるとということで、平得という屋号の家になった。これが俺なんかの祖先の話で、だから西表島(いりおもてじま)の星立(ほしたて)に行ったらね、平得(ひらえ)という名前があるよ。

再生時間:8:37

民話詳細DATA

レコード番号 47O341147
CD番号 47O34C089
決定題名 真栄里マニカー(共通語)
話者がつけた題名
話者名 田本浩
話者名かな たもとひろし
生年月日 19240726
性別
出身地 沖縄県石垣市字平得
記録日 19970311
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市平得 T68 A10
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 20
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料
キーワード 名蔵,アンパルー,田本の祖先,真栄里部落,兄弟,山賊,真栄里マニカー,鳩間家,猪取り名人,降伏,開拓,火縄,梯梧の木,大浜ボーの木,同罪,於茂登岳,捕り物,平得,島流しの罪,西表島,星立
梗概(こうがい) 名蔵にアンパルーっていう地名があるわけ。そのアンパルーに伝わる話で、私ども田本の祖先にまつわる話があるんだけどね。昔、この真栄里部落によ、三名の悪(わるー)の兄弟がいて、その兄弟が山賊になって昼は山ん中に立て籠もって夜は出てきて牧場の牛を盗んだり、いろんな悪いことをして山中で生活していたわけ。それは真栄里の人だから真栄里マニカーと呼んで恐れられてたわけ。だから、そのころ何か盗まれると真栄里マニカーの仕業だなあと言っていた。そうして、真栄里マニカーの三名の兄弟が逃げて来て、山中で生活してる間にね、鳩間家の猪取り名人がいらっしゃったって。昔は鉾と犬で猪を取っていたもんだから、犬を連れて山中に入ったら、案の定、真栄里マニカーとかち合ってないわけさ。普通だったら、この鳩間家の人は、真栄里マニカーに殺されるところを自分が連れてきた犬が真栄里マニカーを襲ったから、鳩間家の人は犬に助けられた。結局真栄里マニカーも、そこで、「負けました。」と降伏したわけね。鳩間家の人は、「じゃあ、そんなら、お前達は僕の言うことを聞くか。聞かなかったらすぐ上様に訴えるからすぐ牢屋だよ。」と言ったら、「はい、聞きます。」ということで、真栄里マニカーを連れてきて、ここで田んぼを開拓させたという話があるわけ。そのころ、私たちの何代前かの祖先が田んぼで仕事してる時にね、昔は火縄(びなー)って言って、梯梧(でいご)の木を使ったり、大浜ボーの木を使ったりして作った火種の火がいつの間にか、消えてしまって、煙草吸うにも、煙草吸えないから、「これは大変だ。」と田んぼから高い山の上に上がったら、山の中に火が燃えているのが見えたと。そこで、うちの祖先は、「ああ、よし。向こうで火が燃えとる。向こうに行って火種を貰ってきよう。」と行ったところが、そこにいたのは真栄里マニカーだったわけ。三名の兄弟がどっかの牛を盗んできて炊いて食べてるわけさあね。これ現場を見られてしまったもんだから、「お前も殺して捨てる。」と言うもんだから、ここで知恵を働かして、「実はそうじゃない。自分も食べ物が無くて大変困っているよ。島におってもどうしようもないから、あんたたちの仲間に入れてくれ。」とお願いしにきたと。「ああ、そういうことだったらいいだろう。」と一緒に牛を食べたわけね。だけど、いつまでもここにおれん、なんとかの方法でここ逃げ出さないといけないわけよね。そいで、なんとかして逃げようとどういう方法で逃げたかは分からんけど、とにかく逃げたが、一緒に牛を食べて同罪だから真栄里マニカーに会ったことは誰も言わなかったって。ところがいつか夜、夫婦で眠りながら、これを何気なしに自分の奥さんに喋ってしまったわけよね。そうすると、女は、「ああ、うちの人は偉い。そういうこともあって、こうこうして逃げてきた。」と誰かに話したから、それが分かってしまったんだよね。その後この真栄里マニカーの悪いことをしている噂もいろいろ出てるわけさあね。それでとうとう鳩間家の人もあれを匿うことが出来なくて、「お前達がいつまでもここにおったら大変なるからお前たちはどっかに行け。」と行かされたから、真栄里マニカーは山の中に入って於茂登岳のあの辺にいたが、役人は、これを縛るためにオオーっと山から追い出して来て向こうの名蔵にどの辺にアンパルっていう森に立て籠もったもんだから、あの森の周囲を魚を一網打尽にちするように、みんな取り囲んで、真栄里マニカーの捕り物にしたということから、向こうの森はアンパルと名前を付けられて、そいで真栄里マニカーは捕まえられたでしょ。そのとき役人が、「お前はどういうことでああいうことをしたか。」と言ったら、「僕一人じゃない、あの牛は平得の田本(たーむとぅ)も一緒だった。」と言ったから、私の先祖の田本の人も島流しの罪に問われて西表島の星立(ほしたて)に流されたと。その人は西表島で女を探して子どもが出来た。その家は本当は田本(たもと)と付けるべきだけども、田本の名前が汚れるとということで、平得という屋号の家になった。これが俺なんかの祖先の話で、だから西表島(いりおもてじま)の星立(ほしたて)に行ったらね、平得(ひらえ)という名前があるよ。
全体の記録時間数 9:02
物語の時間数 8:37
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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