くすけーゆらい(しまぐち)
昔、小禄の具志川村に金持ちの家があって、その家に待ちかねていた男の子が生まれた。主人は大きいお祝いをしようと思って、となり村へ三線引きを頼みに行った。その途中に道に背を向けて座っている女がいた。そんな人に声をかけてはいけないといわれているのに、主人は嬉しさのあまりつい「私は、男の子が生まれてお祝いのために三線引きを頼みに行くところ」と声をかけてしまった。すると、女が「三線なら私も上手ですよ。かりーつけてあげましょう」といったので、主人はその女を家へ連れて行った。夜になって女が三線を引き出し歌を歌ったらそのにぎやかさに、屋敷の外にもたくさんの人が集まって来た。ある男が、三線引きの女をよくみようと壁の節穴から中を覗くと、女は鼻ごーごー、目ごーごーの骸骨だった。こっそり家の主人を呼んで、壁の節穴からその女を見せた。主人は大変びっくりしてすぐにお祝いを終わらせた。そして、途中まで女を送って行くとどこに行くのか後を追った。女は墓の門に入って行ったので、主人は墓の門の陰から中を伺った。女は勝手に出歩いていたことを閻魔王に怒鳴られていた。閻魔王が女に罰を与えるといったので、女は、「こどもにくしゃみをさせてまぶい(魂)を取ってくるので許して欲しい」といった。
すると、閻魔王が、「人間は物知りで、くしゃみをしたらすぐ、くすけひゃーというからまぶいは取れない」といった。これを聞いた男は、急いで家に帰り息子がくしゃみをしたらすぐに、「くすけひゃー」といった。それで男の子はまぶいを取られずにすんだ。 クスケーということばは、その時、後生の閻魔王が人間に教えてしまった言葉である。
クリックすると動画が再生されます。
研究および教育普及目的以外での無断使用は固く禁じます。
コンテンツの複製、利用については、博物館に必ず許可を得てください。
レコード番号 | - |
---|---|
CD番号 | - |
決定題名 | クスケー由来(シマグチ) |
話者がつけた題名 | - |
話者名 | 赤嶺松 |
話者名かな | あかみねまつ |
生年月日 | 18911215 |
性別 | 男 |
出身地 | - |
記録日 | 19750601 |
記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸調査団 |
元テープ番号 | T1 A19 |
元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
分類 | 12 |
発句(ほっく) | - |
伝承事情 | - |
文字化資料 | 那覇の民話資料(第1集 小禄地区)P21 |
キーワード | クスケー,魂,こども, |
梗概(こうがい) | 昔、小禄の具志川村に金持ちの家があって、その家に待ちかねていた男の子が生まれた。主人は大きいお祝いをしようと思って、となり村へ三線引きを頼みに行った。その途中に道に背を向けて座っている女がいた。そんな人に声をかけてはいけないといわれているのに、主人は嬉しさのあまりつい「私は、男の子が生まれてお祝いのために三線引きを頼みに行くところ」と声をかけてしまった。すると、女が「三線なら私も上手ですよ。かりーつけてあげましょう」といったので、主人はその女を家へ連れて行った。夜になって女が三線を引き出し歌を歌ったらそのにぎやかさに、屋敷の外にもたくさんの人が集まって来た。ある男が、三線引きの女をよくみようと壁の節穴から中を覗くと、女は鼻ごーごー、目ごーごーの骸骨だった。こっそり家の主人を呼んで、壁の節穴からその女を見せた。主人は大変びっくりしてすぐにお祝いを終わらせた。そして、途中まで女を送って行くとどこに行くのか後を追った。女は墓の門に入って行ったので、主人は墓の門の陰から中を伺った。女は勝手に出歩いていたことを閻魔王に怒鳴られていた。閻魔王が女に罰を与えるといったので、女は、「こどもにくしゃみをさせてまぶい(魂)を取ってくるので許して欲しい」といった。 すると、閻魔王が、「人間は物知りで、くしゃみをしたらすぐ、くすけひゃーというからまぶいは取れない」といった。これを聞いた男は、急いで家に帰り息子がくしゃみをしたらすぐに、「くすけひゃー」といった。それで男の子はまぶいを取られずにすんだ。 クスケーということばは、その時、後生の閻魔王が人間に教えてしまった言葉である。 |
全体の記録時間数 | - |
物語の時間数 | 3:40 |
言語識別 | 方言 |
音源の質 | 〇 |
テープ番号 | - |
予備項目1 | - |