私たちのファーフジンチャーが話していた伝え話は聞いていますが。あの当時、御主加那志前(うすがなしーめー)のそばには名護親方(なごうぇーかた)と具志頭親方(ぐしちゃんうぇーかた)がいらっしゃった。具志頭親方より名護親方の方が天分がおありになって、御主加那志前も名護親方を信用して、大変もてなしていらっしゃったようです。具志頭親方の方は、名護親方より劣っていらっしゃったようですが、二人とも同じ位であられるので、御主加那志前も、大変ていねいに二人と接していたようです。御主加那志前のウミングヮが年ごろになられて、婿をとるじぶんになられたので、名護親方に御主加那志前が、「お前は、私のウミングワ を妻にして、婿になってくれないか。」とおっしゃったら、名護親方は、「はぁ、身分が上であられるウミングワ を私のような者が妻にするなどとはもってのほかでございます。」と言って、お断わりなさった。それで、御主加那志前もしかたがないということで、具志頭親方にお願いしたら、具志頭親方は、「よろしいです。」と、すぐ御主加那志前のおっしゃるように、婿になられた。だから、常日ごろは名護親方の方が上であられるので、御主加那志前も大変よくしようとお考えなさっていた。が、反対にことわられてしまったので、名護親方は少し追いぬかれて、今度は具志頭親方が婿になられたので、名護親方より大変ていねいにあつかったようです。そしたら、名護親方は、どんなにして勘をはたらかそうかとお考えになって、クバ扇に歌をお作りになられた。「クバ扇(うじ)るやしが むちなしぬゆたさ〔こんなクバの扇でも快いものです〕暑(あち)さしじゃまする 玉(たま)ぬ団扇(うちわ)〔暑さをしのげないのは、あの団扇ですよ〕。」という歌を書いて 知らんふりして置いていかれたら、具志頭親方は意味がおわかりにならなかったのか、この歌を御主加那志前のところへ持って言った。「どうでございますか、御主加那志前。この歌は私が作りましたが。」と言って、御主加那志前にさしあげたら、御主加那志前はお感じになられて、「アハー、また名護親方にやられたな。」とお考えになって、ものを言わなかったそうでございますが。もう、そのあとから、名護親方も具志頭親方も同じ身分の高い方であられるから、歌勝負をなさったのか、名護親方は、「ふみらりんしかん すすらりんしかん〔ほめられるのもいやだ。けなされるのもいやだ。〕中世(なかゆ)とぅてぃ浮(う)き世(よ) 渡(わた)いぶさん〔中をとって浮き世を渡っていきたい〕。」という歌をお作りになった。具志頭親方は、「ふみてぃふみらりる 世(ゆ)ぬ中(なか)ん人(ちゅー)〔ほめられるのもけなされるのも世の中だ〕さたぬねん人(ひとう)ぬ何役(ぬやく)たちゅが〔名も残せない人が何の役にたつのか〕。」という歌をお作りになったということです。
| レコード番号 | 47O410707 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C021 |
| 決定題名 | 名護親方と具志頭親方(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 根保利之助 |
| 話者名かな | ねほとしのすけ |
| 生年月日 | 19011010 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 与那城村宮城 |
| 記録日 | 19740922 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 与那城村T22A26 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 祖父母から聞いた。 |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 御主加那志前,名護親方,具志頭親方,ウミングヮ,婿,クバ扇,歌勝負 |
| 梗概(こうがい) | 私たちのファーフジンチャーが話していた伝え話は聞いていますが。あの当時、御主加那志前(うすがなしーめー)のそばには名護親方(なごうぇーかた)と具志頭親方(ぐしちゃんうぇーかた)がいらっしゃった。具志頭親方より名護親方の方が天分がおありになって、御主加那志前も名護親方を信用して、大変もてなしていらっしゃったようです。具志頭親方の方は、名護親方より劣っていらっしゃったようですが、二人とも同じ位であられるので、御主加那志前も、大変ていねいに二人と接していたようです。御主加那志前のウミングヮが年ごろになられて、婿をとるじぶんになられたので、名護親方に御主加那志前が、「お前は、私のウミングワ を妻にして、婿になってくれないか。」とおっしゃったら、名護親方は、「はぁ、身分が上であられるウミングワ を私のような者が妻にするなどとはもってのほかでございます。」と言って、お断わりなさった。それで、御主加那志前もしかたがないということで、具志頭親方にお願いしたら、具志頭親方は、「よろしいです。」と、すぐ御主加那志前のおっしゃるように、婿になられた。だから、常日ごろは名護親方の方が上であられるので、御主加那志前も大変よくしようとお考えなさっていた。が、反対にことわられてしまったので、名護親方は少し追いぬかれて、今度は具志頭親方が婿になられたので、名護親方より大変ていねいにあつかったようです。そしたら、名護親方は、どんなにして勘をはたらかそうかとお考えになって、クバ扇に歌をお作りになられた。「クバ扇(うじ)るやしが むちなしぬゆたさ〔こんなクバの扇でも快いものです〕暑(あち)さしじゃまする 玉(たま)ぬ団扇(うちわ)〔暑さをしのげないのは、あの団扇ですよ〕。」という歌を書いて 知らんふりして置いていかれたら、具志頭親方は意味がおわかりにならなかったのか、この歌を御主加那志前のところへ持って言った。「どうでございますか、御主加那志前。この歌は私が作りましたが。」と言って、御主加那志前にさしあげたら、御主加那志前はお感じになられて、「アハー、また名護親方にやられたな。」とお考えになって、ものを言わなかったそうでございますが。もう、そのあとから、名護親方も具志頭親方も同じ身分の高い方であられるから、歌勝負をなさったのか、名護親方は、「ふみらりんしかん すすらりんしかん〔ほめられるのもいやだ。けなされるのもいやだ。〕中世(なかゆ)とぅてぃ浮(う)き世(よ) 渡(わた)いぶさん〔中をとって浮き世を渡っていきたい〕。」という歌をお作りになった。具志頭親方は、「ふみてぃふみらりる 世(ゆ)ぬ中(なか)ん人(ちゅー)〔ほめられるのもけなされるのも世の中だ〕さたぬねん人(ひとう)ぬ何役(ぬやく)たちゅが〔名も残せない人が何の役にたつのか〕。」という歌をお作りになったということです。 |
| 全体の記録時間数 | 5:56 |
| 物語の時間数 | 5:44 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |