
紫微鑾駕川(しびらんががわ)という川があってこの川は干潮のときにしか渡れなかった。そのこの岸に若いみすぼらしい女の人が川を眺めながらじっとして立って居るところにね、ある農夫がこの川を渡りに来たので、その女の人が、「私は急な用事がありますが、この川が渡れないので非常に困っておりますが、何とか私を渡してくれませんか。」と農夫にお願いすると、この農夫がね、「急の用事であれば、それじゃ私が渡してあげよう。」と、その女の人をおんぶして川から渡してやるると、この女の方が、「実は私は火の神様の使いであります。火の神様の使いで、今晩私はどこどこの家に火をつけに行く途中です。あんたは川を渡したりして下さったりしたので、誰にも言ってはいけない秘密を教えてあげましょう。私は今神の使いでどこどこにあんたんは火をつけてこいと言われるけれども、あんたがその火をつける家の知り合いであれば、その家の棟板(むねぎた)と玄関、廊下にも天官賜福紫微鑾駕(てんかんふくをたまうしびらんが)という字と大工の棟梁の名前を書いて貼付つけて下さい。」と言うようなことをこの火の神の使いが教えて下さった。聞いていたら、それは自分の家が当たっておったから、この人は、大変だと早速行って、教えてもらったとおり、「天官賜福(てんかんふくをたまう)紫微鑾駕(し び らんが)」と文字と大工の棟梁の名前を近所の人を頼んで書いてもらって、それを棟板に揚げたから、ほかの家は火事になったが、その家はおかげで火災は免れたと。これはずっと戦前から続いている八重山の村の一つの習わしで、今新築をする家の中にはみな「天官賜福」と書いた板が揚げられている。棟板の上に大きな字で書くが、これは、神の使いが、「この棟板は文字を書くのも、鉋を引くのも棟梁だけでしなさいよ。」と言うようにおっしゃったから、字を書くのはもちろん棟板の鉋を引くとかそういうものも棟梁に限るということだから、これだけは総て棟梁がやります。石垣ではみんな新築の家には、木造でもコンクリート屋でも、すべてこの火災除けの棟板があります。
| レコード番号 | 47O341047 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C079 |
| 決定題名 | 紫微鑾駕由来(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 森永用長 |
| 話者名かな | もりながようちょう |
| 生年月日 | 19161222 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市字石垣 |
| 記録日 | 19980907 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市石垣 T34 B03 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 12 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 日本昔話通観第26巻 P243 |
| キーワード | 紫微鑾駕川,干潮,若い,みすぼらしい,女の人,農夫,渡れない,おんぶ,火の神様,秘密,棟板,玄関,廊下,天官賜福紫微鑾駕,てんかんふくをたまうしびらんが,大工の棟梁の名前,文字,火事,八重山,鉋,火災除け |
| 梗概(こうがい) | 紫微鑾駕川(しびらんががわ)という川があってこの川は干潮のときにしか渡れなかった。そのこの岸に若いみすぼらしい女の人が川を眺めながらじっとして立って居るところにね、ある農夫がこの川を渡りに来たので、その女の人が、「私は急な用事がありますが、この川が渡れないので非常に困っておりますが、何とか私を渡してくれませんか。」と農夫にお願いすると、この農夫がね、「急の用事であれば、それじゃ私が渡してあげよう。」と、その女の人をおんぶして川から渡してやるると、この女の方が、「実は私は火の神様の使いであります。火の神様の使いで、今晩私はどこどこの家に火をつけに行く途中です。あんたは川を渡したりして下さったりしたので、誰にも言ってはいけない秘密を教えてあげましょう。私は今神の使いでどこどこにあんたんは火をつけてこいと言われるけれども、あんたがその火をつける家の知り合いであれば、その家の棟板(むねぎた)と玄関、廊下にも天官賜福紫微鑾駕(てんかんふくをたまうしびらんが)という字と大工の棟梁の名前を書いて貼付つけて下さい。」と言うようなことをこの火の神の使いが教えて下さった。聞いていたら、それは自分の家が当たっておったから、この人は、大変だと早速行って、教えてもらったとおり、「天官賜福(てんかんふくをたまう)紫微鑾駕(し び らんが)」と文字と大工の棟梁の名前を近所の人を頼んで書いてもらって、それを棟板に揚げたから、ほかの家は火事になったが、その家はおかげで火災は免れたと。これはずっと戦前から続いている八重山の村の一つの習わしで、今新築をする家の中にはみな「天官賜福」と書いた板が揚げられている。棟板の上に大きな字で書くが、これは、神の使いが、「この棟板は文字を書くのも、鉋を引くのも棟梁だけでしなさいよ。」と言うようにおっしゃったから、字を書くのはもちろん棟板の鉋を引くとかそういうものも棟梁に限るということだから、これだけは総て棟梁がやります。石垣ではみんな新築の家には、木造でもコンクリート屋でも、すべてこの火災除けの棟板があります。 |
| 全体の記録時間数 | 8:34 |
| 物語の時間数 | 8:33 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |