昔、ある村に夫婦がいらっしゃった。その夫婦は女の子一人を産んでいらっしゃったが、その子が大きくなったので、「あなたは女だから、入り婿を連れてきなさい。」と言うと、「自分は夫を持ちません。」と言ったので、「産んで育てたのに夫を持たないというのか。行って婿を連れてきなさい。家の相続人にしなければならない。」と言っても、「ああ、できません。私は夫を持たない。」と言ったので、「そんなに親の言うことを聞かないなら、家から出て行きなさい。」と言うと、「じゃ、お金がなかったら行けないから私の分け前を下さい。私への分け前をもらったら、私は自分の身の振り方を考えます。」と言ったので、その家はお金持ちの家だから、「それじゃお金も財産もちょうど二つにして、お前に分けてあげるからあげたら持っていきなさい。」とお金もたくさんあげたので、娘は、「はい。」ともらい、財布に入れて包み着物なども分けてあげたので担いで出て行った。しばらく行くと、岸の下に水の落ちている所で髪を振り乱している人がいた。その人を夢心地になって見ていると、「その道を真っ直ぐどんどん行ったら、あなたが思っていることがかなえられる。」という声が聞こえてきた。そこには鳥がたくさんいて後を追ってもじっとしてガーガーと自分に寄ってきたので、七、八羽捕まえて縛って持って教えられた道をどんどん行くと炭焼きの人が炭俵を馬に積んで村の方に歩いてきたので、「あなたはどこからいらっしゃったのですか。ここからもっと先きに行った奥に村はありますか。」と尋ねたら、「ない、山ばかりだ。」と言ったので、「あなたは、どうしてここにいらっしゃるのですか。」と尋ねたら、「私はここに小屋を造って泊まって毎日炭を焼いている。」「じゃ、私はあなたがいらっしゃる家に行って、この鳥を炊いて料理して待っているから、あなたは村にいってらっしゃい。」と言ったので、「じゃ、村に炭を売りに行くから、あなたは先に私の家の方へいっていて下さい。」と言ったので、尋ねてその家に行って鳥をつぶし、すき焼きにして、夕食のおいしい物を仕度していると、男が帰ってきたので、二人で食べながら、その女の方から男に、「あなたはそんな炭を焼いて売り、金をもうけようとしてらっしゃる。あなたは馬鹿者だ。そこの道の端には一面に黄金の固まりがあるが、その黄金を取って村に持っていけば、大金が手に入るのに、何をあなたは考えてらっしゃるの。」と言うと、「どこにそれはあるか。」と言ったので、「そこの道の端にあるでしょう。」と言うと、「じゃ、教えてくれ。」と言うので、連れていって金の固まりがある所を教え、二人で袋に取っては入れて、村に持っていったら、黄金を買う人が、「売って。売って。」と多勢やってきて、大変な値で売れたので、金満家になった。銀行などにたくさん預け、大きな家を作ったので、その女の子の親たちもきて、その家で親子一緒暮らした。
| レコード番号 | 47O341566 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C121 |
| 決定題名 | 炭焼長者(方言) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 後真地加美 |
| 話者名かな | ついまじかみ |
| 生年月日 | 18990103 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県八重山郡与那国町祖納 |
| 記録日 | 19760805 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 与那国町祖納 T53 B04 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 八重山諸島民話集 P50 |
| キーワード | 夫婦,女の子,入り婿,財産,岸,髪,夢心地,鳥,炭焼き,小屋,料理,黄金 |
| 梗概(こうがい) | 昔、ある村に夫婦がいらっしゃった。その夫婦は女の子一人を産んでいらっしゃったが、その子が大きくなったので、「あなたは女だから、入り婿を連れてきなさい。」と言うと、「自分は夫を持ちません。」と言ったので、「産んで育てたのに夫を持たないというのか。行って婿を連れてきなさい。家の相続人にしなければならない。」と言っても、「ああ、できません。私は夫を持たない。」と言ったので、「そんなに親の言うことを聞かないなら、家から出て行きなさい。」と言うと、「じゃ、お金がなかったら行けないから私の分け前を下さい。私への分け前をもらったら、私は自分の身の振り方を考えます。」と言ったので、その家はお金持ちの家だから、「それじゃお金も財産もちょうど二つにして、お前に分けてあげるからあげたら持っていきなさい。」とお金もたくさんあげたので、娘は、「はい。」ともらい、財布に入れて包み着物なども分けてあげたので担いで出て行った。しばらく行くと、岸の下に水の落ちている所で髪を振り乱している人がいた。その人を夢心地になって見ていると、「その道を真っ直ぐどんどん行ったら、あなたが思っていることがかなえられる。」という声が聞こえてきた。そこには鳥がたくさんいて後を追ってもじっとしてガーガーと自分に寄ってきたので、七、八羽捕まえて縛って持って教えられた道をどんどん行くと炭焼きの人が炭俵を馬に積んで村の方に歩いてきたので、「あなたはどこからいらっしゃったのですか。ここからもっと先きに行った奥に村はありますか。」と尋ねたら、「ない、山ばかりだ。」と言ったので、「あなたは、どうしてここにいらっしゃるのですか。」と尋ねたら、「私はここに小屋を造って泊まって毎日炭を焼いている。」「じゃ、私はあなたがいらっしゃる家に行って、この鳥を炊いて料理して待っているから、あなたは村にいってらっしゃい。」と言ったので、「じゃ、村に炭を売りに行くから、あなたは先に私の家の方へいっていて下さい。」と言ったので、尋ねてその家に行って鳥をつぶし、すき焼きにして、夕食のおいしい物を仕度していると、男が帰ってきたので、二人で食べながら、その女の方から男に、「あなたはそんな炭を焼いて売り、金をもうけようとしてらっしゃる。あなたは馬鹿者だ。そこの道の端には一面に黄金の固まりがあるが、その黄金を取って村に持っていけば、大金が手に入るのに、何をあなたは考えてらっしゃるの。」と言うと、「どこにそれはあるか。」と言ったので、「そこの道の端にあるでしょう。」と言うと、「じゃ、教えてくれ。」と言うので、連れていって金の固まりがある所を教え、二人で袋に取っては入れて、村に持っていったら、黄金を買う人が、「売って。売って。」と多勢やってきて、大変な値で売れたので、金満家になった。銀行などにたくさん預け、大きな家を作ったので、その女の子の親たちもきて、その家で親子一緒暮らした。 |
| 全体の記録時間数 | 4:17 |
| 物語の時間数 | 3:57 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |