チーグー王(シマグチ)

概要

チーグ王と言う人は、王様の嫡子だが、嫡子でおられるが。この津堅親方と言う御方は昔の摂政なのさ、
位が高くて、王様のすぐ下の位だからさ、津堅親方はそう言う方です。 それから(国王の)次男は、この
人の甥にあたるようだ。このチーグ王の母親が、おなくなりになったので、この津堅親方の姉さんがなった
らしい。王様の妻に。そして、この姉の子だから次男は。その次男に王位を継がせたら、自分勝手ができる
でしょう、津堅親方は。そう言うわけで丁度チーグ王と言う人は、大新城が養育係で、この人が養育するわ
け、それに養育係と言うさ。またこの津堅親方は、次男は自分の甥になっているでしょう。そして次男は首
里親国の味方で、チーグ王は那覇の味方だったって。
 そしたら、この国王が、御亡くなりになって、御葬式も無事終ってしまうと、もう両方とも旗を上げて、
(自分が)王様になるんだと行くわけ。園比屋武御嶽に、今、御願所になっている所ね。その御願所の側で
、一同止っているわけ。「自分たちが王になるんだ、いや私たちが王になるんだ。」と、両方が言い争って
いた。〈この大新城という人は大変な武術使いで、(別に)鬼大城とも言っていたわけ。この人の名は、ほ
んとうは大新城なのだが。〉「今も一番に、ここについたが、あなた様が一言でも、ものをおっしゃって下
されば、すぐに王様になれるのに。」と、この人が天にお願い申し上げたところ、一言御言いになったそう
だ。「大新城でよろしく取計って下さい」というので、「それ、御話になった、どうだどうだ。」と望みを
かけにいらしたらしい。そうして、王様になって、国王は唖の王様でしょう。この人は庭好きで大変な花好
きであられた。津堅親方が、「今日ぜひ私の庭をながめにいらして下さい。立派な花も咲いておりますので
。」と、招待なさったので、それではと津堅親方の家に、チーグ王を先頭に行列組んで行ったらしい。その
途中、今話した御願所の所から、蓑笠を着けた、乞食のような年寄が出ていらっしゃって、「今日の王様の
行列は、お戻りになり、津堅親方の家を探索させてから、おでかけになった方がよろしいですよ。」と言っ
たので、お供の者たちは、刀を抜いて、「お前のような乞食の年寄が、なにを言うか。」と、刀を抜いたら
、この蓑笠を取り払って立派な白髪の老人になった。(この人は)ここの神様、園比屋武御嶽の神様だった
って。「今日の王様の行列は、御戻りになさって、むこうは探索なさって、調べてからいらして下さい。」
と、御辞儀をした。その時には皆、「さようでございますが、氏神様」と、氏神様でいらっしゃるので(言
われた通り、お戻りになりました。津堅親方の家におでかけにならないで行かないで。
 そうして、津堅親方の家は、調べたところ、庭の入口に落とし穴を作って、その中に武具道具さして、落
ちたならば、それで刺すような仕組になっていた。そして、招待したのに(上様)がいらっしゃらないので
、津堅親方は、ビックリして逃げたそうだ。すると、武勇では、親方は沖縄一、位からも一番なので、この
人をどうすれば捕える事が出来るかとこまってしまった。丁度その時、伊野波のモーイ親方、その時もこの
人は、あすたべで城に勤めていたから、親の代から。そして、この人の言い分が、「沖縄中、タバコをやめ
させて下さい。自分一人に許可して下さい。そしたら、私が捕えてみせます。」といったので、「それでよ
いから。」と、モーイ親方一人がタバコを吸うことを許され、一般の人は、みんなやめさせられた。
 そうしたら、モーイ親方と言う人は、昔は二銭するタバコ、二銭というのは、一貫というのさ、一貫巻き
といって、今のタワシの円のがあるさ、あれくらいあったよ、二銭分の煙草は。そして、このタバコが一回
で入るようなキセルを作って、二階に上って、フーフー、フー、と煙らせていたらしい。あふれんばかりに
、タバコを押しこんであるので。
 そしたら、津堅親方という人は、タバコを吸っていた方なので、止めさせられて、どこにもないので、「
モーイ、モーイ」といってモーイ親方の家にいらっしゃって、「さて、どちらさまでしょうか。」「私だよ
。」「津堅親方でいらっしゃいますか。」「そうだよ私だよ。ちょっと、お前のタバコを吸わせてくれんか
。」といったら、「はー、あなたはー般の人は、止めさせられて、自分だけが許されているのに、あなたに
あげたら、私まで引っぱられて、大変ですので、さし上げられません。」「そんなことはないよ。どうか一
口、吸わせてくれ。」「そんなら、あなたは、私が戸を少し開けますから、そこに首を入れて吸われますか
。」「それでもよいので吸わせてくれ。」というので、モーイは、戸を首の入るぐらいあけて、タバコを吸
わせて、手で戸を閉めた。そうしたら、網が張ってあるので、役人が集ってきて、捕えてしまった。
 そして、その後、津堅親方は、津堅島に連れていかれて、舟に乗せられ、三百斤の重さの真石を結ばれ、
足に結ばれ、津堅の海に沈まされてしまった。津堅久高の海で。
〔方言原話〕 チーグ王(おう)りちゃる人(ちょー)や、王様ぬ嫡子(ちゃくし)やしがや、嫡子(ちゃ
くし)やみせーしがくぬ津堅(ちきん)親方(うえーかた)りる御方(うかた)や、また、昔(んかし)ぬ
摂政(しっしい)やるば。大(ま)ぎさんよう、じこうり、王ぬ後(くし)んじ立ちみせーる津堅親方や、
うん人(ちゅ)やぐとぅ。
 今度(くんろー)、次男(じな)のー、うぬ人(ちゅ)が甥子(みーくわ)やるぐたーんや。くぬチーグ
王ぬ女(いなぐ)ぬ親や亡(まー)しみそーちゃくとぅ、また、うぬ津堅親方ぬ姉(うない)ぬめんそーち
ょーるばーよー、王様ぬ妻(とうじ)ぇー。あんし、うぬ姉ぬ子(くわ)やぐとぅ次男のー。次男ぬんかい
王継(ち)がしーねー、自分(るー)ぬ勝手(かってい)ないせーや、津堅親方ぁ。うぬたみなかい、丁度
(ちょうど)、くぬチーグ王りちゃる人(ちょー)、大新城(うふあらぐしく)りーる人(ちゅ)ぬ、むい
やかーいち、うん人がひたてぃとーるばーてぇ。うりんかい、むいやかーりん。また、くぬ津堅親方や、自
分(るー)ぬ甥子(みーくわ)なとーせーや。うぬ甥子りーせー、首里ぬ、うぇー国(ぐに)ぬ方(かた)
や、チーグ王や那覇(なは)ぬ味方やたんりよー。
 あんさーとぅ、うぬ御主加那志が亡(まー)しみそーち、御荼毘(うだび)ぬかんし出(い)ぢたぐとぅ
、なー両方(ろーほう)、旗上(はたあぎ)てぃ、王がきーがちゅーるばー。うんにーうねー、園比屋武御
嶽(すぬふわんうたき)、今(なま)、御願所(うがんじゅ)ぬ、今(なま)、言ちゃせー。うぬ御願所ぬ
側(はた)うてぃ、一同(いちどー)ぅなー、止(とう)まとぅぬばーてーなー。「わったーがる王ないん
てぇ、わったーがる王ないんてぇ。」両方(ろーほう)争(あらそ)いやるばー。〈うぬ大新城りる人、る
くでぇー武士ないみそーやーい、鬼(うに)大城りん言(い)ちょーんよー、うぬ人、大新城るやしが〉あ
んし、「なまんさちばいやしが、うんじゅが、一言(ちゅくとば)、言(い)みそーれー、しぐなとーしが
。」りぃち、うん人が、天(てい)にんかい願申(ぐわんもう)しみそーちゃくとぅ、一言(ちゅぐとば)
、言みそーちゃんりよー。「大新城さーいよー、ゆたさるぐとぅ考(かんげえ)てぃくぃみそーり。」「う
り、物言(むぬい)ちゃんろー、ちゃがちゃがー。」し、ちぼーかきいがめんそーちゃんり。
 あんし、王かきてぃなー、御主加那志い、チーグやみせーしぇー。うぬ人(ちょー)なー、庭(にわ)好
(じ)ちーなてぃ、大変(でえーじ)な花好(じ)ちやみせーたんり。津堅親方ぬ招待(しょーたい)しみ
そーち、「今日、わったー庭(にわ)眺(なが)みーがめんそーりよー。立派な花ん咲ちょーびーぐとぅ。
」んりち、招待しみそーちゃとぅ、なー津堅親方ぬ家(やー)んかいんりち、チーグ王先なち、すねーいぎ
さん。うぬ、すねーいぬばーんかい、今、うぬ御願所ぬ話さぬ、うまから、蓑笠小(んぬかさぐわ)ぁ着(
ち)ち、くんちゃー小(ぐわー)とーいぬむん、年寄(とうす)いぬ出(ん)ぢてぃめんそーち、「今日(
ちゅう)ぬ王(をー)ぬ、うすねーや、御戻(うむどう)いみそーち、むこうや、津堅親方ぬ家や探さくし
みてぃから、めんそーちくぃみそーり。」りちさぐぅとぅ、御供(うとうむ)ぬちゃーが刀(たち)抜(ぬ
)じ、「いゃーぐとーる乞食(くじき)ぬぐたる、たんめーが何(ぬー)んりが。」んり刀抜じさぐとぅ、
うぬ蓑笠(んぬかさ)あ、くんはじてぃ、立派な白髪(しらぎー)たんめーなたんり。あんすとぅ、んまぬ
神(かみ)やんせーんり、園比屋武御嶽(そのふあんうたき)ぬ神。「今日ぬ王ぬ、うすねーや、御戻みそ
ーち、むこうや探さくしみてぃ、調びてぃからめんそうちくぃみそーり。」んち、ぐりーせーん。うんにー
うてー、皆(いな)「あはー、あんさびーみ、うふじ。」りち、氏神(うじがみ)やみせーぐとぅ、戻(む
どう)いみそーちゃんり。あまんかい行かんよーい、めんそーらんよー。
 あんさーに、丁度、津堅親方ぬ家や調びたぐとぅ、庭ぬ入口なかい落(う)とし穴(あな)ちゅくてぃや
、むる具武道具(ぐぶどうぐ)刺(さ)ち、下(しちゃ)んじ落(う)てぃーねー、うりんかい刺さりーん
、あんし仕組(しくみ)さっとーたんり。あんせー招待しん、めんそうらんるあぐとぅ、なー津堅親方や驚
ち、逃(ひんぎ)てえるばー。武勇(むゆう)、うんちょー沖縄一やい。位からいちん一番やせー、くん人
、ちゃされーからみらりいがやーりちぃ。
 丁度今時(うぬとうち)伊野波のモーイ親方、うんにーん、うん人、あすたびぃやぐとぅ、城に勤めやぐ
とぅ、あすたびぬ位(1)、親代から、あんさあーに、うぬ人ぬ言(い)い分(ぶん)ぬ、「沖縄一般(い
っぱん)、煙草(たばく)止(や)みみそうるわ、身分(わん)一人(ちゅい)許(ゆる)ちきみそうりわ
、あしせー私が、からみやびいさ。」でぃち、「とーあんせぇー、あんししむん」でぃ、うぬモーイ親方一
人煙草や許(ゆり)ちや、人民一般民のー、むる止みらっとぅんばー。
 あんさぁーにモーイ親方りる人よ、昔(んか)せー、二銭なーが煙草んりちぃや、二銭りいせぇ一貫(く
わん)りーんよし、一貫巻(ま)ちいち、くいなー、なまぬタワシが円(まるー)があせー、あひなしあた
んよし、二銭なーが煙草。あんさーに、うり一(ていー)ちなし入るキシル作くてや、二階登てぃ、フーフ
ーフーし煙(きぶ)らしぎさん、うぬ、煙草(たばくー)うーやてぃーやし入ってーぐぅとぅ。あんせーい
津堅親方りーせー、煙草(たばくー)なー、うさがとうる人るやくとぅ、なー、止みらってぃ、まーんねぇ
らんるあくとぅ、「モーイ、モーイリ。」しモーイ親方ぬ家んかいめんそーち、「はー、やー、誰(たー)
やみせぇーが」「私(わん)んるやんれぇー」「津堅親方るやみせえりい」「いいわんどぅやんどー、だー
、いゃー、煙草(たばく)ぐゎー、一口(ちゅくち)ふかちきらんなー」でぃ、ちさくとぅ、「うんじょう
、一般民むる止(とう)みらってぃ、自分(わん)一人る許さっとぅいびいる、うんじゅんかいうさぎいね
ー、私(わ)んまり引(ひ)かってぃ、大変(でえじ)さびいん、私(わ)んね、うさぎらんさ。」「あら
んさやー、どうりん、一口(ちゅくち)え、ふかちきりわ。」「あんしうんじよう、私(わー)が戸(はし
る)くうてぇんぐゎー開(あ)きらわやー、うまんかい首入(い)ってうさがいみ。」「いい、あんしん、
ふちゅぐとぅなー、ふかちきり。」戸(はしる)ぐぁーや、首に頭(ちぶる)ぬ入るぶん開きやーい煙草う
さぎいやなーい、手(てー)し閉(し)みたんり。うりあんさなー、網(あみ)張(は)とぅぐとぅ役人ぬ
人や、集(あち)まやあーに、くん縛(たば)たんり。あんしうりから津堅親方りる人(ちょー)や、津堅
どうんかいそうらってぃいじ、舟んかい乗(ぬ)しらってぃ、三百斤(さんぱつち))かかいる真石(まー
し)、くんち、足んかいひっちきて、津堅(ちきん)るーんじ沈(しじ)まさたんり。津堅(ちきん)久高

再生時間:10:27

民話詳細DATA

レコード番号 47O160502
CD番号 47O16C026
決定題名 チーグー王(シマグチ)
話者がつけた題名
話者名 上原蒲戸
話者名かな うえはらかまと
生年月日 18901201
性別
出身地
記録日 19750615
記録者の所属組織 沖縄口承文芸調査団
元テープ番号 T4 B09
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12,20
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 那覇の民話資料(第1集 小禄地区)P82 日本昔話通観 第26巻 沖縄 P846
キーワード 聾唖者,琉球の王様,王位継承,津堅親方,策略
梗概(こうがい) チーグ王と言う人は、王様の嫡子だが、嫡子でおられるが。この津堅親方と言う御方は昔の摂政なのさ、 位が高くて、王様のすぐ下の位だからさ、津堅親方はそう言う方です。 それから(国王の)次男は、この 人の甥にあたるようだ。このチーグ王の母親が、おなくなりになったので、この津堅親方の姉さんがなった らしい。王様の妻に。そして、この姉の子だから次男は。その次男に王位を継がせたら、自分勝手ができる でしょう、津堅親方は。そう言うわけで丁度チーグ王と言う人は、大新城が養育係で、この人が養育するわ け、それに養育係と言うさ。またこの津堅親方は、次男は自分の甥になっているでしょう。そして次男は首 里親国の味方で、チーグ王は那覇の味方だったって。  そしたら、この国王が、御亡くなりになって、御葬式も無事終ってしまうと、もう両方とも旗を上げて、 (自分が)王様になるんだと行くわけ。園比屋武御嶽に、今、御願所になっている所ね。その御願所の側で 、一同止っているわけ。「自分たちが王になるんだ、いや私たちが王になるんだ。」と、両方が言い争って いた。〈この大新城という人は大変な武術使いで、(別に)鬼大城とも言っていたわけ。この人の名は、ほ んとうは大新城なのだが。〉「今も一番に、ここについたが、あなた様が一言でも、ものをおっしゃって下 されば、すぐに王様になれるのに。」と、この人が天にお願い申し上げたところ、一言御言いになったそう だ。「大新城でよろしく取計って下さい」というので、「それ、御話になった、どうだどうだ。」と望みを かけにいらしたらしい。そうして、王様になって、国王は唖の王様でしょう。この人は庭好きで大変な花好 きであられた。津堅親方が、「今日ぜひ私の庭をながめにいらして下さい。立派な花も咲いておりますので 。」と、招待なさったので、それではと津堅親方の家に、チーグ王を先頭に行列組んで行ったらしい。その 途中、今話した御願所の所から、蓑笠を着けた、乞食のような年寄が出ていらっしゃって、「今日の王様の 行列は、お戻りになり、津堅親方の家を探索させてから、おでかけになった方がよろしいですよ。」と言っ たので、お供の者たちは、刀を抜いて、「お前のような乞食の年寄が、なにを言うか。」と、刀を抜いたら 、この蓑笠を取り払って立派な白髪の老人になった。(この人は)ここの神様、園比屋武御嶽の神様だった って。「今日の王様の行列は、御戻りになさって、むこうは探索なさって、調べてからいらして下さい。」 と、御辞儀をした。その時には皆、「さようでございますが、氏神様」と、氏神様でいらっしゃるので(言 われた通り、お戻りになりました。津堅親方の家におでかけにならないで行かないで。  そうして、津堅親方の家は、調べたところ、庭の入口に落とし穴を作って、その中に武具道具さして、落 ちたならば、それで刺すような仕組になっていた。そして、招待したのに(上様)がいらっしゃらないので 、津堅親方は、ビックリして逃げたそうだ。すると、武勇では、親方は沖縄一、位からも一番なので、この 人をどうすれば捕える事が出来るかとこまってしまった。丁度その時、伊野波のモーイ親方、その時もこの 人は、あすたべで城に勤めていたから、親の代から。そして、この人の言い分が、「沖縄中、タバコをやめ させて下さい。自分一人に許可して下さい。そしたら、私が捕えてみせます。」といったので、「それでよ いから。」と、モーイ親方一人がタバコを吸うことを許され、一般の人は、みんなやめさせられた。  そうしたら、モーイ親方と言う人は、昔は二銭するタバコ、二銭というのは、一貫というのさ、一貫巻き といって、今のタワシの円のがあるさ、あれくらいあったよ、二銭分の煙草は。そして、このタバコが一回 で入るようなキセルを作って、二階に上って、フーフー、フー、と煙らせていたらしい。あふれんばかりに 、タバコを押しこんであるので。  そしたら、津堅親方という人は、タバコを吸っていた方なので、止めさせられて、どこにもないので、「 モーイ、モーイ」といってモーイ親方の家にいらっしゃって、「さて、どちらさまでしょうか。」「私だよ 。」「津堅親方でいらっしゃいますか。」「そうだよ私だよ。ちょっと、お前のタバコを吸わせてくれんか 。」といったら、「はー、あなたはー般の人は、止めさせられて、自分だけが許されているのに、あなたに あげたら、私まで引っぱられて、大変ですので、さし上げられません。」「そんなことはないよ。どうか一 口、吸わせてくれ。」「そんなら、あなたは、私が戸を少し開けますから、そこに首を入れて吸われますか 。」「それでもよいので吸わせてくれ。」というので、モーイは、戸を首の入るぐらいあけて、タバコを吸 わせて、手で戸を閉めた。そうしたら、網が張ってあるので、役人が集ってきて、捕えてしまった。  そして、その後、津堅親方は、津堅島に連れていかれて、舟に乗せられ、三百斤の重さの真石を結ばれ、 足に結ばれ、津堅の海に沈まされてしまった。津堅久高の海で。 〔方言原話〕 チーグ王(おう)りちゃる人(ちょー)や、王様ぬ嫡子(ちゃくし)やしがや、嫡子(ちゃ くし)やみせーしがくぬ津堅(ちきん)親方(うえーかた)りる御方(うかた)や、また、昔(んかし)ぬ 摂政(しっしい)やるば。大(ま)ぎさんよう、じこうり、王ぬ後(くし)んじ立ちみせーる津堅親方や、 うん人(ちゅ)やぐとぅ。  今度(くんろー)、次男(じな)のー、うぬ人(ちゅ)が甥子(みーくわ)やるぐたーんや。くぬチーグ 王ぬ女(いなぐ)ぬ親や亡(まー)しみそーちゃくとぅ、また、うぬ津堅親方ぬ姉(うない)ぬめんそーち ょーるばーよー、王様ぬ妻(とうじ)ぇー。あんし、うぬ姉ぬ子(くわ)やぐとぅ次男のー。次男ぬんかい 王継(ち)がしーねー、自分(るー)ぬ勝手(かってい)ないせーや、津堅親方ぁ。うぬたみなかい、丁度 (ちょうど)、くぬチーグ王りちゃる人(ちょー)、大新城(うふあらぐしく)りーる人(ちゅ)ぬ、むい やかーいち、うん人がひたてぃとーるばーてぇ。うりんかい、むいやかーりん。また、くぬ津堅親方や、自 分(るー)ぬ甥子(みーくわ)なとーせーや。うぬ甥子りーせー、首里ぬ、うぇー国(ぐに)ぬ方(かた) や、チーグ王や那覇(なは)ぬ味方やたんりよー。  あんさーとぅ、うぬ御主加那志が亡(まー)しみそーち、御荼毘(うだび)ぬかんし出(い)ぢたぐとぅ 、なー両方(ろーほう)、旗上(はたあぎ)てぃ、王がきーがちゅーるばー。うんにーうねー、園比屋武御 嶽(すぬふわんうたき)、今(なま)、御願所(うがんじゅ)ぬ、今(なま)、言ちゃせー。うぬ御願所ぬ 側(はた)うてぃ、一同(いちどー)ぅなー、止(とう)まとぅぬばーてーなー。「わったーがる王ないん てぇ、わったーがる王ないんてぇ。」両方(ろーほう)争(あらそ)いやるばー。〈うぬ大新城りる人、る くでぇー武士ないみそーやーい、鬼(うに)大城りん言(い)ちょーんよー、うぬ人、大新城るやしが〉あ んし、「なまんさちばいやしが、うんじゅが、一言(ちゅくとば)、言(い)みそーれー、しぐなとーしが 。」りぃち、うん人が、天(てい)にんかい願申(ぐわんもう)しみそーちゃくとぅ、一言(ちゅぐとば) 、言みそーちゃんりよー。「大新城さーいよー、ゆたさるぐとぅ考(かんげえ)てぃくぃみそーり。」「う り、物言(むぬい)ちゃんろー、ちゃがちゃがー。」し、ちぼーかきいがめんそーちゃんり。  あんし、王かきてぃなー、御主加那志い、チーグやみせーしぇー。うぬ人(ちょー)なー、庭(にわ)好 (じ)ちーなてぃ、大変(でえーじ)な花好(じ)ちやみせーたんり。津堅親方ぬ招待(しょーたい)しみ そーち、「今日、わったー庭(にわ)眺(なが)みーがめんそーりよー。立派な花ん咲ちょーびーぐとぅ。 」んりち、招待しみそーちゃとぅ、なー津堅親方ぬ家(やー)んかいんりち、チーグ王先なち、すねーいぎ さん。うぬ、すねーいぬばーんかい、今、うぬ御願所ぬ話さぬ、うまから、蓑笠小(んぬかさぐわ)ぁ着( ち)ち、くんちゃー小(ぐわー)とーいぬむん、年寄(とうす)いぬ出(ん)ぢてぃめんそーち、「今日( ちゅう)ぬ王(をー)ぬ、うすねーや、御戻(うむどう)いみそーち、むこうや、津堅親方ぬ家や探さくし みてぃから、めんそーちくぃみそーり。」りちさぐぅとぅ、御供(うとうむ)ぬちゃーが刀(たち)抜(ぬ )じ、「いゃーぐとーる乞食(くじき)ぬぐたる、たんめーが何(ぬー)んりが。」んり刀抜じさぐとぅ、 うぬ蓑笠(んぬかさ)あ、くんはじてぃ、立派な白髪(しらぎー)たんめーなたんり。あんすとぅ、んまぬ 神(かみ)やんせーんり、園比屋武御嶽(そのふあんうたき)ぬ神。「今日ぬ王ぬ、うすねーや、御戻みそ ーち、むこうや探さくしみてぃ、調びてぃからめんそうちくぃみそーり。」んち、ぐりーせーん。うんにー うてー、皆(いな)「あはー、あんさびーみ、うふじ。」りち、氏神(うじがみ)やみせーぐとぅ、戻(む どう)いみそーちゃんり。あまんかい行かんよーい、めんそーらんよー。  あんさーに、丁度、津堅親方ぬ家や調びたぐとぅ、庭ぬ入口なかい落(う)とし穴(あな)ちゅくてぃや 、むる具武道具(ぐぶどうぐ)刺(さ)ち、下(しちゃ)んじ落(う)てぃーねー、うりんかい刺さりーん 、あんし仕組(しくみ)さっとーたんり。あんせー招待しん、めんそうらんるあぐとぅ、なー津堅親方や驚 ち、逃(ひんぎ)てえるばー。武勇(むゆう)、うんちょー沖縄一やい。位からいちん一番やせー、くん人 、ちゃされーからみらりいがやーりちぃ。  丁度今時(うぬとうち)伊野波のモーイ親方、うんにーん、うん人、あすたびぃやぐとぅ、城に勤めやぐ とぅ、あすたびぬ位(1)、親代から、あんさあーに、うぬ人ぬ言(い)い分(ぶん)ぬ、「沖縄一般(い っぱん)、煙草(たばく)止(や)みみそうるわ、身分(わん)一人(ちゅい)許(ゆる)ちきみそうりわ 、あしせー私が、からみやびいさ。」でぃち、「とーあんせぇー、あんししむん」でぃ、うぬモーイ親方一 人煙草や許(ゆり)ちや、人民一般民のー、むる止みらっとぅんばー。  あんさぁーにモーイ親方りる人よ、昔(んか)せー、二銭なーが煙草んりちぃや、二銭りいせぇ一貫(く わん)りーんよし、一貫巻(ま)ちいち、くいなー、なまぬタワシが円(まるー)があせー、あひなしあた んよし、二銭なーが煙草。あんさーに、うり一(ていー)ちなし入るキシル作くてや、二階登てぃ、フーフ ーフーし煙(きぶ)らしぎさん、うぬ、煙草(たばくー)うーやてぃーやし入ってーぐぅとぅ。あんせーい 津堅親方りーせー、煙草(たばくー)なー、うさがとうる人るやくとぅ、なー、止みらってぃ、まーんねぇ らんるあくとぅ、「モーイ、モーイリ。」しモーイ親方ぬ家んかいめんそーち、「はー、やー、誰(たー) やみせぇーが」「私(わん)んるやんれぇー」「津堅親方るやみせえりい」「いいわんどぅやんどー、だー 、いゃー、煙草(たばく)ぐゎー、一口(ちゅくち)ふかちきらんなー」でぃ、ちさくとぅ、「うんじょう 、一般民むる止(とう)みらってぃ、自分(わん)一人る許さっとぅいびいる、うんじゅんかいうさぎいね ー、私(わ)んまり引(ひ)かってぃ、大変(でえじ)さびいん、私(わ)んね、うさぎらんさ。」「あら んさやー、どうりん、一口(ちゅくち)え、ふかちきりわ。」「あんしうんじよう、私(わー)が戸(はし る)くうてぇんぐゎー開(あ)きらわやー、うまんかい首入(い)ってうさがいみ。」「いい、あんしん、 ふちゅぐとぅなー、ふかちきり。」戸(はしる)ぐぁーや、首に頭(ちぶる)ぬ入るぶん開きやーい煙草う さぎいやなーい、手(てー)し閉(し)みたんり。うりあんさなー、網(あみ)張(は)とぅぐとぅ役人ぬ 人や、集(あち)まやあーに、くん縛(たば)たんり。あんしうりから津堅親方りる人(ちょー)や、津堅 どうんかいそうらってぃいじ、舟んかい乗(ぬ)しらってぃ、三百斤(さんぱつち))かかいる真石(まー し)、くんち、足んかいひっちきて、津堅(ちきん)るーんじ沈(しじ)まさたんり。津堅(ちきん)久高
全体の記録時間数 10:50
物語の時間数 10:27
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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