犬神ていうのは天蛇鼻(てんだはなた)の後ろの方のヌック原(ばる)っていうところにあるの。今もあの場所はね、下の方に石碑に書いて置いてあるけれどもね。昔、首里へ年貢を納める船が久米島から出て、それが漂流して与那国に来てるんですよね。その中に男が七名(ななめい)と女性が一人と犬が一匹いたそうですね。それが、天蛇鼻(てんだはなた)の上の方で、水のある所に住んでいたら、もう毎日男が一人ずつ犬に咬まれて、死んでいるわけ。それで、女と犬とだけ住んでいた時に、そこに、小浜の方から魚釣りに出た人がまた漂流してきたわけですよね。その小浜の男は、「これは何か人がいそうでいなさそうなところだな。」とどんどん歩いて行くうちに、犬と女が住んでいた犬神に来たら、そこにいた女の人が、「はあ、こっちに来たら駄目ですよ。ここは犬がいて人を咬み殺す大変なところだからあんた帰ってえ。」と言うから、「あ、そう。」と言ってから、そこでは、帰るふりしていて、実際は帰らないで、なんか木の上に登っていて、犬の来るのを見ていたらしいんだ。そして、その犬を退治しよった後で、その女性のところに行って、あともう結局は、その小浜島の男性もその女性と一緒に暮らすようになったわけ。それから、その人と女の人は夫婦(めおと)になって、子どもが七人生まれたそうだが、そのころになって、その男の人は、また小浜島のことを思い出して、「小浜に帰ってみたいな。」ということで帰ったらしいんです。そしたら、向こうではもう死んだものだと思って焼香なんかもやっているのに、帰ってきたもんだから、奥さんがとっても喜んでやっていたら、一年ほど小浜で暮らした後で、その男は、やっぱりこう、ここに残した子ども達のことが気になって、「自分はまた、与那国に行くんだ。」って言ったから、その奥さんは、「もう駄目だ。」って言うんだけども、「いや、自分はどうしても行く。」っていって言ったもんだから、そのときにすぐ、奥さんは怒って、「もう二度と自分のところに帰ってくるな。」と言って、自分が織っていた機を切ったんだって。その男が与那国にまた来たら、この久米島からきて子どもが七人もいる女性には、その犬を殺したことはそれまで全然言わなかったけど、その男の人は子どももいるから、ゆっくりした気持ちになって、女と一緒にいた犬を殺したことを言うと、その女が、「その殺した犬はどこに埋めたか。」って言うから、「もうどこそこに埋めた。」って話してその男が仕事に行って、家に帰ったら女がいないから、「どうしたんだろう。」と思って捜したら、その女は、犬の骸骨を掘り出して、その犬の遺骨をこうきれいに自分の上に乗せて死んでいたって。だから、「女には、子ども七人生まれても、腹の底のことは話すな。」と言う妙な言い方がまたあるわけ。また、小浜島の奥さんが、夫に二度と来るなって言っているから、「与那国の人は小浜にはお嫁に行くなよ。」なんていう話があった。
| レコード番号 | 47O341811 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C135 |
| 決定題名 | 犬神由来(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 池間苗 |
| 話者名かな | いけまなえ |
| 生年月日 | 19191217 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県八重山郡与那国町祖納 |
| 記録日 | 19970312 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 与那国町祖納 T10 A03 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話、 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 犬神,天蛇鼻,ヌック原,漂流,男,女性,犬,小浜,退治,夫婦,子ども,七人,機,骸骨 |
| 梗概(こうがい) | 犬神ていうのは天蛇鼻(てんだはなた)の後ろの方のヌック原(ばる)っていうところにあるの。今もあの場所はね、下の方に石碑に書いて置いてあるけれどもね。昔、首里へ年貢を納める船が久米島から出て、それが漂流して与那国に来てるんですよね。その中に男が七名(ななめい)と女性が一人と犬が一匹いたそうですね。それが、天蛇鼻(てんだはなた)の上の方で、水のある所に住んでいたら、もう毎日男が一人ずつ犬に咬まれて、死んでいるわけ。それで、女と犬とだけ住んでいた時に、そこに、小浜の方から魚釣りに出た人がまた漂流してきたわけですよね。その小浜の男は、「これは何か人がいそうでいなさそうなところだな。」とどんどん歩いて行くうちに、犬と女が住んでいた犬神に来たら、そこにいた女の人が、「はあ、こっちに来たら駄目ですよ。ここは犬がいて人を咬み殺す大変なところだからあんた帰ってえ。」と言うから、「あ、そう。」と言ってから、そこでは、帰るふりしていて、実際は帰らないで、なんか木の上に登っていて、犬の来るのを見ていたらしいんだ。そして、その犬を退治しよった後で、その女性のところに行って、あともう結局は、その小浜島の男性もその女性と一緒に暮らすようになったわけ。それから、その人と女の人は夫婦(めおと)になって、子どもが七人生まれたそうだが、そのころになって、その男の人は、また小浜島のことを思い出して、「小浜に帰ってみたいな。」ということで帰ったらしいんです。そしたら、向こうではもう死んだものだと思って焼香なんかもやっているのに、帰ってきたもんだから、奥さんがとっても喜んでやっていたら、一年ほど小浜で暮らした後で、その男は、やっぱりこう、ここに残した子ども達のことが気になって、「自分はまた、与那国に行くんだ。」って言ったから、その奥さんは、「もう駄目だ。」って言うんだけども、「いや、自分はどうしても行く。」っていって言ったもんだから、そのときにすぐ、奥さんは怒って、「もう二度と自分のところに帰ってくるな。」と言って、自分が織っていた機を切ったんだって。その男が与那国にまた来たら、この久米島からきて子どもが七人もいる女性には、その犬を殺したことはそれまで全然言わなかったけど、その男の人は子どももいるから、ゆっくりした気持ちになって、女と一緒にいた犬を殺したことを言うと、その女が、「その殺した犬はどこに埋めたか。」って言うから、「もうどこそこに埋めた。」って話してその男が仕事に行って、家に帰ったら女がいないから、「どうしたんだろう。」と思って捜したら、その女は、犬の骸骨を掘り出して、その犬の遺骨をこうきれいに自分の上に乗せて死んでいたって。だから、「女には、子ども七人生まれても、腹の底のことは話すな。」と言う妙な言い方がまたあるわけ。また、小浜島の奥さんが、夫に二度と来るなって言っているから、「与那国の人は小浜にはお嫁に行くなよ。」なんていう話があった。 |
| 全体の記録時間数 | 5:13 |
| 物語の時間数 | 5:08 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◯(雑音あり) |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |