昔、父が早くに亡くなり、母親と男の子二人と女の子一人の親子四人暮らしの家があった。母親は一人で、三人の子供を育てて成長させた。子供は年ごろになって長男も次男も嫁を取ると、「年寄りとはやって行けない。」と言って、年寄りの母は妹に押しつけて、二人とも家から出て行った。母親は仕方なく娘と二人で暮らしていた。その娘は、働かないと生活ができないから、雨の降る日も風の吹く日も二里程はなれた金持ちの家に通って働き、家では年寄りの母が毎日娘が帰るのを待っていた。ある日、娘が仕ことから帰る途中、道に倒れている人を見つけたので、立ち止まって、声をかけても返ことがない。良く見ると死んでいた。「これは大変だ。警察に届けよう。」と死人を担いで自分の家に運び、上の兄に伝えてから警察に届けようと、兄の家に行き、「兄さん、死んだ人を担いで帰ったがどうしたらよいでしょうか。」と話すと、兄に、「自分のこともできないのに、どこの誰とも分からない者を世話するなんて、お前は馬鹿じゃないか。」と叱られた。仕方なく家に帰ってみると連れてきた死人の姿はなく、寝かせておいた所がまばゆく光っていた。娘は自分の目がどうかしたのかと、目を拭いて見たが、やはりぴかぴかまばゆく光っているので、「お母さん、お母さん、見て下さい。死人を担いできて寝かせておいて、兄さんに相談しに行っている間に、その方がいなくなって、こんなに光っています。」と言うから、母親が手に取って見ると黄金の玉だった。「これは黄金だ。これはただごとではない。隣り近所の方々と兄を呼んで見せなさい。」言うので、早速近所の人達を呼び、兄も大急ぎでやって来た。二人の兄は、黄金を見ると、「これは俺が持っていくんだ。」「いや、俺が持っていく。」と兄弟で争い喧嘩になった。母親は、「ちょっと待ちなさい。そんな我が儘は許さない。これは親孝行をしている妹に神様が賜わった物だ。私を放って家から出て行ったお前たちが取ると、ちゃんと神様が見ていて、神様の罰が当るから、お前たちは酒でも飲んで帰りなさい。」と言ったので、二人の息子は、「俺たちは親に育てられ、大きくなったのに何一つしてあげなかった親不孝者だ。これからは少しでも妹を見習って親孝行して、お母さんを喜ばしてあげます。」と母と妹に詫びて、夜明けまでお祝いし、それからは子供三人が協力して母親に孝行し、授かった黄金のおかげで金持ちになった。
| レコード番号 | 47O341542 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C118 |
| 決定題名 | 黄金の死体(方言) |
| 話者がつけた題名 | 大歳の火 親孝行息子の話 |
| 話者名 | 目差ウナリ |
| 話者名かな | めざしうなり |
| 生年月日 | 19010219 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県八重山郡与那国町祖納 |
| 記録日 | 19760804 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 与那国町祖納 T52 B04 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 年寄りから聞いた |
| 文字化資料 | 日本昔話通観第26巻 P 193 |
| キーワード | 母親,三人の子供,長男,次男,妹,倒れている人,死んでいた,黄金の玉,我が儘,親孝行,神様,賜わった,罰 |
| 梗概(こうがい) | 昔、父が早くに亡くなり、母親と男の子二人と女の子一人の親子四人暮らしの家があった。母親は一人で、三人の子供を育てて成長させた。子供は年ごろになって長男も次男も嫁を取ると、「年寄りとはやって行けない。」と言って、年寄りの母は妹に押しつけて、二人とも家から出て行った。母親は仕方なく娘と二人で暮らしていた。その娘は、働かないと生活ができないから、雨の降る日も風の吹く日も二里程はなれた金持ちの家に通って働き、家では年寄りの母が毎日娘が帰るのを待っていた。ある日、娘が仕ことから帰る途中、道に倒れている人を見つけたので、立ち止まって、声をかけても返ことがない。良く見ると死んでいた。「これは大変だ。警察に届けよう。」と死人を担いで自分の家に運び、上の兄に伝えてから警察に届けようと、兄の家に行き、「兄さん、死んだ人を担いで帰ったがどうしたらよいでしょうか。」と話すと、兄に、「自分のこともできないのに、どこの誰とも分からない者を世話するなんて、お前は馬鹿じゃないか。」と叱られた。仕方なく家に帰ってみると連れてきた死人の姿はなく、寝かせておいた所がまばゆく光っていた。娘は自分の目がどうかしたのかと、目を拭いて見たが、やはりぴかぴかまばゆく光っているので、「お母さん、お母さん、見て下さい。死人を担いできて寝かせておいて、兄さんに相談しに行っている間に、その方がいなくなって、こんなに光っています。」と言うから、母親が手に取って見ると黄金の玉だった。「これは黄金だ。これはただごとではない。隣り近所の方々と兄を呼んで見せなさい。」言うので、早速近所の人達を呼び、兄も大急ぎでやって来た。二人の兄は、黄金を見ると、「これは俺が持っていくんだ。」「いや、俺が持っていく。」と兄弟で争い喧嘩になった。母親は、「ちょっと待ちなさい。そんな我が儘は許さない。これは親孝行をしている妹に神様が賜わった物だ。私を放って家から出て行ったお前たちが取ると、ちゃんと神様が見ていて、神様の罰が当るから、お前たちは酒でも飲んで帰りなさい。」と言ったので、二人の息子は、「俺たちは親に育てられ、大きくなったのに何一つしてあげなかった親不孝者だ。これからは少しでも妹を見習って親孝行して、お母さんを喜ばしてあげます。」と母と妹に詫びて、夜明けまでお祝いし、それからは子供三人が協力して母親に孝行し、授かった黄金のおかげで金持ちになった。 |
| 全体の記録時間数 | 3:24 |
| 物語の時間数 | 3:00 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◯ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |