犬聟入(共通語)

概要

昔、女と犬が夫婦になり、山の中で暮らしていた。その犬は村から米俵などの食べ物の数々を盗んできて、また牛豚の肉などもくわえてきて妻にあげ、二人は何不自由のない豊かな暮らしを山の中で送っていた。そのように二人仲睦じい暮らしをしていることが村では取り沙汰され、また犬が毎日、村を荒らすので、村中の人々は手に負えず、損害もはなはだしく、「これを放っておいては大変だ。どうすればよいか。」と相談した。ある時一人の男がその話を聞いて、「これは本当かどうか行って確かめてみよう。本当なら、その犬を退治して捨てる外はない。」と犬が住んでいる家を山の中を探しながら行くと、山道には、大きな犬の足跡が続いているので、犬の足跡をたどって行くと、山の中に一軒家が見えたので、「間違いなくこの家だ。」と行ってみると、その家には女が一人いたので、「あなたの家に大きな犬がいるのは、本当ですか。」と聞くと、その女は、「はい、おります。」と言うので、「じゃ、どこにおりますか。」と聞くと、「今、村に行きました。」って。「じゃ、いつごろ帰りますか。」と聞くと、「もうやがて帰りますが、犬が帰ってきたらあなたの命が危い。犬に食い殺されてしまいます。犬が帰らないうちに、早く帰って下さい。」と女はあわてて言うので、男は、「はあ、そうですか。犬はそんなことをするんですか。じゃ、犬はどちらの方から帰るのですか。」と聞いて、犬の帰る道筋を確かめて、男は家に帰るふりをして、犬の帰って来る道の側の大きな木の枝に上り、座って心を落ち着かせ、準備して待っていると、犬は肉をくわえて、走って帰ってくるので、しっかり見ると、人間よりも大きな、大型犬なので、これは人間一人の力では、とてもかないそうにない様子だった。その男は今この犬を逃がしたらいけないと、近づくと同時に、弓矢を今だと放つと、一矢で犬に命中し、犬はどっと倒れ、そのまま死んだので、その男は、「ああ、よかった。俺の計画どおりにことが運んだ。」と、すばやく木から下りて、死んだ犬を道の側に引張ってきて、おいておき、早速女の家に戻り、「犬は道の側に死んでいるよ。」と伝えると、女は、「どうしたのだろう。じゃ、犬が死んでいる所に連れていって下さい。」と出かけ、死んでいる犬を見て、女は、驚き残念だと泣きわめくので、男は、「もう泣かないで。俺はあなたを助けるために、わざわざここまで足を運んできたんだ。あなたは人間だ。畜生ではない。あんな畜生と暮らし、夫婦になるなんて、それはいけないから俺が計画して、あの犬を退治して、同じ人間同志で楽しく暮らせるように、俺は犬を退治したのだ。今日からは俺と一緒に夫婦になり、楽しい暮らしをしようじゃないか。」と言うと、女は、「今しばらくお待ち下さい。どんなことがあったって、今までは家族として暮らしてきたのですから、どんな畜生とはいえ、死体の後片付けをして供養し、線香もあげないといけないから。」と女が言ったので、「ああ、そうか。」と男は手伝い、浜辺に墓を造り、その墓に犬を葬り、重箱にご馳走を盛っていき、焼香をし、供養してあげたので、女は落ちつきを取り戻した様子なので、男は遠廻しに、「もうすべきことも皆済まし、心も落ちついたことでしょう。他に心残りなことはないね。」と念を押して、「今日からは晴れて私たち二人は夫婦の暮らしが楽しくできるね。」と、言うと、女は、「うん、そうですね。でももう少し暇を下さい。すぐ帰ってきますから。」「どうして。」「もう一度、お墓参りに行って、すぐ帰りますから。」と女は出ていったので、男は、家で女の帰りを待っているがなかなか帰ってこない。太陽も落ち、夕方になったので、どこに行ったのだろうと探して行くと、この女はどこまでも犬とともにという決心で犬の墓の側で死んだという。

再生時間:5:00

民話詳細DATA

レコード番号 47O341558
CD番号 47O34C120
決定題名 犬聟入(共通語)
話者がつけた題名
話者名 後真地加美
話者名かな ついまじかみ
生年月日 18990103
性別
出身地 沖縄県八重山郡与那国町祖納
記録日 19760805
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 与那国町祖納 T53 A06
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料
キーワード 女,犬,夫婦,山の中,米俵,牛豚の肉,退治,弓矢,人間,畜生,供養,線香,墓
梗概(こうがい) 昔、女と犬が夫婦になり、山の中で暮らしていた。その犬は村から米俵などの食べ物の数々を盗んできて、また牛豚の肉などもくわえてきて妻にあげ、二人は何不自由のない豊かな暮らしを山の中で送っていた。そのように二人仲睦じい暮らしをしていることが村では取り沙汰され、また犬が毎日、村を荒らすので、村中の人々は手に負えず、損害もはなはだしく、「これを放っておいては大変だ。どうすればよいか。」と相談した。ある時一人の男がその話を聞いて、「これは本当かどうか行って確かめてみよう。本当なら、その犬を退治して捨てる外はない。」と犬が住んでいる家を山の中を探しながら行くと、山道には、大きな犬の足跡が続いているので、犬の足跡をたどって行くと、山の中に一軒家が見えたので、「間違いなくこの家だ。」と行ってみると、その家には女が一人いたので、「あなたの家に大きな犬がいるのは、本当ですか。」と聞くと、その女は、「はい、おります。」と言うので、「じゃ、どこにおりますか。」と聞くと、「今、村に行きました。」って。「じゃ、いつごろ帰りますか。」と聞くと、「もうやがて帰りますが、犬が帰ってきたらあなたの命が危い。犬に食い殺されてしまいます。犬が帰らないうちに、早く帰って下さい。」と女はあわてて言うので、男は、「はあ、そうですか。犬はそんなことをするんですか。じゃ、犬はどちらの方から帰るのですか。」と聞いて、犬の帰る道筋を確かめて、男は家に帰るふりをして、犬の帰って来る道の側の大きな木の枝に上り、座って心を落ち着かせ、準備して待っていると、犬は肉をくわえて、走って帰ってくるので、しっかり見ると、人間よりも大きな、大型犬なので、これは人間一人の力では、とてもかないそうにない様子だった。その男は今この犬を逃がしたらいけないと、近づくと同時に、弓矢を今だと放つと、一矢で犬に命中し、犬はどっと倒れ、そのまま死んだので、その男は、「ああ、よかった。俺の計画どおりにことが運んだ。」と、すばやく木から下りて、死んだ犬を道の側に引張ってきて、おいておき、早速女の家に戻り、「犬は道の側に死んでいるよ。」と伝えると、女は、「どうしたのだろう。じゃ、犬が死んでいる所に連れていって下さい。」と出かけ、死んでいる犬を見て、女は、驚き残念だと泣きわめくので、男は、「もう泣かないで。俺はあなたを助けるために、わざわざここまで足を運んできたんだ。あなたは人間だ。畜生ではない。あんな畜生と暮らし、夫婦になるなんて、それはいけないから俺が計画して、あの犬を退治して、同じ人間同志で楽しく暮らせるように、俺は犬を退治したのだ。今日からは俺と一緒に夫婦になり、楽しい暮らしをしようじゃないか。」と言うと、女は、「今しばらくお待ち下さい。どんなことがあったって、今までは家族として暮らしてきたのですから、どんな畜生とはいえ、死体の後片付けをして供養し、線香もあげないといけないから。」と女が言ったので、「ああ、そうか。」と男は手伝い、浜辺に墓を造り、その墓に犬を葬り、重箱にご馳走を盛っていき、焼香をし、供養してあげたので、女は落ちつきを取り戻した様子なので、男は遠廻しに、「もうすべきことも皆済まし、心も落ちついたことでしょう。他に心残りなことはないね。」と念を押して、「今日からは晴れて私たち二人は夫婦の暮らしが楽しくできるね。」と、言うと、女は、「うん、そうですね。でももう少し暇を下さい。すぐ帰ってきますから。」「どうして。」「もう一度、お墓参りに行って、すぐ帰りますから。」と女は出ていったので、男は、家で女の帰りを待っているがなかなか帰ってこない。太陽も落ち、夕方になったので、どこに行ったのだろうと探して行くと、この女はどこまでも犬とともにという決心で犬の墓の側で死んだという。
全体の記録時間数 5:17
物語の時間数 5:00
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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