我々が聞いた尚円王の母親はよ、士族ではなくて、普通の平民で百姓であったでしょうな。その娘が王様の妾になっておって、子供が生まれるようになったから、「これをどこでも産んだ場合は、大変なことになる。」と言ってね、国頭の辺戸の宜名真というところに行って、子どもを産んでよ、宜名真の海にね、小さな箱に入れてからね、島流ししたという。宜名真の向かいは伊是名でしょう。それで、その箱がこっちにただよって来たから、これを伊是名の漁師がよ、海で見つけて、「これは何かな。大きな箱が流れてくる。」と、この箱を開けて見たら赤ちゃんが入っておると。この漁師は、もう一生懸命、家に帰って来てね、この子どもを育てた。この漁師に育てられたのが、後で尚円王になる西の松金(まつがね)であると。西の松金は、非常に頭もいいし、好男子だったらしいね。それで、伊是名の若い娘さんがよ、いつも慕っていたと。だから、伊是名には逆田という田がある。西の松金のこの田はね、他の人の田よりもずっと上にあったでしょう。上にあるんだが、西の松金も水を入れもしないけれど、旱魃のときでも、いつも水があったと。それで、坂に水があるからね、「なんでこっちの田は涸れているのに向こうの上の田に水があるのか。水が逆に行くはずがないのに、これは不思議だ。」と言ったから、逆田という名前がある。あの水はね、西の松金は、非常に好男子だからね、娘さんたちがね、西の松金を偲(しの)んでね、夜になったらよ、みんなで担いでよ、人の田にある水を桶に入れて、西の松金の田に入れよったと。そしてね、最後には、西の松金は、向こうの青年に憎まれてよ、追放どころじゃない、「さあ、あいつは二、三日のうちに殺してやる。」と言っているという噂があってね、その噂を聞いた人が西の松金に聞かして、「あんたは、早く逃げなければいけない。」と、くり舟で夜逃がしたら、西の松金の舟は、国頭の奥間に行ったらしいね。そして、西の松金は、向こうの奥間(うくま)って、鍛冶屋のところに行ったらね、鍛冶屋が、またこの人を世話して、次第次第に首里の近くに西の松金は行った。そしたら、首里では、「この人は徳の高い人で、非常に偉い人だから、この人に王をさせなければいけない。」と言ってね、尚円王という王様にしたんだな。
| レコード番号 | 47O381207 |
|---|---|
| CD番号 | 47O38C062 |
| 決定題名 | 尚巴志 尚円王(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 高良武雄 |
| 話者名かな | たからたけお |
| 生年月日 | 19070526 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県島尻郡伊平屋村字島尻 |
| 記録日 | 19800908 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 島尻郡伊平屋村島尻 T22 B03 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 伊平屋村民話集 P 76 |
| キーワード | 尚円王,士族,平民,百姓,王様,妾,国頭,辺戸,宜名真,伊是名,漁師,西の松金,逆田,旱魃,追放,噂,くり舟,奥間,鍛冶屋,首里,徳 |
| 梗概(こうがい) | 我々が聞いた尚円王の母親はよ、士族ではなくて、普通の平民で百姓であったでしょうな。その娘が王様の妾になっておって、子供が生まれるようになったから、「これをどこでも産んだ場合は、大変なことになる。」と言ってね、国頭の辺戸の宜名真というところに行って、子どもを産んでよ、宜名真の海にね、小さな箱に入れてからね、島流ししたという。宜名真の向かいは伊是名でしょう。それで、その箱がこっちにただよって来たから、これを伊是名の漁師がよ、海で見つけて、「これは何かな。大きな箱が流れてくる。」と、この箱を開けて見たら赤ちゃんが入っておると。この漁師は、もう一生懸命、家に帰って来てね、この子どもを育てた。この漁師に育てられたのが、後で尚円王になる西の松金(まつがね)であると。西の松金は、非常に頭もいいし、好男子だったらしいね。それで、伊是名の若い娘さんがよ、いつも慕っていたと。だから、伊是名には逆田という田がある。西の松金のこの田はね、他の人の田よりもずっと上にあったでしょう。上にあるんだが、西の松金も水を入れもしないけれど、旱魃のときでも、いつも水があったと。それで、坂に水があるからね、「なんでこっちの田は涸れているのに向こうの上の田に水があるのか。水が逆に行くはずがないのに、これは不思議だ。」と言ったから、逆田という名前がある。あの水はね、西の松金は、非常に好男子だからね、娘さんたちがね、西の松金を偲(しの)んでね、夜になったらよ、みんなで担いでよ、人の田にある水を桶に入れて、西の松金の田に入れよったと。そしてね、最後には、西の松金は、向こうの青年に憎まれてよ、追放どころじゃない、「さあ、あいつは二、三日のうちに殺してやる。」と言っているという噂があってね、その噂を聞いた人が西の松金に聞かして、「あんたは、早く逃げなければいけない。」と、くり舟で夜逃がしたら、西の松金の舟は、国頭の奥間に行ったらしいね。そして、西の松金は、向こうの奥間(うくま)って、鍛冶屋のところに行ったらね、鍛冶屋が、またこの人を世話して、次第次第に首里の近くに西の松金は行った。そしたら、首里では、「この人は徳の高い人で、非常に偉い人だから、この人に王をさせなければいけない。」と言ってね、尚円王という王様にしたんだな。 |
| 全体の記録時間数 | 6:00 |
| 物語の時間数 | 5:38 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |