田名部落でよ、非常に仲良しに暮らしている夫婦がおったと。夫は漁師をしていてね、海に漁に行ったけれどね、海が荒れてよ、どこに漂流したのか分からないと。それで、この妻の方の女はね、女は非常に美しい女であった。周囲の人らはね、「こんな荒海に出ているから、もう死んでおる。」と言ったり、また、「あれは、死んで帰って来ないからよ、僕の妻になれ。」とね、こんなことを言う人が沢山おったがね、この女は、人の言うことを絶対信用しないで、「自分の夫は必ずいつかは帰って来る。」と信じきっておってね、自分の貞操を守ってよ、夫を待つために、無蔵水という岩の上はね、機織りをする水も水溜まりが、いつもあって機織りができるから、そこで機を織っておって、夫の来るのをいつも待ちどうしくしてね、海ばっかり眺めながら、機織りをしておったと。だけど、いつまでも夫は帰って来ない。さあ、この女に憧れる田名や島の若者連中はね、沢山おったがね、それでも、貞操を守っていたらね、そうこうするうちに、何ヶ月かたった場合ね、奄美の徳之島に漂流していたこの夫がよ、向こうから戻って来ておったと。だから女の貞操というのは、非常に意味があるんだね。だから、そこに歌がある。「大田名(うふだな)ぬ後(くし)に無蔵水(んぞみじ)ぬあゆん(田名の後に無蔵水というのがある)夫(うとぅ)振(ふ)ゆる女(いなぐ)あれに浴(あ)みし(夫を振り捨てる女は、あの水に浴びせて見習わせなさい)」またもう一つは、「夫(うとぅ)ん振(ふ)やびらん 里(さとぅ)ん振(ふ)やびらん(夫を振ったわけでもない。里を振ったわけでもない。〕なま童(わらび)やてぃる 一人(ちゅい)振(ふ)たる〔私はまだ子供なので、一人の人だけをふっただけです。)」
| レコード番号 | 47O381209 |
|---|---|
| CD番号 | 47O38C062 |
| 決定題名 | 無蔵水の話(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 高良武雄 |
| 話者名かな | たからたけお |
| 生年月日 | 19070526 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県島尻郡伊平屋村字島尻 |
| 記録日 | 19800908 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 島尻郡伊平屋村島尻 T22 B05 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説、 歌 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 伊平屋村民話集 P 26 |
| キーワード | 田名部落,夫婦,漁師,漂流,貞操,無蔵水,機織り,水溜まり,奄美,徳之島,歌 |
| 梗概(こうがい) | 田名部落でよ、非常に仲良しに暮らしている夫婦がおったと。夫は漁師をしていてね、海に漁に行ったけれどね、海が荒れてよ、どこに漂流したのか分からないと。それで、この妻の方の女はね、女は非常に美しい女であった。周囲の人らはね、「こんな荒海に出ているから、もう死んでおる。」と言ったり、また、「あれは、死んで帰って来ないからよ、僕の妻になれ。」とね、こんなことを言う人が沢山おったがね、この女は、人の言うことを絶対信用しないで、「自分の夫は必ずいつかは帰って来る。」と信じきっておってね、自分の貞操を守ってよ、夫を待つために、無蔵水という岩の上はね、機織りをする水も水溜まりが、いつもあって機織りができるから、そこで機を織っておって、夫の来るのをいつも待ちどうしくしてね、海ばっかり眺めながら、機織りをしておったと。だけど、いつまでも夫は帰って来ない。さあ、この女に憧れる田名や島の若者連中はね、沢山おったがね、それでも、貞操を守っていたらね、そうこうするうちに、何ヶ月かたった場合ね、奄美の徳之島に漂流していたこの夫がよ、向こうから戻って来ておったと。だから女の貞操というのは、非常に意味があるんだね。だから、そこに歌がある。「大田名(うふだな)ぬ後(くし)に無蔵水(んぞみじ)ぬあゆん(田名の後に無蔵水というのがある)夫(うとぅ)振(ふ)ゆる女(いなぐ)あれに浴(あ)みし(夫を振り捨てる女は、あの水に浴びせて見習わせなさい)」またもう一つは、「夫(うとぅ)ん振(ふ)やびらん 里(さとぅ)ん振(ふ)やびらん(夫を振ったわけでもない。里を振ったわけでもない。〕なま童(わらび)やてぃる 一人(ちゅい)振(ふ)たる〔私はまだ子供なので、一人の人だけをふっただけです。)」 |
| 全体の記録時間数 | 3:49 |
| 物語の時間数 | 3:30 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |