猿長者(シマグチ混じり)

概要

ある、おじいさんがね、見すぼらしいおじいさんが、年夜に大晦日にさ、年夜に、「ごめんください
、ごめんください」と言ってやって来たって。
 そしたらね、金持らしい家の方に、はじめは入ったらしいね、そして呼んだら、「もう遠くから来ていますが、夜はふけてしまaAもう帰ることができませんが、あなたたちの、前の小屋でもよろしいのですが、
今日、一夜は泊めて下さいませんか」こう言ったらしいね。そしたら、この金持ちの家(の人)はね、「今
日は、何の日か分かるか、年の夜だということ分かるのか、自分の家にさっさと行くんで、何んで他人の家
に泊るのか、泊まらす所は無いんだ、前の小屋は、全部薪入っていて空いてないんだ。」こう言って追っぱ
らわれたらしい。
 それからね、しかたがないから、「それでは、ご無礼します」と言って、その家から去ったらしい。そし
たら、今度は、次の家行ったらね、そこ行ってやはり「ごめんください、ごめんください」と言った。「ど
なたでございますか」と、そこのおばあさんが言ったらしい。戸を開けてね、やったらもう、見すぼらしい
おじいさんが立っておる、「もうたいへんご無礼でございますが、遠い所からこのように来てますが、もう
家へはもう、夜はふけて、帰れないからおたくの、どこかでも結構ですから、今日、一夜は、泊めて下さい
ませんか。」とこう言ったらしい。
 そしたら、「それでももう、せっかくおいで下さったが、私たちは、あなたもこのように、ごらんの通り
、何にもございません、もう、このようにして、正月、明日正月といっても、食べるのも無くこのように夫
婦、火を前にして(火に当って)火正月をしているんですよ、被るのも、何にも有りませんが」「それでも
いいですから、まずは、泊めて下さい。」「それでもよろしければ、さーさー、それでは内にお入り下さい
。」「いやいや、内ではなくてもいいんです、どこかの、前の小屋(離れの)でも、結構です。」とこうい
ったらしいね。
 ところが、「なりません、私達と一緒にそして、もうー、何にも無いのではありますが、もう、話、物語
をして、今日はもう(一夜を)明かしましょうね。」とこういうふうに、言ったらしいね。そしたら、「さ
ーそれではもう、ご無礼しましょう、今日一夜はもうもう夜を明かさせて下さいね。」と言って、中入って
、それから、よもやま話にはいったわけさね。
「もうもう、さーそれでは、私がお米を少しばかり持っていますから、これ(釜)にかけてお焚き下さいね
、一緒に、夕飯食べましょうね、年をとりましょうね」とこういってね、米をやったらしい。
 そしたらね、ほんのちょっと入れた、ちょっとしかもらわなかった米をね、釜に、といで、洗って、そし
て焚いたらしいね、もう、いっぱいなったそうだ、米が。
 で、それで、まーこの老夫婦も喜んで、そしてこの客人と一緒によもやま話しながら、年とって、そして
、あくる日、このおじいさんは、「ありがとうございました、今日はもうーゆうべはもう、泊らして下さっ
て、ありがとう、ご無礼しましょう」そういって、帰ろうとしたら、「まって下さいよ、あのー正月でござ
いましょうさー正月はね、若水迎えて来て、若水で浴み清よめるのであれば、若くなるよ、だから、若水迎
えて来て下さい」と、このおじいさんが、言ってね。
 おばあさんがこんど、若水迎えに行ったという。昔はね、神井戸といってね、若水を、水を正月の初を迎
える井戸が有ったらしい。どこもかもにありましたね、正月の若水迎える所は、田原は、どこにあったのか
、ソージ井戸、私達兼城は、神井戸といって、むこうは大きい松の木がありましたよね、むこうでしたよ。
で、とにかく神井戸といってね、水をくんできて、そして、それでお茶を沸かします、その水で、今度は、
また、顔なんかを洗って、やったらね、もう、今までの、おじいさんおばあさんがね、とっても若がえった
らしいんだよ。
 そして、もう見違えるほど若がえったので、この老夫婦も非常に喜んでね、おじいさんにお礼をいって、
「さあ、それではもう、ゆっくりお帰り下さいね、ゆうべは有りがとうございました、ご馳走しましたよ。
」そしたら、「あなたたちももう、いい正月迎えて、新年からはもう、とってもいい暮しして下さいね、達
者にして下さいよ」と言って帰ったらしい。
 そうすると、帰るときにねー、その隣りの金持ちの、その追っぱらわれた人が、この家のおじいさん、お
ばあさんをみてね、「あれあのよれよれの、おじいさんおばあさんが、こんなに若くなっているのに、どう
したことだろう」とそして、わけを聞いたらしい、おじいさん、おばあさんの家に来て、「実は、ゆうべ私
達に変なお年寄が、来られて、一夜をもう、宿借してくれと、そういわれたから、何にもありませんが、そ
れでもいいですか、と言うと、もう、「何にも無くてもいいからもう、泊まらしてくれと言って、このよう
にして、その人が泊まりなさった翌日、私達このように、若水でもって、その人が若くして下さっているん
ですよ」と、こういうふうに話したらしい。「ああ、そうでしたか、さあーそれでは、昨夜、私達の家にお
いでになった、あのおじいさんであろう、それで、(その人は)どこへ行かれたの」「むこうへ行かれたは
ずです。」と言ったら、追っかけて行ってね、それで、頭をぺこぺこさげて、「昨夜はもう、悪うございま
した、あなたも、私達の家にいらしてあの隣りの、おじいさんおばあさん達のように、私達も若くして下さ
いませんか」と言ったら、「ああ、そうか」と、こう言ってね。
 そしたら、今度は、この家に来て、「さーそれでは、さーそれでは、早くお湯沸かして下さい。こう言っ
てね、湯沸かして、浴びせたと言うんだね。浴びせたら、このおじいさんおばあさんはね、猿になったとい
うんだ、猿に変ってしまったというんだ。この家の人は。
 で、もう猿になったもんだから、ここには住めんでしょう(猿は)山にしか住まんから、で、行ってそし
たら、何日かたったか知らんがね、それから、毎日のように、「私の家返せ、私の家返せ、私たちの家返せ
、私たちの家返せ」と、こういうふうで、来て、その家にはね、あのーまー石ー、丸い石があってね、その
石の方にすわって、そして、もう家に向かって、「私の家返せ、私の家返せ」と言う、言うらしいんだ。そ
したらその隣りのおじいさん、おばあさんは、いや、その前にだね、「さー、私が昨夜行った所は、そいつ
らはもう、肝心が悪くて、そいつらもう猿になってしまったから、さーあなたたちもう、あそこに引越して
下さいよ」こう言って、おじいさん、おばあさんを、あの家に入れたらしいんだ。そして、入れて後から、
この家の、金持ちの家の人、猿になったものがやって来ては、「家返せー、私たちの家返せ」といったらし
いんだね、もう毎日来てしょうがないもんだから、大変困ってしまった。
 それから、このおじいさんがまた現われて来て、「何にも、変った事はありませんでしたか」とこう言っ
たらね、「あゝ毎日、私たちの家返せ、私達の家返せ、と言ってますよ」とこう言ったらしいんだ。「さー
それでは、いいですよ、来なくなるようにしましょうね。」と言ってね、「それでは、あのまー石ー、それ
(猿)が座る所のま石を、まったく火になるほど、焼いて下さいよ」とそう言ってね、その石を焼かせて、
そして、これが来るのを待っていたと言うんだね。そしたら、いよいよ来て、その石の方に座ったんだ、座
ったら熱いもんだから、じゃんじゃんじゃんじゃん鳴き叫んで、とうとう逃げてしまったと。
 もう、あれ以来、来なかったと、でこのおじいさん、おばあさんは、この見知らぬ、まー神様でしょうね
、この人のお蔭で、それからあとは、楽に暮したと、こういう話があるんだ。それが今の話。
〔方言原話〕 ある、おじいさんがね、見すぼらしいおじいさんが、年夜(とぅしぬゆるー)にさ、大晦日
(おおみそか)にさ、年夜(とぅしぬゆるー)に、「来(ち)やーびらさい、来(ち)やーびらさい」と言
(い)って、やって来(き)たって。
 そしたらね、金持(かねもち)らしい家(うち)の方(ほー)にはじめ、はいったらしいね、そして呼(
よ)んだら「なー遠(とぅ)さから来(ち)よいびいしが、夜(ゆー)ゆっくぃってぃ、なー帰(けー)い
んしーうさんむん、うんじゅなー前(めー)ぬ屋小(やーぐわ)やてぃんしまびーぐぅとぅ、今日(ちゅう
)、一夜(ちゅゆる)ぉー、なー泊(とぅ)まらちくぃんそーらんなー」こういったらしいね。そしたらこ
の金持(かねも)ちの家(いえ)はね、「今日(ちゅう)や何(ぬー)やんちわかいみ、年夜(とぅしぬゆ
る)やんでぃわかいみ、自分(どぅ)ぬ家(やー)んかいそうそう行(い)ちいるする、何(ぬー)うんち
他人(ちゅ)ぬ家(やー)んかい泊(とぅ)まいが、泊(とぅ)まらすん所(とぅくる)ぉ無(ねー)んむ
ん、前(めー)ぬ家(やー)んむる薪(たむん)入(い)ってぃ、空(あ)かんむん。こういうて、追(お
)っぱらわれたらしい。
 それからね、しかたがないから、「あんせー、ぐぅぶりーさびら」と言って、その家(いえ)から去(さ
)ったらしい。そしたら、今度(こんど)は、次(つぎ)の家(いえ)行(い)ったらね、そこ行(い)っ
てやはり、「来(ちゃ)ーびらさい、来(ちゃ)ーびらさい」と言った。「誰( たー)やみせーびーがや」
と、そこのおばあさんが言(い)ったらしい。そして、戸(と)を開(あ)けてね、やったらもう、見(み
)すぼらしいおじいさんが立(た)っておる、「なーいっぺー御無礼(ぐぶりー)やいびーしが、遠(とぅ
)さからかんし来(ちおー)しが、なー家(やー)かいなー、夜(ゆう)ゆっくぃてぃ、いちんうさんむん
うんじゅなー、まーがらやてぃんしまびーくぅとぅ、今日(ちゅう)、一夜(ちゅゆる)ぉー泊(とぅ)ま
らちくぃみそーらんなー」と、こういったらしい。
 そしたら、「あんしんなー、せっかくめんそーちぇーうぃしが、私達(わった)ーや、うんじゅんかんし
、見(ん)じみせーるぐぅとぅ、何(ぬ)ーんねーびらん、なーかんしし、正月(そーぐわち)、明日(あ
ちゃー)正月(そーぐわち)んでぃちん、食(か)むしん無(ねー)らん、かんし夫婦(みーとぅんだ)、
火前(ひーめー)なち、火正月(ひーそーぐわち)るそーいびぃんどーやー、被(かん)じゅしん、何(ぬ
ー)んねーびらんしが」「あんしんしまびーくぅとぅ、まじぇー泊(とぅ)まらちくぃみそーれー。」「あ
んしん、ゆたさみせーらー、とーとー、あんせー内(うち)んかい入(い)みそーれー。」「をぅをぅー、
内(うち)ぇーあらんてぃんしまびーさ、まーがらぬ、前(めー)ぬ家小(やーぐわー)やてぃんしまびー
さ。」こう言(い)ったらしいね。
 ところが、「あいびらんさ、私達(わったー)とぅまんじゅんうりし、なー、ぬーん無(ね)んのおーあ
いびーしがなー、話(はなし)物語(むぬがたい)し、今日(ちゅう)やなー明(あか)さびらやー」と、
こういうふうに言(い)ったらしいね。そしたら、「とーあんせーなー、御無礼(ぐぶりい)さびら、今日
(ちゅう)、今日(ちゅう)一夜(ちゅゆる)おなー、なー夜明(ゆうあ)かしみてぃくぃみそーりよー」
といって、中(なか)入(は)って、それから、よもやま話(はなし)しにはいったわけさね。
「なーなー、とーあんせぇー、私(わー)が米小(くみぐわ)ー少(いふ)ぇー持(む)っちょいびーくと
ぅ、くりしきてぃ焚(にー)みそーりよ、一緒(まんじゅ)ん、夕飯(ゆうばん)かまびらやー、年(とう
し)とぅいびらやー」とこういってね、米(こめ)をやったらしい。
 そしたらね、ほんのちょっといれた、ちょっとしかもらわなかった米(こめ)をね、釜(はがま)に、と
いで、洗(あら)って、そして焚(た)いたらね、もう、いっぱいなったそうだ、米(こめ)が。
 で、それで、まーこの老夫婦(ろうふうふ)も喜んで、そしてこの客人(きゃくじん)と一緒(いっしょ
)によもやま話(はなし)しながら、年(とし)とって、そして、あくる日(ひ)、このおじいさんは、「
にふぇーでーびる、今日(ちゅう)やなーゆうびやなー、泊(とぅ)まらちくぃみそーち、にふぇーでーび
る、御無礼さびらをぅー」そして帰(かえ)ろうとしたら、「まちみそーりよ、あぬー正月(そーぐわち)
やいびーさやー、とー正月(そーぐわち)や、若水(わかみじ)迎(ん)けーてぃ来(ち)ぃ、若水(わか
みじ)さーに浴(あ)みちっちしーどぅんせー、若(わか)くないんど、やいびーるむん、若水(わかみじ
)迎(ん)けーてぃめんそーれ」と、このおじいさんが言(い)うてね。
 おばあさんがこんど若水(わかみず)迎(むか)えに行(い)ったという。昔(むかし)はね、神井戸(
かみがー)といってね、若水(わかみず)を、水(みず)を正月(しょうがつ)の初水(はつみず)を迎(
むか)える井戸(いど)が有ったらしい。まーんくぃんあいびーたんやーうぬー、正月(そーぐわち)ぬ若
水(わかみじ)迎(ん)けーぬ所(とぅくる)ぉー田原(たばろ)ぉーまーにかいあいびーたら、ソージ井
戸(がー)、私達(わったー)兼城(かなぐしく)おー神井戸(かみが)ーんち、あまー大松(うふまーち
)ぬあいびーたせーやー、あまやいびーたさ。とにかく、神井戸(かみがー)といってね、水(みず)をく
んできて、そして、それでお茶(ちゃ)を沸(わ)かす、その水(みず)で今度(こんど)はまた、顔(か
お)なんかを洗(あら)って、やったらね、もう、今までの、おじいさんおばあさんがね、とっても若(わ
か)がえったらしいんだよ。
 そして、もう見違(みちが)えるほど若(わか)がえったので、この老夫婦(ろうふうふ)も非常(ひじ
ょう)に喜(よろこ)んでね、おじいさんにお礼(れい)をいって、「と、あんせーなー、よーんなー帰(
けー)いみそうりよ、ゆうびぇーにふぇーでーびたん、御馳走(くわっちー)さびたんどー」そしたら、「
うんじゅなーんなーいい正月(そーぐわち)迎(ちん)けーてぃ明(あ)きま年(どぅし)からーなー、い
っぺーいい暮(く)らししみそーりよ、頑丈(がんじゅう)しみそーりよ」と言(い)って、帰(かえ)っ
たらしい。
 そうすると、帰(かえ)るときにねー、そのとなりの金持(かねもち)ちの、その追(お)っぱらわれた
人(ひと)が、この家(いえ)のおじいさん、おばあさんをみてね、「あれ、あのよれよれのおじいさんお
ばあさんが、こんなに若(わか)くなっているのに、どうしたことだろうー」とそして、わけを聞(き)い
たらしい、おじいさん、おばあさんの家に来て、「実(じち)えー、ゆうび私(わっ)たーかい異風(いふ
う)な御年寄(うとぅしー)ぬめんそーち、一夜(ちゅゆる)やなー、宿(やどぅ)借(か)らちとぅらし
んち、うりさーに、何(ぬ)ーん無(ね)ーらんしが、あんしんしまびーみ、んちやくぅとぅなー、「何(
ぬ)ーんねーんてぃんしむくぅとぅなー、泊(とぅ)まらちとぅらし」んち、かんしうりし、うぬ人(ちゅ
)が泊(とぅ)まみそーちゃん翌日(なーちゃ)ー私達(わったー)かんし若水(わかみじ)さーに、うぬ
人(ちゅ)が若(わか)くなちくぃみそーちゃんどーや」と、こういうふうに話(はな)したらしい。「え
ーあんどぅやびぃるい、とーあんせー、昨夕(ゆうび)私達家(わったーやー)んかいめんそーちゃるあぬ
おじいさんやみせーさ、あんし、まーんかいめんせーたが」「あまんかいめんそーちゃるはじどー、」とい
ったら、追(お)っかけて行(い)ってね、それで、頭(あたま)をペコペコさげて、「昨夕(ゆうべ)ー
なー、悪(わ)っさいびーたん、うんじゅん、私達家(わったーやー)んかいめんそーち、あぬ隣(とぅな
い)ぬうすめー、はーめー達(た)ーぐぅとぅし、私達(わったー)ん若(わか)くなちくみそーらんなー
」と言ったら、「えゝあんやみー」とこう言ってね。
 そしたら、今度はこの家に来て、「とーあんせー、とーあんせー早(へ)くなー湯(ゆー)沸(ふ)かし
みそーれー。」こう言(い)ってねー、湯沸(ゆーわ)かして、浴(あ)びせたと言(い)うんだね。浴(
あ)びせたら、このおじいさんおばあさんはね、猿(さる)になったというんだ、猿(さる)に変(かわ)
ってしまったというんだ。この家(いえ)の人(ひと)は。
 で、もう猿(さる)になったもんだから、ここには住(す)めんでしょう、山(やま)にしか住(す)ま
んから、で、行(い)って、そしたら、何日(なんにち)かたったか知(し)らんがね、それから、毎日(
まいにち)のように、「私家(わーやー)返(ね)ーり、私家(わーやー)返(ね)ーり、私達家(わった
ーやー)返(ね)ーり、私達家(わったーやー)返(ね)ーり」と、こういうふうで、来(き)て、そのー
家(いえ)にはね、あのーま石(いさ)ー、丸(まる)い石(いし)があってね、その石(いし)の方(ほ
ー)にすわって、そして、もう家(いえ)に向(むか)って、「私家(わーやー)返(ね)ーり、私家(わ
ーやー)返(ね)ーり、」とこう、言(い)うらしいんだ。そしたら、この隣(とな)りのおじいさん、お
ばあさんは、いや、その前(まえ)にだね、「とー、私(わー)が昨夕(ゆうび)行(ん)じゃぬ所(とぅ
くろ)ー、うったーな肝心(ちむくくる)ぬ悪(わ)っさぬ、うったーなー猿(さーるー)なてぃねーんぐ
ぅとぅ、と、うんじゅなーや、あまんかいひっくしみそーれーよ」こう言(い)って、おじいさん、おばあ
さんをあの家(いえ)に入れたらしいんだ、して、入(い)れて後(あと)から、この家(いえ)の、金持
(かねも)ちの家(いえ)の人(ひと)、猿(さる)になったものがやって来(き)ては「家返(やーね)
ーりー、私達家(わったーやー)返(ね)ーり」といったらしいんだね、もう毎日(まいにち)来(き)て
、しょうがないもんだから、大変(たいへん)困(こま)ってしまった。
 それから、このおじいさんがまた現(あら)われて来(き)て、「ぬん、変(か)わった事(くぅと)ぉ
ーねーやびらんてぃ」とこう言(い)うたらね、「ああ、毎日(めーにち)、私達家(わったーや)ー返(
ね)ーり、私達家(わったーや)ー返(ね)ーり、るさびーさー」と、こう言(い)ったらしいんだ。「と
ー、あんせーしまびーさ、来(くー)んないるぐぅとぅさびらやー」といってね、「あんせーあぬまー石(
いさ)ー、うりが座(ゐい)る所(とぅく)るぬま石ー、ちゅらーく火(ひー)なるか、焼(や)ちみそー
りよ」とそういってね、その石(いし)を焼(や)かせて、そして、これが来(く)るのを待(ま)ってい
たと言(い)うんだね。そしたら、いよいよ来(き)て、その石(いし)の方(ほう)に座(すわ)ったん
だ、座(すわ)ったら熱(あつ)いもんだから、じゃんじゃんじゃんじゃん鳴(な)き叫(さけ)んで、と
うとう逃(に)げてしまったと。
 もう、あれ以来(いらい)来(こ)なかったと、でこのおじいさん、おばあさんは、この見知(みし)ら
ぬ、まー神様(かみさま)でしょうね、この人(ひと)のお蔭(かげ)で、それからあとは、楽(らく)に
暮(く)らしたと、こういう話(はなし)があるんだ、それが今(いま)の話(はなし)。
     

再生時間:11:30

民話詳細DATA

レコード番号 47O160490
CD番号 47O16C025
決定題名 猿長者(シマグチ混じり)
話者がつけた題名
話者名 上江洲清義
話者名かな うえずせいぎ
生年月日 19020523
性別
出身地
記録日 19750615
記録者の所属組織 沖縄口承文芸調査団
元テープ番号 T4 A05
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 12
発句(ほっく)
伝承事情 伯母さん
文字化資料 那覇の民話資料(第6集 小禄地区Ⅱ)P24
キーワード 見すぼらしいおじいさん,年夜大晦日,金持ちの家,火正月,若水,ソージ井戸,神井戸,猿,丸い石
梗概(こうがい) ある、おじいさんがね、見すぼらしいおじいさんが、年夜に大晦日にさ、年夜に、「ごめんください 、ごめんください」と言ってやって来たって。  そしたらね、金持らしい家の方に、はじめは入ったらしいね、そして呼んだら、「もう遠くから来ていますが、夜はふけてしまaAもう帰ることができませんが、あなたたちの、前の小屋でもよろしいのですが、 今日、一夜は泊めて下さいませんか」こう言ったらしいね。そしたら、この金持ちの家(の人)はね、「今 日は、何の日か分かるか、年の夜だということ分かるのか、自分の家にさっさと行くんで、何んで他人の家 に泊るのか、泊まらす所は無いんだ、前の小屋は、全部薪入っていて空いてないんだ。」こう言って追っぱ らわれたらしい。  それからね、しかたがないから、「それでは、ご無礼します」と言って、その家から去ったらしい。そし たら、今度は、次の家行ったらね、そこ行ってやはり「ごめんください、ごめんください」と言った。「ど なたでございますか」と、そこのおばあさんが言ったらしい。戸を開けてね、やったらもう、見すぼらしい おじいさんが立っておる、「もうたいへんご無礼でございますが、遠い所からこのように来てますが、もう 家へはもう、夜はふけて、帰れないからおたくの、どこかでも結構ですから、今日、一夜は、泊めて下さい ませんか。」とこう言ったらしい。  そしたら、「それでももう、せっかくおいで下さったが、私たちは、あなたもこのように、ごらんの通り 、何にもございません、もう、このようにして、正月、明日正月といっても、食べるのも無くこのように夫 婦、火を前にして(火に当って)火正月をしているんですよ、被るのも、何にも有りませんが」「それでも いいですから、まずは、泊めて下さい。」「それでもよろしければ、さーさー、それでは内にお入り下さい 。」「いやいや、内ではなくてもいいんです、どこかの、前の小屋(離れの)でも、結構です。」とこうい ったらしいね。  ところが、「なりません、私達と一緒にそして、もうー、何にも無いのではありますが、もう、話、物語 をして、今日はもう(一夜を)明かしましょうね。」とこういうふうに、言ったらしいね。そしたら、「さ ーそれではもう、ご無礼しましょう、今日一夜はもうもう夜を明かさせて下さいね。」と言って、中入って 、それから、よもやま話にはいったわけさね。 「もうもう、さーそれでは、私がお米を少しばかり持っていますから、これ(釜)にかけてお焚き下さいね 、一緒に、夕飯食べましょうね、年をとりましょうね」とこういってね、米をやったらしい。  そしたらね、ほんのちょっと入れた、ちょっとしかもらわなかった米をね、釜に、といで、洗って、そし て焚いたらしいね、もう、いっぱいなったそうだ、米が。  で、それで、まーこの老夫婦も喜んで、そしてこの客人と一緒によもやま話しながら、年とって、そして 、あくる日、このおじいさんは、「ありがとうございました、今日はもうーゆうべはもう、泊らして下さっ て、ありがとう、ご無礼しましょう」そういって、帰ろうとしたら、「まって下さいよ、あのー正月でござ いましょうさー正月はね、若水迎えて来て、若水で浴み清よめるのであれば、若くなるよ、だから、若水迎 えて来て下さい」と、このおじいさんが、言ってね。  おばあさんがこんど、若水迎えに行ったという。昔はね、神井戸といってね、若水を、水を正月の初を迎 える井戸が有ったらしい。どこもかもにありましたね、正月の若水迎える所は、田原は、どこにあったのか 、ソージ井戸、私達兼城は、神井戸といって、むこうは大きい松の木がありましたよね、むこうでしたよ。 で、とにかく神井戸といってね、水をくんできて、そして、それでお茶を沸かします、その水で、今度は、 また、顔なんかを洗って、やったらね、もう、今までの、おじいさんおばあさんがね、とっても若がえった らしいんだよ。  そして、もう見違えるほど若がえったので、この老夫婦も非常に喜んでね、おじいさんにお礼をいって、 「さあ、それではもう、ゆっくりお帰り下さいね、ゆうべは有りがとうございました、ご馳走しましたよ。 」そしたら、「あなたたちももう、いい正月迎えて、新年からはもう、とってもいい暮しして下さいね、達 者にして下さいよ」と言って帰ったらしい。  そうすると、帰るときにねー、その隣りの金持ちの、その追っぱらわれた人が、この家のおじいさん、お ばあさんをみてね、「あれあのよれよれの、おじいさんおばあさんが、こんなに若くなっているのに、どう したことだろう」とそして、わけを聞いたらしい、おじいさん、おばあさんの家に来て、「実は、ゆうべ私 達に変なお年寄が、来られて、一夜をもう、宿借してくれと、そういわれたから、何にもありませんが、そ れでもいいですか、と言うと、もう、「何にも無くてもいいからもう、泊まらしてくれと言って、このよう にして、その人が泊まりなさった翌日、私達このように、若水でもって、その人が若くして下さっているん ですよ」と、こういうふうに話したらしい。「ああ、そうでしたか、さあーそれでは、昨夜、私達の家にお いでになった、あのおじいさんであろう、それで、(その人は)どこへ行かれたの」「むこうへ行かれたは ずです。」と言ったら、追っかけて行ってね、それで、頭をぺこぺこさげて、「昨夜はもう、悪うございま した、あなたも、私達の家にいらしてあの隣りの、おじいさんおばあさん達のように、私達も若くして下さ いませんか」と言ったら、「ああ、そうか」と、こう言ってね。  そしたら、今度は、この家に来て、「さーそれでは、さーそれでは、早くお湯沸かして下さい。こう言っ てね、湯沸かして、浴びせたと言うんだね。浴びせたら、このおじいさんおばあさんはね、猿になったとい うんだ、猿に変ってしまったというんだ。この家の人は。  で、もう猿になったもんだから、ここには住めんでしょう(猿は)山にしか住まんから、で、行ってそし たら、何日かたったか知らんがね、それから、毎日のように、「私の家返せ、私の家返せ、私たちの家返せ 、私たちの家返せ」と、こういうふうで、来て、その家にはね、あのーまー石ー、丸い石があってね、その 石の方にすわって、そして、もう家に向かって、「私の家返せ、私の家返せ」と言う、言うらしいんだ。そ したらその隣りのおじいさん、おばあさんは、いや、その前にだね、「さー、私が昨夜行った所は、そいつ らはもう、肝心が悪くて、そいつらもう猿になってしまったから、さーあなたたちもう、あそこに引越して 下さいよ」こう言って、おじいさん、おばあさんを、あの家に入れたらしいんだ。そして、入れて後から、 この家の、金持ちの家の人、猿になったものがやって来ては、「家返せー、私たちの家返せ」といったらし いんだね、もう毎日来てしょうがないもんだから、大変困ってしまった。  それから、このおじいさんがまた現われて来て、「何にも、変った事はありませんでしたか」とこう言っ たらね、「あゝ毎日、私たちの家返せ、私達の家返せ、と言ってますよ」とこう言ったらしいんだ。「さー それでは、いいですよ、来なくなるようにしましょうね。」と言ってね、「それでは、あのまー石ー、それ (猿)が座る所のま石を、まったく火になるほど、焼いて下さいよ」とそう言ってね、その石を焼かせて、 そして、これが来るのを待っていたと言うんだね。そしたら、いよいよ来て、その石の方に座ったんだ、座 ったら熱いもんだから、じゃんじゃんじゃんじゃん鳴き叫んで、とうとう逃げてしまったと。  もう、あれ以来、来なかったと、でこのおじいさん、おばあさんは、この見知らぬ、まー神様でしょうね 、この人のお蔭で、それからあとは、楽に暮したと、こういう話があるんだ。それが今の話。 〔方言原話〕 ある、おじいさんがね、見すぼらしいおじいさんが、年夜(とぅしぬゆるー)にさ、大晦日 (おおみそか)にさ、年夜(とぅしぬゆるー)に、「来(ち)やーびらさい、来(ち)やーびらさい」と言 (い)って、やって来(き)たって。  そしたらね、金持(かねもち)らしい家(うち)の方(ほー)にはじめ、はいったらしいね、そして呼( よ)んだら「なー遠(とぅ)さから来(ち)よいびいしが、夜(ゆー)ゆっくぃってぃ、なー帰(けー)い んしーうさんむん、うんじゅなー前(めー)ぬ屋小(やーぐわ)やてぃんしまびーぐぅとぅ、今日(ちゅう )、一夜(ちゅゆる)ぉー、なー泊(とぅ)まらちくぃんそーらんなー」こういったらしいね。そしたらこ の金持(かねも)ちの家(いえ)はね、「今日(ちゅう)や何(ぬー)やんちわかいみ、年夜(とぅしぬゆ る)やんでぃわかいみ、自分(どぅ)ぬ家(やー)んかいそうそう行(い)ちいるする、何(ぬー)うんち 他人(ちゅ)ぬ家(やー)んかい泊(とぅ)まいが、泊(とぅ)まらすん所(とぅくる)ぉ無(ねー)んむ ん、前(めー)ぬ家(やー)んむる薪(たむん)入(い)ってぃ、空(あ)かんむん。こういうて、追(お )っぱらわれたらしい。  それからね、しかたがないから、「あんせー、ぐぅぶりーさびら」と言って、その家(いえ)から去(さ )ったらしい。そしたら、今度(こんど)は、次(つぎ)の家(いえ)行(い)ったらね、そこ行(い)っ てやはり、「来(ちゃ)ーびらさい、来(ちゃ)ーびらさい」と言った。「誰( たー)やみせーびーがや」 と、そこのおばあさんが言(い)ったらしい。そして、戸(と)を開(あ)けてね、やったらもう、見(み )すぼらしいおじいさんが立(た)っておる、「なーいっぺー御無礼(ぐぶりー)やいびーしが、遠(とぅ )さからかんし来(ちおー)しが、なー家(やー)かいなー、夜(ゆう)ゆっくぃてぃ、いちんうさんむん うんじゅなー、まーがらやてぃんしまびーくぅとぅ、今日(ちゅう)、一夜(ちゅゆる)ぉー泊(とぅ)ま らちくぃみそーらんなー」と、こういったらしい。  そしたら、「あんしんなー、せっかくめんそーちぇーうぃしが、私達(わった)ーや、うんじゅんかんし 、見(ん)じみせーるぐぅとぅ、何(ぬ)ーんねーびらん、なーかんしし、正月(そーぐわち)、明日(あ ちゃー)正月(そーぐわち)んでぃちん、食(か)むしん無(ねー)らん、かんし夫婦(みーとぅんだ)、 火前(ひーめー)なち、火正月(ひーそーぐわち)るそーいびぃんどーやー、被(かん)じゅしん、何(ぬ ー)んねーびらんしが」「あんしんしまびーくぅとぅ、まじぇー泊(とぅ)まらちくぃみそーれー。」「あ んしん、ゆたさみせーらー、とーとー、あんせー内(うち)んかい入(い)みそーれー。」「をぅをぅー、 内(うち)ぇーあらんてぃんしまびーさ、まーがらぬ、前(めー)ぬ家小(やーぐわー)やてぃんしまびー さ。」こう言(い)ったらしいね。  ところが、「あいびらんさ、私達(わったー)とぅまんじゅんうりし、なー、ぬーん無(ね)んのおーあ いびーしがなー、話(はなし)物語(むぬがたい)し、今日(ちゅう)やなー明(あか)さびらやー」と、 こういうふうに言(い)ったらしいね。そしたら、「とーあんせーなー、御無礼(ぐぶりい)さびら、今日 (ちゅう)、今日(ちゅう)一夜(ちゅゆる)おなー、なー夜明(ゆうあ)かしみてぃくぃみそーりよー」 といって、中(なか)入(は)って、それから、よもやま話(はなし)しにはいったわけさね。 「なーなー、とーあんせぇー、私(わー)が米小(くみぐわ)ー少(いふ)ぇー持(む)っちょいびーくと ぅ、くりしきてぃ焚(にー)みそーりよ、一緒(まんじゅ)ん、夕飯(ゆうばん)かまびらやー、年(とう し)とぅいびらやー」とこういってね、米(こめ)をやったらしい。  そしたらね、ほんのちょっといれた、ちょっとしかもらわなかった米(こめ)をね、釜(はがま)に、と いで、洗(あら)って、そして焚(た)いたらね、もう、いっぱいなったそうだ、米(こめ)が。  で、それで、まーこの老夫婦(ろうふうふ)も喜んで、そしてこの客人(きゃくじん)と一緒(いっしょ )によもやま話(はなし)しながら、年(とし)とって、そして、あくる日(ひ)、このおじいさんは、「 にふぇーでーびる、今日(ちゅう)やなーゆうびやなー、泊(とぅ)まらちくぃみそーち、にふぇーでーび る、御無礼さびらをぅー」そして帰(かえ)ろうとしたら、「まちみそーりよ、あぬー正月(そーぐわち) やいびーさやー、とー正月(そーぐわち)や、若水(わかみじ)迎(ん)けーてぃ来(ち)ぃ、若水(わか みじ)さーに浴(あ)みちっちしーどぅんせー、若(わか)くないんど、やいびーるむん、若水(わかみじ )迎(ん)けーてぃめんそーれ」と、このおじいさんが言(い)うてね。  おばあさんがこんど若水(わかみず)迎(むか)えに行(い)ったという。昔(むかし)はね、神井戸( かみがー)といってね、若水(わかみず)を、水(みず)を正月(しょうがつ)の初水(はつみず)を迎( むか)える井戸(いど)が有ったらしい。まーんくぃんあいびーたんやーうぬー、正月(そーぐわち)ぬ若 水(わかみじ)迎(ん)けーぬ所(とぅくる)ぉー田原(たばろ)ぉーまーにかいあいびーたら、ソージ井 戸(がー)、私達(わったー)兼城(かなぐしく)おー神井戸(かみが)ーんち、あまー大松(うふまーち )ぬあいびーたせーやー、あまやいびーたさ。とにかく、神井戸(かみがー)といってね、水(みず)をく んできて、そして、それでお茶(ちゃ)を沸(わ)かす、その水(みず)で今度(こんど)はまた、顔(か お)なんかを洗(あら)って、やったらね、もう、今までの、おじいさんおばあさんがね、とっても若(わ か)がえったらしいんだよ。  そして、もう見違(みちが)えるほど若(わか)がえったので、この老夫婦(ろうふうふ)も非常(ひじ ょう)に喜(よろこ)んでね、おじいさんにお礼(れい)をいって、「と、あんせーなー、よーんなー帰( けー)いみそうりよ、ゆうびぇーにふぇーでーびたん、御馳走(くわっちー)さびたんどー」そしたら、「 うんじゅなーんなーいい正月(そーぐわち)迎(ちん)けーてぃ明(あ)きま年(どぅし)からーなー、い っぺーいい暮(く)らししみそーりよ、頑丈(がんじゅう)しみそーりよ」と言(い)って、帰(かえ)っ たらしい。  そうすると、帰(かえ)るときにねー、そのとなりの金持(かねもち)ちの、その追(お)っぱらわれた 人(ひと)が、この家(いえ)のおじいさん、おばあさんをみてね、「あれ、あのよれよれのおじいさんお ばあさんが、こんなに若(わか)くなっているのに、どうしたことだろうー」とそして、わけを聞(き)い たらしい、おじいさん、おばあさんの家に来て、「実(じち)えー、ゆうび私(わっ)たーかい異風(いふ う)な御年寄(うとぅしー)ぬめんそーち、一夜(ちゅゆる)やなー、宿(やどぅ)借(か)らちとぅらし んち、うりさーに、何(ぬ)ーん無(ね)ーらんしが、あんしんしまびーみ、んちやくぅとぅなー、「何( ぬ)ーんねーんてぃんしむくぅとぅなー、泊(とぅ)まらちとぅらし」んち、かんしうりし、うぬ人(ちゅ )が泊(とぅ)まみそーちゃん翌日(なーちゃ)ー私達(わったー)かんし若水(わかみじ)さーに、うぬ 人(ちゅ)が若(わか)くなちくぃみそーちゃんどーや」と、こういうふうに話(はな)したらしい。「え ーあんどぅやびぃるい、とーあんせー、昨夕(ゆうび)私達家(わったーやー)んかいめんそーちゃるあぬ おじいさんやみせーさ、あんし、まーんかいめんせーたが」「あまんかいめんそーちゃるはじどー、」とい ったら、追(お)っかけて行(い)ってね、それで、頭(あたま)をペコペコさげて、「昨夕(ゆうべ)ー なー、悪(わ)っさいびーたん、うんじゅん、私達家(わったーやー)んかいめんそーち、あぬ隣(とぅな い)ぬうすめー、はーめー達(た)ーぐぅとぅし、私達(わったー)ん若(わか)くなちくみそーらんなー 」と言ったら、「えゝあんやみー」とこう言ってね。  そしたら、今度はこの家に来て、「とーあんせー、とーあんせー早(へ)くなー湯(ゆー)沸(ふ)かし みそーれー。」こう言(い)ってねー、湯沸(ゆーわ)かして、浴(あ)びせたと言(い)うんだね。浴( あ)びせたら、このおじいさんおばあさんはね、猿(さる)になったというんだ、猿(さる)に変(かわ) ってしまったというんだ。この家(いえ)の人(ひと)は。  で、もう猿(さる)になったもんだから、ここには住(す)めんでしょう、山(やま)にしか住(す)ま んから、で、行(い)って、そしたら、何日(なんにち)かたったか知(し)らんがね、それから、毎日( まいにち)のように、「私家(わーやー)返(ね)ーり、私家(わーやー)返(ね)ーり、私達家(わった ーやー)返(ね)ーり、私達家(わったーやー)返(ね)ーり」と、こういうふうで、来(き)て、そのー 家(いえ)にはね、あのーま石(いさ)ー、丸(まる)い石(いし)があってね、その石(いし)の方(ほ ー)にすわって、そして、もう家(いえ)に向(むか)って、「私家(わーやー)返(ね)ーり、私家(わ ーやー)返(ね)ーり、」とこう、言(い)うらしいんだ。そしたら、この隣(とな)りのおじいさん、お ばあさんは、いや、その前(まえ)にだね、「とー、私(わー)が昨夕(ゆうび)行(ん)じゃぬ所(とぅ くろ)ー、うったーな肝心(ちむくくる)ぬ悪(わ)っさぬ、うったーなー猿(さーるー)なてぃねーんぐ ぅとぅ、と、うんじゅなーや、あまんかいひっくしみそーれーよ」こう言(い)って、おじいさん、おばあ さんをあの家(いえ)に入れたらしいんだ、して、入(い)れて後(あと)から、この家(いえ)の、金持 (かねも)ちの家(いえ)の人(ひと)、猿(さる)になったものがやって来(き)ては「家返(やーね) ーりー、私達家(わったーやー)返(ね)ーり」といったらしいんだね、もう毎日(まいにち)来(き)て 、しょうがないもんだから、大変(たいへん)困(こま)ってしまった。  それから、このおじいさんがまた現(あら)われて来(き)て、「ぬん、変(か)わった事(くぅと)ぉ ーねーやびらんてぃ」とこう言(い)うたらね、「ああ、毎日(めーにち)、私達家(わったーや)ー返( ね)ーり、私達家(わったーや)ー返(ね)ーり、るさびーさー」と、こう言(い)ったらしいんだ。「と ー、あんせーしまびーさ、来(くー)んないるぐぅとぅさびらやー」といってね、「あんせーあぬまー石( いさ)ー、うりが座(ゐい)る所(とぅく)るぬま石ー、ちゅらーく火(ひー)なるか、焼(や)ちみそー りよ」とそういってね、その石(いし)を焼(や)かせて、そして、これが来(く)るのを待(ま)ってい たと言(い)うんだね。そしたら、いよいよ来(き)て、その石(いし)の方(ほう)に座(すわ)ったん だ、座(すわ)ったら熱(あつ)いもんだから、じゃんじゃんじゃんじゃん鳴(な)き叫(さけ)んで、と うとう逃(に)げてしまったと。  もう、あれ以来(いらい)来(こ)なかったと、でこのおじいさん、おばあさんは、この見知(みし)ら ぬ、まー神様(かみさま)でしょうね、この人(ひと)のお蔭(かげ)で、それからあとは、楽(らく)に 暮(く)らしたと、こういう話(はなし)があるんだ、それが今(いま)の話(はなし)。      
全体の記録時間数 11:45
物語の時間数 11:30
言語識別 混在
音源の質
テープ番号
予備項目1

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