昔、ところは中頭郡の具志川の天願川原(てぃんがんがーら)のほとりにですね、仲の悪い兄弟がいたわけです。そして、ことごとに二人仲悪くて、仲違(たが)いして、兄弟としてのよしみがなかなか得られんでいるときにですね。一人の兄弟には、その天願川原のほとりに粟、トーヌチンという、赤くバラバラに実がさがった穀物を栽培している畑があったが、年々、その作物を植えた畑は荒らされたんですね。粟、トーヌチンを植えた畑は荒らされて、作物が被害にあって、ほとんど無収穫にひとしい状態になったんです。ある日、夜ですね、一人の兄弟が畑見まわりに行ったら、大きな盗人(ぬすっと)がいたんですね。「この野郎、私(うち)の大事な農作物を荒らして、けしからん。」と、器物(きぶつ)で殴り倒した死んでしまってね。てっきり人を殺したと思って、しばらく気を失ってボーッとして。仕方ないから、いずれにせよ、これを片付けなきゃいかんというわけで。また、この兄弟には親しい友達があったと。自分の兄弟とは仲が悪かったけれども、その反面仲のいい友達がいたと。それで、その友達のところ行ってね、「私はね、不用意に人を殺してしまった。これをいっしょに処理しようじゃないか。」と言ったら、この友人いわく、「私は、人殺しの友達との仕事はまっぴらごめんだ。」とはねつけられたって。それじゃあというんで、仲の悪い兄弟はどんなもんだろうかということで、仲違いをしている兄弟のところへ行って、また同じことを言ったらね。もうその兄弟は一言もなくね、「よろしい。この際だ。」と。普段は仲悪くてもね、兄弟はあんたしかいなくて、血肉を分けた兄弟のやるべきことが人の道だということでね。モッコを担いでその山の場所に行ったんだ。そうしたらその兄弟はびっくりして、人でなくしていわゆる鰻(ウナギ)であったと。それ担いできてね、家で大きな鍋に炊いて、親戚、近所の人たちを呼んでですね、「我々兄弟二人は大きな獲物を天願川原からとってきて、今日は御馳走してあげますから、みんなで祝って下さい。」と、みんな御馳走にあずかったわけですね。そうしたら、仲のいい友達はね、「私はあの人のいうことを聞いて、いっしょに助けておけば、この御馳走にあずかることもできよったがなあ。」と言って、足を高くして、首を長くしてね、その家の石垣の周辺をのぞき歩いたという。兄弟仲良くしなけりゃならんという昔のいわれ話がありますがね。
| レコード番号 | 47O410715 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C021 |
| 決定題名 | 兄弟の仲直り(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 宮里三郎 |
| 話者名かな | みやざとさぶろう |
| 生年月日 | 19011227 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 与那城村宮城島上原 |
| 記録日 | 19740922 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 与那城村T22B06 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | よなぐすくの民話P100 |
| キーワード | 天願川原,仲の悪い兄弟,粟,トーヌチン,た畑は荒らされた,大きな盗人,殴り倒した,人を殺した,親しい友達,鰻 |
| 梗概(こうがい) | 昔、ところは中頭郡の具志川の天願川原(てぃんがんがーら)のほとりにですね、仲の悪い兄弟がいたわけです。そして、ことごとに二人仲悪くて、仲違(たが)いして、兄弟としてのよしみがなかなか得られんでいるときにですね。一人の兄弟には、その天願川原のほとりに粟、トーヌチンという、赤くバラバラに実がさがった穀物を栽培している畑があったが、年々、その作物を植えた畑は荒らされたんですね。粟、トーヌチンを植えた畑は荒らされて、作物が被害にあって、ほとんど無収穫にひとしい状態になったんです。ある日、夜ですね、一人の兄弟が畑見まわりに行ったら、大きな盗人(ぬすっと)がいたんですね。「この野郎、私(うち)の大事な農作物を荒らして、けしからん。」と、器物(きぶつ)で殴り倒した死んでしまってね。てっきり人を殺したと思って、しばらく気を失ってボーッとして。仕方ないから、いずれにせよ、これを片付けなきゃいかんというわけで。また、この兄弟には親しい友達があったと。自分の兄弟とは仲が悪かったけれども、その反面仲のいい友達がいたと。それで、その友達のところ行ってね、「私はね、不用意に人を殺してしまった。これをいっしょに処理しようじゃないか。」と言ったら、この友人いわく、「私は、人殺しの友達との仕事はまっぴらごめんだ。」とはねつけられたって。それじゃあというんで、仲の悪い兄弟はどんなもんだろうかということで、仲違いをしている兄弟のところへ行って、また同じことを言ったらね。もうその兄弟は一言もなくね、「よろしい。この際だ。」と。普段は仲悪くてもね、兄弟はあんたしかいなくて、血肉を分けた兄弟のやるべきことが人の道だということでね。モッコを担いでその山の場所に行ったんだ。そうしたらその兄弟はびっくりして、人でなくしていわゆる鰻(ウナギ)であったと。それ担いできてね、家で大きな鍋に炊いて、親戚、近所の人たちを呼んでですね、「我々兄弟二人は大きな獲物を天願川原からとってきて、今日は御馳走してあげますから、みんなで祝って下さい。」と、みんな御馳走にあずかったわけですね。そうしたら、仲のいい友達はね、「私はあの人のいうことを聞いて、いっしょに助けておけば、この御馳走にあずかることもできよったがなあ。」と言って、足を高くして、首を長くしてね、その家の石垣の周辺をのぞき歩いたという。兄弟仲良くしなけりゃならんという昔のいわれ話がありますがね。 |
| 全体の記録時間数 | 7:59 |
| 物語の時間数 | 7:12 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |