
鬼屋石(うぬやーいし)の話よ。兄さんと妹といたけど、この兄さんがね、いつの間にかすごく鬼みたいな性格になってしまって、村を荒したりして悪いことばっかりしたそうだ。だから、世間からいろいろ言われるでしょ。妹は、「なんとかしないといけない。」とすごく胸を痛めて、「兄さん、こんな悪ばっかりしないでよ。兄さんがこのような状態だったら、私を嫁に貰う人もいない。真人間になって兄弟仲良く暮らしていたら、兄さんも立派に嫁も貰えるから、なんとか考え直してちょうだい。」と言うて兄さんを諌めてもね、目玉はきょろきょろしてるし、歯もぎしぎしして、態度がもう大変だと。そのうちに兄さんは、村から排斥されて、浜に行って鬼屋石に隠れてね、いろんな悪さをしていたわけだな。「向こうで兄さんは鬼になって、人間も食べてるらしいよ。」という話が出たもんだから、この妹は、面白くないでしょ。「うちの兄さんは鬼になってしまっているのか。本当に鬼になっているなら、そういう兄さんがおるよりは殺してしたほうがいい。」というように思うようになったらしい。ある日、妹はお兄さんは餅が好きだったらしいから、兄を試ししてみようと餅を作ってね、「子どもでも人でも噛み殺すというぐらいだったら、なんでも食べるのかな。」ということで、餅の中に、あんこの代わりに硬い石なんかを入れて兄さんのいる鬼屋石のところに持って行ったわけさ。そしたら、兄さんは喜んで、石もがばっがばっと、みんな砕いて食べていたって。 妹は、「これ本当に大変な人になってる。これをなんとかして自分の手で始末してしまわないと、後でどういうことになるか分からん。」ということで、妹は、とんちを働かしてよ、「あんたは、そのように威張っとるけど、私には上にも下にも口があるよう。」と股を広げて女の道具を出して、「上の口はご飯食べる口。下の口はお前みたいに世の中を荒らす、鬼を食べる口だ。」ということを言ったもんだから、兄さんは驚いて岩の方にこうこう下がって行ったから、妹は押して岩の上から突き落として、この鬼を退治したと。それで、真栄里西原に昔鬼屋石という大きな岩があって、そこは戦後まで洞窟で、火葬場にしてた。僕なんかあのころは小さいからね、そこは火葬場があるから、お昼でも怖いから向こう寄りつかなかったよ。
| レコード番号 | 47O341146 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C089 |
| 決定題名 | 鬼の岩屋(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 鬼餅由来 |
| 話者名 | 田本浩 |
| 話者名かな | たもとひろし |
| 生年月日 | 19240726 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市字平得 |
| 記録日 | 19970311 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市平得 T68 A09 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 石垣島の民話 P153 |
| キーワード | 鬼屋石,うぬやーいし,兄,妹,鬼,悪さ,餅,始末,とんち,上の口,下の口,鬼を食べる口,退治,真栄里西原,洞窟,火葬場 |
| 梗概(こうがい) | 鬼屋石(うぬやーいし)の話よ。兄さんと妹といたけど、この兄さんがね、いつの間にかすごく鬼みたいな性格になってしまって、村を荒したりして悪いことばっかりしたそうだ。だから、世間からいろいろ言われるでしょ。妹は、「なんとかしないといけない。」とすごく胸を痛めて、「兄さん、こんな悪ばっかりしないでよ。兄さんがこのような状態だったら、私を嫁に貰う人もいない。真人間になって兄弟仲良く暮らしていたら、兄さんも立派に嫁も貰えるから、なんとか考え直してちょうだい。」と言うて兄さんを諌めてもね、目玉はきょろきょろしてるし、歯もぎしぎしして、態度がもう大変だと。そのうちに兄さんは、村から排斥されて、浜に行って鬼屋石に隠れてね、いろんな悪さをしていたわけだな。「向こうで兄さんは鬼になって、人間も食べてるらしいよ。」という話が出たもんだから、この妹は、面白くないでしょ。「うちの兄さんは鬼になってしまっているのか。本当に鬼になっているなら、そういう兄さんがおるよりは殺してしたほうがいい。」というように思うようになったらしい。ある日、妹はお兄さんは餅が好きだったらしいから、兄を試ししてみようと餅を作ってね、「子どもでも人でも噛み殺すというぐらいだったら、なんでも食べるのかな。」ということで、餅の中に、あんこの代わりに硬い石なんかを入れて兄さんのいる鬼屋石のところに持って行ったわけさ。そしたら、兄さんは喜んで、石もがばっがばっと、みんな砕いて食べていたって。 妹は、「これ本当に大変な人になってる。これをなんとかして自分の手で始末してしまわないと、後でどういうことになるか分からん。」ということで、妹は、とんちを働かしてよ、「あんたは、そのように威張っとるけど、私には上にも下にも口があるよう。」と股を広げて女の道具を出して、「上の口はご飯食べる口。下の口はお前みたいに世の中を荒らす、鬼を食べる口だ。」ということを言ったもんだから、兄さんは驚いて岩の方にこうこう下がって行ったから、妹は押して岩の上から突き落として、この鬼を退治したと。それで、真栄里西原に昔鬼屋石という大きな岩があって、そこは戦後まで洞窟で、火葬場にしてた。僕なんかあのころは小さいからね、そこは火葬場があるから、お昼でも怖いから向こう寄りつかなかったよ。 |
| 全体の記録時間数 | 5:34 |
| 物語の時間数 | 3:51 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |