真栄里マニカ(共通語)

概要

真栄里マニカのマニカとは方言のやんちゃ者とか怠け者という意味だな。そのマニカの家は、この後ろに屋敷があったわけ。その家に男兄弟が三人おったらしいね。この家は農業しておって、ここから二里と言ったら、八キロかほど遠いところに田んぼがあったから、三人兄弟は、その遠いところに行って、農業しておったんですよね。そのころは、十五才になったら、人頭税という税金があったでしょ。昔はよ、金じゃなくしてよ、男は米とか粟とかの作物よ、女は機織り物を納める義務になっとったらしい。人数割りだから、家族の中に一人でも働かない者がいると、みんなが困ったわけだ。ところが、この三人の兄弟は、とても音楽好きでよ、一人は三味線が上手で、また一人は太鼓が上手であったらしい。一人はまた笛が上手であったらしいよ。だから、朝も早くから遠いところの田んぼに出るでしょ。出たら仕事もせんで向こうに、天気が悪くて雨も降っても休めるように茅葺きの掘っ建て小屋を作って、そこで仕事もせんで何日も昼は三人で三味線、横笛、太鼓を合わして堕落して遊んでおって、夜は人の作った野菜なんかの食べ物を盗んで持ってきて食べていたらしいよね。ところがこっちにすごく高い山の於茂登山があって猪がたくさんいたから、鳩間と言う家の祖先がよ、猪捕りをしていたそうだ。後からは鉄砲で猪を捕ったんだけどよ、昔は、鉄砲もないから犬を十匹以上養って猪を追わせて槍で捕っていた。この鳩間という人が夜になったら犬を連れて猪取りに山奥に入られたそうですよ。そうしたら村から遠いところに真栄里マニカの田んぼ小屋があったらしいな。そうして、この兄弟は人に見られないように昼は遊んで、夜は眠っておったんだよ。この方が犬を連れて、夜山ん中入ったところが、この真栄里マニカの三名の兄弟と出会ったらしいな。真栄里マニカ兄弟は、人に見られんように山の中で注意していたけれども、「今日は人に出会わないつもりだったのに、あんたに出会った。あんたが村人に我々に出会ったと言えば、我々のことがばれるから大変だ。あんたを殺す。」と言って、この猪捕りの人を殺そうとしたらしいな。その猪捕りの人は、「殺してもいいけどよ、私はこれまで飼ってた犬と今日でお別れだから、殺される前によ、一言犬によ話があるから、ちょっと待て。」と言って、三人兄弟を信用させてから、犬によ、「今までご飯食べるために猪を獲るの手伝ってもらったたから、あんた達をかわいがってきたけどよ、それも今日で終り。今まで助けてくれてありがとうな。お互いが困ったことがあったら助けような。だから私が助けてって言ったら助けてくれな。」と犬に言って、「よし、助けてくれ。」と犬に言ったら、十匹か、二十匹か分からん犬達がよ、真栄里マニカに飛びかかったから、この怠け者達は命が欲しいだろ。「助けてくれ。」と今度は頼んだらしいな。そしたら、飼い主は、「ちょっと待てよ。」と犬を待たしてよ、「それじゃ、助けてやってもいいが、条件がある。」と言うと、「あなたの言うことは何でも聞くから命だけは助けてくれ。」と言うからね、鳩間と言う家の祖先も山の中で田んぼがあって、そこの田を広げていたから、「助けてやるから、その代わり、向こうの開墾している田んぼを開け仕事をしてくれ。それをやってくれるなら、食い物は自分が持ってきてやる。昼は人が見るからできないからよ、仕事は夜にしてさい。」と言うことで許したから、真栄里マニカ達は昼はやらんで夜来て田んぼを開墾したらしい。その代わり食料は、この人から与えてもらって食べていたらしいな。そして田んぼを空けたらしいよね。その後このマニカは、同し所にはいないで、向こうの名蔵の山奥に移っていたら、その名蔵の山に平得の田本(たーもとー)って人の田んぼがあるんですよね。そこの名蔵の田んぼで、この田本って言う方が仕事をしていたそうだ。今はライターやマッチと言うものあるが、あの当時はそれがないから、火を消せば大変でよ、隣から火を借りてってご飯炊くような時代であったみたい。それで、昔は、この煙草吸う人はクチブーと言うさね。枯れた木を半分くらいに切って、それを藁を巻いて火をつけるとよ、これは火が消えないさ。これを包んでずっと火の種にしていたさな。昔は、キセルの煙草(たばこ)を吸うときもその火を付けた棒を火種にするのに持っていた。この田本と言う方は、向こうの名蔵で泊まろうとして行った所が、この火がどういうわけか消えたらしいよ。火がないとこんな遠いところで泊まれるわけがないから困っておったらしい。そのとき山の中に明かりが見えたらしいな。だから、「ここに人がおるな。」と行ってみたら、夜だから行っても行っても着かないさな。それでやっとたどり着いたところが、三人のやんちゃ者の真栄里マニカがおったらしい。それで、真栄里のマニカは人に見られんようにしていたのに見られてしまったから、田本って言う方を殺そうとしたらしいな。その方は、「絶対秘密は漏らさんからよ、命だけは助けてくれ。」と言って、助けてもらったそうですよね。その後もこのマニカなんて言う者は、昼は山ん中に籠もっていたそうです。昔はこっちはどんなにか忙しかったものか。昔は、女の人なんかも朝早く起きて朝方の暗いうちに畑に芋掘りに行くんですよね。ところが川平のマイシー山に女が芋掘りに来てるもんだから、その真栄里マニカの三名は、その女を取り捕まえて山に連れていってよ、三名兄弟で妻にした。それで、これは動物と同じだから、その女は、「あんた達は、このままでは暮らしていけないよ。私がお家いるときは、織りしておったから、その機織り道具持ってきたいから、家へ帰してくれ。」とうまい具合に三兄弟に言ったから、「そんなら行って持ってこい。」と行かしたそうですよ。その女は、名蔵の部落に帰ると、「真栄里マニカの三名兄弟はどこにいるんです。」と言うたそうですよ。だから部落では、総出でその山を囲んで、三兄弟を捕まえたらしい。その後で、田本という人は、三兄弟を見ているのに知らせなかったということが、後から分かったと言うことで、その田本という人は、西表に島流しされたんだとよ。

再生時間:22:25:00

民話詳細DATA

レコード番号 47O341484
CD番号 47O34C114
決定題名 真栄里マニカ(共通語)
話者がつけた題名
話者名 浜端正雄
話者名かな はまはたまさお
生年月日 19181030
性別
出身地 沖縄県石垣市字真栄里
記録日 19980907
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市真栄里 T92 B02
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 20
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料
キーワード 真栄里,マニカ,やんちゃ者,怠け者,男兄弟,三人,人頭税,人数割り,音楽好き,三味線,太鼓,笛,小屋,於茂登山,鳩間,猪捕り,犬,山奥,条件,田んぼ,開墾,名蔵,平得,田本,クチブー,火種,秘密,女の人,芋掘り,川平,マイシー山,妻,機織り道具,捕まえた,西表,島流し
梗概(こうがい) 真栄里マニカのマニカとは方言のやんちゃ者とか怠け者という意味だな。そのマニカの家は、この後ろに屋敷があったわけ。その家に男兄弟が三人おったらしいね。この家は農業しておって、ここから二里と言ったら、八キロかほど遠いところに田んぼがあったから、三人兄弟は、その遠いところに行って、農業しておったんですよね。そのころは、十五才になったら、人頭税という税金があったでしょ。昔はよ、金じゃなくしてよ、男は米とか粟とかの作物よ、女は機織り物を納める義務になっとったらしい。人数割りだから、家族の中に一人でも働かない者がいると、みんなが困ったわけだ。ところが、この三人の兄弟は、とても音楽好きでよ、一人は三味線が上手で、また一人は太鼓が上手であったらしい。一人はまた笛が上手であったらしいよ。だから、朝も早くから遠いところの田んぼに出るでしょ。出たら仕事もせんで向こうに、天気が悪くて雨も降っても休めるように茅葺きの掘っ建て小屋を作って、そこで仕事もせんで何日も昼は三人で三味線、横笛、太鼓を合わして堕落して遊んでおって、夜は人の作った野菜なんかの食べ物を盗んで持ってきて食べていたらしいよね。ところがこっちにすごく高い山の於茂登山があって猪がたくさんいたから、鳩間と言う家の祖先がよ、猪捕りをしていたそうだ。後からは鉄砲で猪を捕ったんだけどよ、昔は、鉄砲もないから犬を十匹以上養って猪を追わせて槍で捕っていた。この鳩間という人が夜になったら犬を連れて猪取りに山奥に入られたそうですよ。そうしたら村から遠いところに真栄里マニカの田んぼ小屋があったらしいな。そうして、この兄弟は人に見られないように昼は遊んで、夜は眠っておったんだよ。この方が犬を連れて、夜山ん中入ったところが、この真栄里マニカの三名の兄弟と出会ったらしいな。真栄里マニカ兄弟は、人に見られんように山の中で注意していたけれども、「今日は人に出会わないつもりだったのに、あんたに出会った。あんたが村人に我々に出会ったと言えば、我々のことがばれるから大変だ。あんたを殺す。」と言って、この猪捕りの人を殺そうとしたらしいな。その猪捕りの人は、「殺してもいいけどよ、私はこれまで飼ってた犬と今日でお別れだから、殺される前によ、一言犬によ話があるから、ちょっと待て。」と言って、三人兄弟を信用させてから、犬によ、「今までご飯食べるために猪を獲るの手伝ってもらったたから、あんた達をかわいがってきたけどよ、それも今日で終り。今まで助けてくれてありがとうな。お互いが困ったことがあったら助けような。だから私が助けてって言ったら助けてくれな。」と犬に言って、「よし、助けてくれ。」と犬に言ったら、十匹か、二十匹か分からん犬達がよ、真栄里マニカに飛びかかったから、この怠け者達は命が欲しいだろ。「助けてくれ。」と今度は頼んだらしいな。そしたら、飼い主は、「ちょっと待てよ。」と犬を待たしてよ、「それじゃ、助けてやってもいいが、条件がある。」と言うと、「あなたの言うことは何でも聞くから命だけは助けてくれ。」と言うからね、鳩間と言う家の祖先も山の中で田んぼがあって、そこの田を広げていたから、「助けてやるから、その代わり、向こうの開墾している田んぼを開け仕事をしてくれ。それをやってくれるなら、食い物は自分が持ってきてやる。昼は人が見るからできないからよ、仕事は夜にしてさい。」と言うことで許したから、真栄里マニカ達は昼はやらんで夜来て田んぼを開墾したらしい。その代わり食料は、この人から与えてもらって食べていたらしいな。そして田んぼを空けたらしいよね。その後このマニカは、同し所にはいないで、向こうの名蔵の山奥に移っていたら、その名蔵の山に平得の田本(たーもとー)って人の田んぼがあるんですよね。そこの名蔵の田んぼで、この田本って言う方が仕事をしていたそうだ。今はライターやマッチと言うものあるが、あの当時はそれがないから、火を消せば大変でよ、隣から火を借りてってご飯炊くような時代であったみたい。それで、昔は、この煙草吸う人はクチブーと言うさね。枯れた木を半分くらいに切って、それを藁を巻いて火をつけるとよ、これは火が消えないさ。これを包んでずっと火の種にしていたさな。昔は、キセルの煙草(たばこ)を吸うときもその火を付けた棒を火種にするのに持っていた。この田本と言う方は、向こうの名蔵で泊まろうとして行った所が、この火がどういうわけか消えたらしいよ。火がないとこんな遠いところで泊まれるわけがないから困っておったらしい。そのとき山の中に明かりが見えたらしいな。だから、「ここに人がおるな。」と行ってみたら、夜だから行っても行っても着かないさな。それでやっとたどり着いたところが、三人のやんちゃ者の真栄里マニカがおったらしい。それで、真栄里のマニカは人に見られんようにしていたのに見られてしまったから、田本って言う方を殺そうとしたらしいな。その方は、「絶対秘密は漏らさんからよ、命だけは助けてくれ。」と言って、助けてもらったそうですよね。その後もこのマニカなんて言う者は、昼は山ん中に籠もっていたそうです。昔はこっちはどんなにか忙しかったものか。昔は、女の人なんかも朝早く起きて朝方の暗いうちに畑に芋掘りに行くんですよね。ところが川平のマイシー山に女が芋掘りに来てるもんだから、その真栄里マニカの三名は、その女を取り捕まえて山に連れていってよ、三名兄弟で妻にした。それで、これは動物と同じだから、その女は、「あんた達は、このままでは暮らしていけないよ。私がお家いるときは、織りしておったから、その機織り道具持ってきたいから、家へ帰してくれ。」とうまい具合に三兄弟に言ったから、「そんなら行って持ってこい。」と行かしたそうですよ。その女は、名蔵の部落に帰ると、「真栄里マニカの三名兄弟はどこにいるんです。」と言うたそうですよ。だから部落では、総出でその山を囲んで、三兄弟を捕まえたらしい。その後で、田本という人は、三兄弟を見ているのに知らせなかったということが、後から分かったと言うことで、その田本という人は、西表に島流しされたんだとよ。
全体の記録時間数 23:14:00
物語の時間数 22:25:00
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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