唐から宝を持ってきた話。それはねえ、小さいときに、比嘉の親父、ナーグシク小(ぐわー)の親から聞いたんだけどよ。ニーオーという人がいたって。ニーオーというのは仇名だよ。この人は体が弱くてね。那覇にニーオー御嶽(うたき)という所があって、体が弱い人はその名をつけよったらしいよ。そのニーオーがね、マーチモー(松毛)に行って、草を刈りよったらしいんだ。すると、「ニーオー、ニーオー。」と呼ぶんだが、誰もいないらしいよ。「誰もいないのに、俺を呼ぶ人がいるかなあ。」と。また草を刈ろうとしたら、またも、「ニーオー。」と。また立って見たら人はいないし、また三回目に草を刈ろうとしたらね、烏が、「ニーオー、ここだよ。ここにいるんだよ。」と言うらしい。烏がニーオーに話しかけてね、「唐の王様の長男が死の病にかかって、やがて唐から医者をさがしに来るから、あんたが行って下さい。」と言うたらしいよ。「俺は医者でもないし、どうして治すか。」「私が教えてやるから、あんたが行ってきなさい。その王様の家に、千斤かかる百足(むかで)がいる。その百足はね、長男のムンヌハチを食べてしまってそれだけ大きくなっているから、それを取って退けたら病は良くなるよ。また、千斤かから百足を殺してから、唐船に乗って家に帰る道中に無人島がある。その無人島には御願所(うがんじゅ)が一つある。そのウコール(御香炉)の下にはたくさんの宝があるから、それを取って、帰ってきなさい。」と烏が教えたわけだよ。その話を聞いてたニーオーは桟橋(さんばし)の方にいて、唐船が入ってくるのを待ちかねておったらしいよ。唐船が来るのを待っていて、桟橋の方で遊んでおったらしいんだ。唐船が入ってきたので、ニーオーが、「お前達はどこに行くのか。」と言うたらしい。「唐の王様の長男が病気して医者を連れに来た。」と。「唐に行くのは俺だから連れて行って下さい。」と言うたら、「お前に医者ができるか。」と言うて、上の方に医者探しに行ったんだが、唐に行く医者はいないらしい。そのとき、ニーオーは、唐船の底に隠れておった。唐の使いの者たちは、「医者もいないから、どうして戻って行くかなあ。」と話しているわけ。「もう、しようもないから行こう。」と言って船持(ふなむ)ちは船を出したらしいんだ。唐に帰る途中、ニーオーが出てきて、「おい待て。」と言うたらしい。「お前は何から来たか。」「お前らの船から来たんだよ。」と言うたら、唐の使いの者は、「そんなに言うんなら、いっしょに行って治してくれ。」と言うたらしいよ。そうして、ニーオーがいっしょに唐に行って、王様の長男の脈もとって体も調べてやったらしい。そして、「これは、あなたがたの家の上に千斤かかる百足がいるから、その百足はこの人のムンヌハチを食べてそれだけ大きくなっている。それをとって退けないと、この人の命はない。」と言うたらしいよ。そうして、言うとおりに、二、三日かかって百足を捕る準備をして、槍やナギナタ全部集めて捕ったらしいんだ。殺してから計りにかけて見たら、千斤あったって。そうして、長男はご飯も食べて、だんだん元気になったらしい。それから、ニーオーが家に帰るときに、王様からも宝を貰った。宝物を積んで、船を出して、沖縄に向かったって。途中、「こっちに無人島があるかなぁ。」と聞いたら、「あるよ。」と。「その無人島に着けて下さい。」と。船頭(ふなとー)といっしょにその御願所(うがんじゅ)のウコール(御香炉)をひっくり返したら、唐船一杯の宝が出たって。ニーオーは、その宝も一緒に積んで沖縄へ帰った。それから後、薩摩から戦(いくさ)が寄せてきたわけだな。そして、薩摩が沖縄を負かして、ニーオーが持ってきた宝物を全部船に積んで持って帰ったらしい。その途中さ、薩摩の船は壊れてしまって、宝物は全部海に沈んでしまったわけさ。その後からどんなに探しても見つからなかったってさ。
| レコード番号 | 47O411080 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C036 |
| 決定題名 | ニーオーと宝物(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 比嘉清茂 |
| 話者名かな | ひがきよしげ |
| 生年月日 | 19040920 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 与那城村与那城 |
| 記録日 | 19861123 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 与那城村T10A10 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | よなぐすくの民話P93 |
| キーワード | 唐から宝,ニーオー,体が弱い人,マーチモー,烏,唐の王様の長男が死の病,百足,長男のムンヌハチ,無人島,ウコール,薩摩から戦 |
| 梗概(こうがい) | 唐から宝を持ってきた話。それはねえ、小さいときに、比嘉の親父、ナーグシク小(ぐわー)の親から聞いたんだけどよ。ニーオーという人がいたって。ニーオーというのは仇名だよ。この人は体が弱くてね。那覇にニーオー御嶽(うたき)という所があって、体が弱い人はその名をつけよったらしいよ。そのニーオーがね、マーチモー(松毛)に行って、草を刈りよったらしいんだ。すると、「ニーオー、ニーオー。」と呼ぶんだが、誰もいないらしいよ。「誰もいないのに、俺を呼ぶ人がいるかなあ。」と。また草を刈ろうとしたら、またも、「ニーオー。」と。また立って見たら人はいないし、また三回目に草を刈ろうとしたらね、烏が、「ニーオー、ここだよ。ここにいるんだよ。」と言うらしい。烏がニーオーに話しかけてね、「唐の王様の長男が死の病にかかって、やがて唐から医者をさがしに来るから、あんたが行って下さい。」と言うたらしいよ。「俺は医者でもないし、どうして治すか。」「私が教えてやるから、あんたが行ってきなさい。その王様の家に、千斤かかる百足(むかで)がいる。その百足はね、長男のムンヌハチを食べてしまってそれだけ大きくなっているから、それを取って退けたら病は良くなるよ。また、千斤かから百足を殺してから、唐船に乗って家に帰る道中に無人島がある。その無人島には御願所(うがんじゅ)が一つある。そのウコール(御香炉)の下にはたくさんの宝があるから、それを取って、帰ってきなさい。」と烏が教えたわけだよ。その話を聞いてたニーオーは桟橋(さんばし)の方にいて、唐船が入ってくるのを待ちかねておったらしいよ。唐船が来るのを待っていて、桟橋の方で遊んでおったらしいんだ。唐船が入ってきたので、ニーオーが、「お前達はどこに行くのか。」と言うたらしい。「唐の王様の長男が病気して医者を連れに来た。」と。「唐に行くのは俺だから連れて行って下さい。」と言うたら、「お前に医者ができるか。」と言うて、上の方に医者探しに行ったんだが、唐に行く医者はいないらしい。そのとき、ニーオーは、唐船の底に隠れておった。唐の使いの者たちは、「医者もいないから、どうして戻って行くかなあ。」と話しているわけ。「もう、しようもないから行こう。」と言って船持(ふなむ)ちは船を出したらしいんだ。唐に帰る途中、ニーオーが出てきて、「おい待て。」と言うたらしい。「お前は何から来たか。」「お前らの船から来たんだよ。」と言うたら、唐の使いの者は、「そんなに言うんなら、いっしょに行って治してくれ。」と言うたらしいよ。そうして、ニーオーがいっしょに唐に行って、王様の長男の脈もとって体も調べてやったらしい。そして、「これは、あなたがたの家の上に千斤かかる百足がいるから、その百足はこの人のムンヌハチを食べてそれだけ大きくなっている。それをとって退けないと、この人の命はない。」と言うたらしいよ。そうして、言うとおりに、二、三日かかって百足を捕る準備をして、槍やナギナタ全部集めて捕ったらしいんだ。殺してから計りにかけて見たら、千斤あったって。そうして、長男はご飯も食べて、だんだん元気になったらしい。それから、ニーオーが家に帰るときに、王様からも宝を貰った。宝物を積んで、船を出して、沖縄に向かったって。途中、「こっちに無人島があるかなぁ。」と聞いたら、「あるよ。」と。「その無人島に着けて下さい。」と。船頭(ふなとー)といっしょにその御願所(うがんじゅ)のウコール(御香炉)をひっくり返したら、唐船一杯の宝が出たって。ニーオーは、その宝も一緒に積んで沖縄へ帰った。それから後、薩摩から戦(いくさ)が寄せてきたわけだな。そして、薩摩が沖縄を負かして、ニーオーが持ってきた宝物を全部船に積んで持って帰ったらしい。その途中さ、薩摩の船は壊れてしまって、宝物は全部海に沈んでしまったわけさ。その後からどんなに探しても見つからなかったってさ。 |
| 全体の記録時間数 | 11:42 |
| 物語の時間数 | 11:28 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |