首のない影(共通語)

概要

月の夜三名の男が遊びに行ったそうです。三名が歩いていると真ん中の人の頭の影がなかったから、「これは不思議だ。あなた方の頭はあって、わしの頭はないが。」とその男が言うもんだから、「そうですね。」と言って、寺の坊主の三世相のところに行って、「ごめん下さい。今晩遊びに行ったら三名の人の真ん中の人の頭の影がないのですが、それを調べて下さい。」と言うと、坊主は書物を開いて調べていて、「あなたは今晩、注意せんと命はなくなるよ。」と言うから、その坊主に、「では、どうしてそれを防げばいいんですか。」と聞いたら、「自分の一番大切なものを弓で引いて殺せ。」と言った。「あっ、そうですか。ありがとうございます。」と家へ帰った。その男は、「自分の大切なもんは馬だ。」と言って自分の大切にしている馬に声をかけて、「馬さん、自分の命と代えるんです。あなたは今晩までの命だよ。」と言って、弓矢を三発も射たけれども、馬には当たらなかった。すると馬は、「当てないといかんのは、別のものだからいくら弓を射っても当たらんよ。」と言って、ヒヒンと笑い鳴きをした。これは不思議だと思って、またあの坊主の家に行って、「馬に三べん弓矢を射っても当たらないで、馬はヒヒンと笑い鳴きをした。どうでかね。」と言ったら、「あなたにはそれ以上に大切なのはないのか。」と言うから、「そうですね、馬より大切なのは自分の家内だ。妻より大切なのはない。常平生(つねへいぜい)はりっぱに暮らしていますがどうするかね。どうしますかな坊さん。」と言ったら、「自分の命を大切と思ったら自分の妻でも殺しなさい。」と言ったから、「そうですか。」と言って、家に帰って家に入る前に、外から見ると、妻は箪笥の前に腰を下ろして夜なべをしていた。男は坊主に言われたから、お前を殺すよという言葉も掛けんで、妻に矢を射った。矢はピチンと一度で妻を殺していた。見ると妻の後にある箪笥の中に隠れていた間男も一緒に死んだので、坊主の家に行って、「今夜、殺さなければ自分を殺した間男が死にました。ありがとうございました。」と言って、お礼を言った。それで、御蔭で助かったとその晩いっしょに遊びに行った友達を呼んでお祝いした。これはお月様のおかげで、頭がない影が見えたから助かったので、その八月十五日(はちがつじゅうぐにち)の晩になると、お餅に、殺した人の血の真似と言って赤色の赤豆(あかまーみ)をつけたフタギという餅を作ってお月様に供えて祝っている。

再生時間:5:13

民話詳細DATA

レコード番号 47O341620
CD番号 47O34C124
決定題名 首のない影(共通語)
話者がつけた題名 十五夜由来
話者名 福仲用金
話者名かな ふくなかようきん
生年月日 18931228
性別
出身地 沖縄県八重山郡与那国町祖納
記録日 19760805
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 与那国町祖納 T72 A04
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 日本昔話通観第26巻 P 272 八重山諸島民話集 P53
キーワード 月の夜,三名の男,頭の影,坊主,三世相,注意,命,一番大切なもの,弓,馬,笑い鳴き,妻,箪笥,間男,お礼,八月十五日,お餅,人の血,赤色,赤豆,フタギ,お月様,
梗概(こうがい) 月の夜三名の男が遊びに行ったそうです。三名が歩いていると真ん中の人の頭の影がなかったから、「これは不思議だ。あなた方の頭はあって、わしの頭はないが。」とその男が言うもんだから、「そうですね。」と言って、寺の坊主の三世相のところに行って、「ごめん下さい。今晩遊びに行ったら三名の人の真ん中の人の頭の影がないのですが、それを調べて下さい。」と言うと、坊主は書物を開いて調べていて、「あなたは今晩、注意せんと命はなくなるよ。」と言うから、その坊主に、「では、どうしてそれを防げばいいんですか。」と聞いたら、「自分の一番大切なものを弓で引いて殺せ。」と言った。「あっ、そうですか。ありがとうございます。」と家へ帰った。その男は、「自分の大切なもんは馬だ。」と言って自分の大切にしている馬に声をかけて、「馬さん、自分の命と代えるんです。あなたは今晩までの命だよ。」と言って、弓矢を三発も射たけれども、馬には当たらなかった。すると馬は、「当てないといかんのは、別のものだからいくら弓を射っても当たらんよ。」と言って、ヒヒンと笑い鳴きをした。これは不思議だと思って、またあの坊主の家に行って、「馬に三べん弓矢を射っても当たらないで、馬はヒヒンと笑い鳴きをした。どうでかね。」と言ったら、「あなたにはそれ以上に大切なのはないのか。」と言うから、「そうですね、馬より大切なのは自分の家内だ。妻より大切なのはない。常平生(つねへいぜい)はりっぱに暮らしていますがどうするかね。どうしますかな坊さん。」と言ったら、「自分の命を大切と思ったら自分の妻でも殺しなさい。」と言ったから、「そうですか。」と言って、家に帰って家に入る前に、外から見ると、妻は箪笥の前に腰を下ろして夜なべをしていた。男は坊主に言われたから、お前を殺すよという言葉も掛けんで、妻に矢を射った。矢はピチンと一度で妻を殺していた。見ると妻の後にある箪笥の中に隠れていた間男も一緒に死んだので、坊主の家に行って、「今夜、殺さなければ自分を殺した間男が死にました。ありがとうございました。」と言って、お礼を言った。それで、御蔭で助かったとその晩いっしょに遊びに行った友達を呼んでお祝いした。これはお月様のおかげで、頭がない影が見えたから助かったので、その八月十五日(はちがつじゅうぐにち)の晩になると、お餅に、殺した人の血の真似と言って赤色の赤豆(あかまーみ)をつけたフタギという餅を作ってお月様に供えて祝っている。
全体の記録時間数 5:21
物語の時間数 5:13
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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