風邪の神報恩(共通語)

概要

これは、ハナスキ〔風邪〕を防いだ話ですけどね、昔浜辺の近くに長間家(なーまやー)という家があって、そこに独り暮らしのお婆さんが住んでいたそうです。ある日たくさんの人夫を乗せたね、大きな船がその港に近づいてきて、その中の頭らしい人がお婆さんのお家へ行きましてね、「お婆さん、喉が渇いているので水を飲ませて下さいませんか。」と言うから、お婆さんは旅の人達にお茶をあげ、お茶請けにね、ニンニク漬けを持ってきて、「お茶請けもどうぞ。」と言うと、その人達は、「ありがとうございます。お婆さんが親切にして下さったので本当のことを言いますが、実は自分たちは人間ではなくて、ハナスキを運んでいる夜烏です。私たちが一番嫌いなものはこのニンニクですので、この時期になったらお婆ちゃんはこのニンニクを食べてね、自分達がこの島を通るときは、臼を三回叩いてお婆さんの名前を言って合図をしてください。そうすれば、ハナスキは落としません。」と言い残して、船へ戻ったそうです。お婆ちゃんがさっきまで船と見ていたのは、大きなガジュマルの木で、人に見えていたのはこの黒いカラスのような五位鷺(ごいさぎ)の夜烏であったそうです。そいで、次の年からね、秋風の吹くころになって夜烏が鳴いて空を飛んで行くときはねえ、「長間家(なーまやー)、長間家(なーまやー)の上ですよ。」と言って合図の臼を叩くそうです。それを伝え聞いた村人たちも同じ様なことをして、村中で風邪を防いだというとなんです。これは私の幼いころまでやってました。夜に夜烏(よがらす)がカーカと家の上を通るたびに、「早く臼を叩いてこい。」ってお婆ちゃんなんかに言われてね、「長間屋(なーまやー)の上(うぃ)どー。カイダニヤーの上(うぃ)どー。」って言って小さい杵(ちね)を持っていって、コーン、コーンと臼を三回叩いていました。私らの年齢以上の人はみんな分かります。夜烏(よーがらしゃー)が飛ぶのも鷹の渡りのころでしょうか。鷹は十月ごろになると渡ってきますでしょ。現在、野鳥の会あたりが夕方バンナ岳の上に登って渡ってくる鷹を迎える会があるんですよね。鷹は宮古辺りから一晩羽を休めるそのためにここに飛んで来て、森の中にねぐらを求めて入ってくるところを見て、朝はまた野鳥の会の鷹を送る会といって、バンナ岳に登って、朝飛び立って行くのを見るんですよね。ちょうど、そのころは季節の変わり目で、風邪も多いし、五位鷺もそのころよく鳴くのでね、もしかしたら、これも渡り鳥かもしれません。

再生時間:3:10

民話詳細DATA

レコード番号 47O340612
CD番号 47O34C042
決定題名 風邪の神報恩(共通語)
話者がつけた題名 風邪の神払い由来
話者名 山根慶子
話者名かな やまねけいこ
生年月日 19241105
性別
出身地 沖縄県石垣市字新川
記録日 19980908
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市字新川 T50 A05
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12,80
発句(ほっく)
伝承事情 慶応元年生まれのお祖母さんから聞いた
文字化資料 石垣島の民話 P138
キーワード ハナスキ,風邪,長間家,お婆さん,人夫,船,頭,お茶,ニンニク漬け,親切,本当のこと,夜烏,臼,三回,叩いて,合図,ガジュマルの,五位鷺,鷹,渡り,十月ごろ,
梗概(こうがい) これは、ハナスキ〔風邪〕を防いだ話ですけどね、昔浜辺の近くに長間家(なーまやー)という家があって、そこに独り暮らしのお婆さんが住んでいたそうです。ある日たくさんの人夫を乗せたね、大きな船がその港に近づいてきて、その中の頭らしい人がお婆さんのお家へ行きましてね、「お婆さん、喉が渇いているので水を飲ませて下さいませんか。」と言うから、お婆さんは旅の人達にお茶をあげ、お茶請けにね、ニンニク漬けを持ってきて、「お茶請けもどうぞ。」と言うと、その人達は、「ありがとうございます。お婆さんが親切にして下さったので本当のことを言いますが、実は自分たちは人間ではなくて、ハナスキを運んでいる夜烏です。私たちが一番嫌いなものはこのニンニクですので、この時期になったらお婆ちゃんはこのニンニクを食べてね、自分達がこの島を通るときは、臼を三回叩いてお婆さんの名前を言って合図をしてください。そうすれば、ハナスキは落としません。」と言い残して、船へ戻ったそうです。お婆ちゃんがさっきまで船と見ていたのは、大きなガジュマルの木で、人に見えていたのはこの黒いカラスのような五位鷺(ごいさぎ)の夜烏であったそうです。そいで、次の年からね、秋風の吹くころになって夜烏が鳴いて空を飛んで行くときはねえ、「長間家(なーまやー)、長間家(なーまやー)の上ですよ。」と言って合図の臼を叩くそうです。それを伝え聞いた村人たちも同じ様なことをして、村中で風邪を防いだというとなんです。これは私の幼いころまでやってました。夜に夜烏(よがらす)がカーカと家の上を通るたびに、「早く臼を叩いてこい。」ってお婆ちゃんなんかに言われてね、「長間屋(なーまやー)の上(うぃ)どー。カイダニヤーの上(うぃ)どー。」って言って小さい杵(ちね)を持っていって、コーン、コーンと臼を三回叩いていました。私らの年齢以上の人はみんな分かります。夜烏(よーがらしゃー)が飛ぶのも鷹の渡りのころでしょうか。鷹は十月ごろになると渡ってきますでしょ。現在、野鳥の会あたりが夕方バンナ岳の上に登って渡ってくる鷹を迎える会があるんですよね。鷹は宮古辺りから一晩羽を休めるそのためにここに飛んで来て、森の中にねぐらを求めて入ってくるところを見て、朝はまた野鳥の会の鷹を送る会といって、バンナ岳に登って、朝飛び立って行くのを見るんですよね。ちょうど、そのころは季節の変わり目で、風邪も多いし、五位鷺もそのころよく鳴くのでね、もしかしたら、これも渡り鳥かもしれません。
全体の記録時間数 9:55
物語の時間数 3:10
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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