カマターの話はよ、これは場所はどこか分からないけどね。あるところに綺麗な娘がいたんだよ。一人娘がいたんだが、夜中になると綺麗な青年が枕元に出て来て、娘を夢心地にさせるんだね。香水をまいたような花の匂いがただよう夢うつつの中に、ほとんど毎夜こうして青年が立派な綺麗な青年がね。こうして日がたつうちに、この娘の腹が大きくなって膨れてきたから、親達は、「大事な一人娘のところに男が来て、娘は身籠もってしまった。許してはおけない。」と。ある日、娘を呼んで、両親が大変叱ったらしい。「お前は、こんな親の心配も知らないでみだらなことをして、許すわけにはいかない。」「私は親不孝なことをした覚えもないし、叱られるいわれも何もありません。」「何もないって、この腹はどうしたんだ。」と叱っても、どうしようもなくてね、この娘は大変残念がって毎夜泣いて暮らしていた。ある日、娘は思いあまって両親に打ち明けたんだね。「心あたりがあるんです。毎夜、綺麗な男が私の枕元に出てきたら夢心地になり、もうちょうど花の匂いがして、いい気持ちになってね。だけど目を覚ましたら男はいなくなって、このようなことはありましたが。」と言うと、父親は、「だったらこれは、ひょっとしたら何か神の祟りじゃないだろうか。まず針に糸を通して、この男が出てきたら、着物の襟首に針を刺して、これの行方を探ろうなあ。」と言ったので、そのとおりにしたって。あくる朝起きたらね、なるほどこの糸はずうっとこの家から出て、遠くまで続いてたらしい。親子三名でこの糸の跡をたどっていったら、洞穴の中まで続いていたそうだ。それで、洞窟に入ったら、アカマターがとぐろを巻いて、ベロ(舌)も出して、目もギラギラしているので、怖くてもう、親子はびっくりして家に帰ってきた。それでさあ、「どうしたもんかねえ。もうこのお腹の中に入っているアカマターの子供下ろせるかねえ。」って。だけど、昔の人だから分からないさあね。親が考えてね、三月三日に浜に下りていって砂を踏んで浜下りして。あんなやって戻ってくるときにフーチバー〔蓬)取って来て、これを海のもんといっしょに煎じて飲んだら、このアカマターが何しようと、なんでもないからと言ってね。そうしてこの娘は、三月三日に浜に下りていって、家でフーチバー煎(せん)じて飲んだから、アカマターの子供がぞろぞろ降りたって。あんなことがあったからね、それから女というのは、どんなときでも誰がこんなことにあたるかも分からないでしょう。女はみんな三月三日は連れだって浜に下りていったら、フーチバーの葉を煎じて飲みなさいようと、このようなことがあってから、何も汚らわしいことないからという意味で、この島では三月三日は浜下りをして、家に帰ってきてからフーチバーを煎じて飲むよ。
| レコード番号 | 47O410504 |
|---|---|
| CD番号 | 47O41C011 |
| 決定題名 | アカマタ婿入(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 宮里三郎 |
| 話者名かな | みやざとさぶろう |
| 生年月日 | 19011217 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 与那城村上原 |
| 記録日 | 19720806 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 与那城村T12B04 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | よなぐすくの民話P69 |
| キーワード | カマター,綺麗な娘,綺麗な青年,夢心地,香水,腹が大きくなった,親,神の祟り,針に糸,着物の襟首,洞穴の中,アカマター,三月三日に,浜下り,砂,フーチバー |
| 梗概(こうがい) | カマターの話はよ、これは場所はどこか分からないけどね。あるところに綺麗な娘がいたんだよ。一人娘がいたんだが、夜中になると綺麗な青年が枕元に出て来て、娘を夢心地にさせるんだね。香水をまいたような花の匂いがただよう夢うつつの中に、ほとんど毎夜こうして青年が立派な綺麗な青年がね。こうして日がたつうちに、この娘の腹が大きくなって膨れてきたから、親達は、「大事な一人娘のところに男が来て、娘は身籠もってしまった。許してはおけない。」と。ある日、娘を呼んで、両親が大変叱ったらしい。「お前は、こんな親の心配も知らないでみだらなことをして、許すわけにはいかない。」「私は親不孝なことをした覚えもないし、叱られるいわれも何もありません。」「何もないって、この腹はどうしたんだ。」と叱っても、どうしようもなくてね、この娘は大変残念がって毎夜泣いて暮らしていた。ある日、娘は思いあまって両親に打ち明けたんだね。「心あたりがあるんです。毎夜、綺麗な男が私の枕元に出てきたら夢心地になり、もうちょうど花の匂いがして、いい気持ちになってね。だけど目を覚ましたら男はいなくなって、このようなことはありましたが。」と言うと、父親は、「だったらこれは、ひょっとしたら何か神の祟りじゃないだろうか。まず針に糸を通して、この男が出てきたら、着物の襟首に針を刺して、これの行方を探ろうなあ。」と言ったので、そのとおりにしたって。あくる朝起きたらね、なるほどこの糸はずうっとこの家から出て、遠くまで続いてたらしい。親子三名でこの糸の跡をたどっていったら、洞穴の中まで続いていたそうだ。それで、洞窟に入ったら、アカマターがとぐろを巻いて、ベロ(舌)も出して、目もギラギラしているので、怖くてもう、親子はびっくりして家に帰ってきた。それでさあ、「どうしたもんかねえ。もうこのお腹の中に入っているアカマターの子供下ろせるかねえ。」って。だけど、昔の人だから分からないさあね。親が考えてね、三月三日に浜に下りていって砂を踏んで浜下りして。あんなやって戻ってくるときにフーチバー〔蓬)取って来て、これを海のもんといっしょに煎じて飲んだら、このアカマターが何しようと、なんでもないからと言ってね。そうしてこの娘は、三月三日に浜に下りていって、家でフーチバー煎(せん)じて飲んだから、アカマターの子供がぞろぞろ降りたって。あんなことがあったからね、それから女というのは、どんなときでも誰がこんなことにあたるかも分からないでしょう。女はみんな三月三日は連れだって浜に下りていったら、フーチバーの葉を煎じて飲みなさいようと、このようなことがあってから、何も汚らわしいことないからという意味で、この島では三月三日は浜下りをして、家に帰ってきてからフーチバーを煎じて飲むよ。 |
| 全体の記録時間数 | 5:46 |
| 物語の時間数 | 5:08 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | 〇 |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |