首のない影(方言)

概要

昔、夫婦で暮らしていたって。ある時友人二人が、「今晩はとても月がきれいだから、三人で遊びにいこう。」と、その夫は友人と三人で遊びに出ていったって。ある場所に行き、三人は立ち止まりいろいろと、おしゃべり話していると、一人の友人が、「ちょっと待て、私たち三人の中に誰か首の影が写っていないが、誰の首なのかな。」と言うと、残る二人が、「なんだって。首の影だけが写らないなんて。三人の中の誰だか試して見よう。」と三人は並び立ち、月の明りに写すと、なるほど妻のいる男だあると分かり、その男は、「一人で試してもほんとに首から上の影は写らずどうしたことだろう。」と不思議に思い、家に帰って物知りの婆さんを訪ねて聞いたところ、お婆さんは、「そんなことなら、弓矢を作って君の一番大切な物をその弓矢で射殺しなさい。」と教えてくれたので、その夫は、「俺が一番大切な物は自分の妻だが、どうしましょうか。」と申しあげると、「それは君に任すよ。」と言われて仕方がない。自分の妻より大切なものはないが、でもお婆さんが妻の見ない所で、弓矢は準備するんだよと教えてくれたんだからと、夫は妻に、「今日は野良仕事だから弁当の準備をして。」と言いつけ、妻が弁当を作ったので、それを引っさげて野良に行き、そこで弓矢を作り準備ができたので、妻に分からないように家にこっそり帰って、家の中を覗くと、妻はつづらに座って麻糸を紡いでいるので、今だと自分の妻にねらいを定めて、一発、張り放すと、なんと座っていた妻の胸に命中し、妻はそのまま前に倒れ、その矢は腰掛けていたつづらに刺さり、そのつづらの中で何か物昔ががさがさとするので、「これは一体なんだろう。」と近寄ってつづらの蓋を開けて見ると、中には大の男が矢に刺さって血まみれになって死んでいるので、その夫はびっくりした。だから妻と間男が二人一緒に死んでしまったって。夫は、「なるほどこいつら二人で、この俺を亡き者にしようと悪だくみをしていたのだ。気付かずにいれば俺が死ぬところだった。もし今日の日を知らないで過ごしていたら大変だった。」と胸を撫で下ろし、隣りのお婆さんに、早速報告すると、お婆さんが、「今日油断していると君は命をとられたに間違いない。今日は八月十五夜で君の命拾いの日だから、よい日だ。お月様にちゃんと花を飾り、豆餅、御馳走を作り、重箱に入れてお祝いしなさい。」と言われたので、早速、その準備をし、二人の友人たちも来てくれと呼ぶと、「あれ、水を供えていない。水は自分の影が写るかどうかと試すようだよ。」と大椀に水も供え、お祝いしたのが十五夜で、十五夜は男子の健康の祝いと現在までその習わしが伝えられている。

再生時間:3:00

民話詳細DATA

レコード番号 47O341556
CD番号 47O34C119
決定題名 首のない影(方言)
話者がつけた題名 十五夜由来
話者名 後真地加美
話者名かな ついまじかみ
生年月日 18990103
性別
出身地 沖縄県八重山郡与那国町祖納
記録日 19760805
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 与那国町祖納 T53 A04
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料
キーワード 夫婦,友人,月,首の影,物知りの婆さん,弓矢,一番大切な物,つづら,間男,八月十五夜,豆餅,御馳走,お祝い,水
梗概(こうがい) 昔、夫婦で暮らしていたって。ある時友人二人が、「今晩はとても月がきれいだから、三人で遊びにいこう。」と、その夫は友人と三人で遊びに出ていったって。ある場所に行き、三人は立ち止まりいろいろと、おしゃべり話していると、一人の友人が、「ちょっと待て、私たち三人の中に誰か首の影が写っていないが、誰の首なのかな。」と言うと、残る二人が、「なんだって。首の影だけが写らないなんて。三人の中の誰だか試して見よう。」と三人は並び立ち、月の明りに写すと、なるほど妻のいる男だあると分かり、その男は、「一人で試してもほんとに首から上の影は写らずどうしたことだろう。」と不思議に思い、家に帰って物知りの婆さんを訪ねて聞いたところ、お婆さんは、「そんなことなら、弓矢を作って君の一番大切な物をその弓矢で射殺しなさい。」と教えてくれたので、その夫は、「俺が一番大切な物は自分の妻だが、どうしましょうか。」と申しあげると、「それは君に任すよ。」と言われて仕方がない。自分の妻より大切なものはないが、でもお婆さんが妻の見ない所で、弓矢は準備するんだよと教えてくれたんだからと、夫は妻に、「今日は野良仕事だから弁当の準備をして。」と言いつけ、妻が弁当を作ったので、それを引っさげて野良に行き、そこで弓矢を作り準備ができたので、妻に分からないように家にこっそり帰って、家の中を覗くと、妻はつづらに座って麻糸を紡いでいるので、今だと自分の妻にねらいを定めて、一発、張り放すと、なんと座っていた妻の胸に命中し、妻はそのまま前に倒れ、その矢は腰掛けていたつづらに刺さり、そのつづらの中で何か物昔ががさがさとするので、「これは一体なんだろう。」と近寄ってつづらの蓋を開けて見ると、中には大の男が矢に刺さって血まみれになって死んでいるので、その夫はびっくりした。だから妻と間男が二人一緒に死んでしまったって。夫は、「なるほどこいつら二人で、この俺を亡き者にしようと悪だくみをしていたのだ。気付かずにいれば俺が死ぬところだった。もし今日の日を知らないで過ごしていたら大変だった。」と胸を撫で下ろし、隣りのお婆さんに、早速報告すると、お婆さんが、「今日油断していると君は命をとられたに間違いない。今日は八月十五夜で君の命拾いの日だから、よい日だ。お月様にちゃんと花を飾り、豆餅、御馳走を作り、重箱に入れてお祝いしなさい。」と言われたので、早速、その準備をし、二人の友人たちも来てくれと呼ぶと、「あれ、水を供えていない。水は自分の影が写るかどうかと試すようだよ。」と大椀に水も供え、お祝いしたのが十五夜で、十五夜は男子の健康の祝いと現在までその習わしが伝えられている。
全体の記録時間数 3:15
物語の時間数 3:00
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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