ミルクとサーカ(方言)

概要

昔とん。昔、ミルクという人とサーカという人がいた。ミルクは女でサーカは男で、二人はとても頭がよく抜群な二人であった。この二人はこの島の王は私がなる、俺がなると争っていたが、ある人が、「二人で争っていても仕方がない。島の王は一人でなければいけない。」と話すと、一人が、「今晩、寝ている間に、寝床の枕元に、花が咲くが、その花がどちらかの頭に挿されるから、挿された人が島の王になることと決めよう。」と二人の相談がまとまり、「じゃ寝よう。」と、二人が寝ていると、女のミルクは大変な寝坊で、床に入ると同時に身動きもせずにぐっすりと人がさわってもわからないほど熟睡し、サーカはなかなか目が冴えて寝られず、花は誰の頭に咲くのだろうと見ていると、ミルクの頭に花が咲いているのに気が付き、サーカは今がチャンスだと寝ているミルクの頭の花を盗み取り、自分の頭に挿して知らん振りして、「ほら見ろ、自分の頭に花が咲いた。この島の王はこのサーカだ。」と寝ているミルクを起こして言うとミルクは、「仕方がない。」と言って、サーカに負けて島におれなくなり、遠いアンドの島に引越して行った。ミルクがこれまで島を守っていたおかげで農作物すべて豊作で、住民は幸せに暮らしていたが、ミルクが島から出られると豊かに暮していた島はいっぺんに貧乏になり、住民は、途端に苦労のどん底になり困ってしまった。サーカは麦しか作り出していなかったので、サーカ自身も困った。島の人々は苦しみのあまり、「ミルクがいないから、島の暮らしは貧しいのだ。これでは大変だ。ミルクをお迎えして来て、元の暮らしに戻り、島の生活を考えねばならない。ミルクはまだ生きておられるかな。生きておられるなら、どこの島におられようが、みんなでお迎えして拝み、幸せになりましょう。」とミルクをお迎えするために、住民はミルクの唄を唄い続けた。現在も島の豊作はミルクのおかげだと島の行事にはミルクを先頭に、子孫全部揃って拝み、行事の舞踊の踊り初めにはミルクの踊りが出る。ミルクは島を出た時に歩き続けて途中で疲れたので、中体みのためある家に立ち寄り、休みながらあまりのひもじさにたまらなくなり、その家ではビングウイ芋を大きな鍋いっぱいに炊いていたので、「食べさせてくれないか。」と頼んだが断られてとうとう食べさせてもらえなかったので、一口でも食べたいなあと思いながら空腹のまま残念に思って炊事場を振り向きながらその家を立ち去ったので、人情のない悪い心の持ち主だと、すごく残念で、「こんなに薄情な心の持ち主にはいま炊いている芋は食べられず、生(なま)のままに芽が出ればよいのに。」と言うと、それからビングウイは人間が食べられないようになった。

再生時間:4:34

民話詳細DATA

レコード番号 47O341521
CD番号 47O34C117
決定題名 ミルクとサーカ(方言)
話者がつけた題名
話者名 前粟蔵永渡
話者名かな まえあわぐらえいと
生年月日 19061102
性別
出身地 沖縄県八重山郡与那国町
記録日 19760805
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 与那国町久部良 T51 B02
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 笑話
発句(ほっく) ンカチトンソー、ンカチ
伝承事情 姉の夫のおじさんで美崎さんという瓦焼職人の人から聞いた。採訪時から数えて十年ほど前に孫に話したこともある。
文字化資料
キーワード ミルク,サーカ,島の王,寝床,枕元,花,咲く,盗み,アンドの島,農作物,豊作,貧乏,麦,お迎え,拝み,幸せ,唄,行事,舞踊,踊り,ビングウイ芋
梗概(こうがい) 昔とん。昔、ミルクという人とサーカという人がいた。ミルクは女でサーカは男で、二人はとても頭がよく抜群な二人であった。この二人はこの島の王は私がなる、俺がなると争っていたが、ある人が、「二人で争っていても仕方がない。島の王は一人でなければいけない。」と話すと、一人が、「今晩、寝ている間に、寝床の枕元に、花が咲くが、その花がどちらかの頭に挿されるから、挿された人が島の王になることと決めよう。」と二人の相談がまとまり、「じゃ寝よう。」と、二人が寝ていると、女のミルクは大変な寝坊で、床に入ると同時に身動きもせずにぐっすりと人がさわってもわからないほど熟睡し、サーカはなかなか目が冴えて寝られず、花は誰の頭に咲くのだろうと見ていると、ミルクの頭に花が咲いているのに気が付き、サーカは今がチャンスだと寝ているミルクの頭の花を盗み取り、自分の頭に挿して知らん振りして、「ほら見ろ、自分の頭に花が咲いた。この島の王はこのサーカだ。」と寝ているミルクを起こして言うとミルクは、「仕方がない。」と言って、サーカに負けて島におれなくなり、遠いアンドの島に引越して行った。ミルクがこれまで島を守っていたおかげで農作物すべて豊作で、住民は幸せに暮らしていたが、ミルクが島から出られると豊かに暮していた島はいっぺんに貧乏になり、住民は、途端に苦労のどん底になり困ってしまった。サーカは麦しか作り出していなかったので、サーカ自身も困った。島の人々は苦しみのあまり、「ミルクがいないから、島の暮らしは貧しいのだ。これでは大変だ。ミルクをお迎えして来て、元の暮らしに戻り、島の生活を考えねばならない。ミルクはまだ生きておられるかな。生きておられるなら、どこの島におられようが、みんなでお迎えして拝み、幸せになりましょう。」とミルクをお迎えするために、住民はミルクの唄を唄い続けた。現在も島の豊作はミルクのおかげだと島の行事にはミルクを先頭に、子孫全部揃って拝み、行事の舞踊の踊り初めにはミルクの踊りが出る。ミルクは島を出た時に歩き続けて途中で疲れたので、中体みのためある家に立ち寄り、休みながらあまりのひもじさにたまらなくなり、その家ではビングウイ芋を大きな鍋いっぱいに炊いていたので、「食べさせてくれないか。」と頼んだが断られてとうとう食べさせてもらえなかったので、一口でも食べたいなあと思いながら空腹のまま残念に思って炊事場を振り向きながらその家を立ち去ったので、人情のない悪い心の持ち主だと、すごく残念で、「こんなに薄情な心の持ち主にはいま炊いている芋は食べられず、生(なま)のままに芽が出ればよいのに。」と言うと、それからビングウイは人間が食べられないようになった。
全体の記録時間数 4:55
物語の時間数 4:34
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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