古宇利島にさ、男と女との神様が二名いたようですな。そのころは裸世と言って、着物というものもなくみな裸さ。それで、三食の御飯は天から餅が落ちてきてさ、この餅を召し上がっていたみたい。始めのうちは、やっぱし二人は餅を食べても残しはしない。そのうち二人は、年をとるうちに頭を働かすようになったらさ、それまで粗末にしていた餅を、「これは、またひもじくなったら食べる。」と言って、棚に隠していたみたいさ。こんなにしたので、天の神様は、「もうこれたちは物を大事にする心があるようになったので、今からは天から餅を落とさなくても、自分たちで働いて食べていけるだろう。」と、餅を全然落とさなかったってさ。そしたら、男と女の神様は、翌日の夕方から、天の神様に、「もうお腹が空いて、ひもじくなってしょうがないので、必ず餅を落として下さい。」と言ったのに、それでも天の神様は認めないで全然落とさないわけさ。それからは、絶対に餅を落とさなくなったので、二人は海に行って、貝殻を捕ったり、また魚を少しずつ捕って、これを食べてから育っているわけ。ある日、この男と女の神様は、海の生き物がいつも見たことのないことをするのを見ているわけさ。そしたら、この二人の神様は、その真似をして楽しんだら、それからまた恥というのをわかってね、ここを見せたらいけないと、それから木の葉を腰巻きにしてさ、恥を隠したってさ。この古宇利島は、この二人の神様から子孫が、今、現在広がって古宇利島の島になったってさ。この神様の二人は、今も古宇利島の中の御嶽の前にお祀祭していたって。そこは、昔は、この白米をお供えして拝んでいたが、今は酒をお供えして拝んでいるそうだ。
レコード番号 | 47O381127 |
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CD番号 | 47O38C057 |
決定題名 | 古宇利島始祖(シマグチ) |
話者がつけた題名 | - |
話者名 | 新垣国太郎 |
話者名かな | あらがきくにたろう |
生年月日 | 19050830 |
性別 | 男 |
出身地 | 沖縄県島尻郡伊平屋村字我喜屋 |
記録日 | 19800908 |
記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
元テープ番号 | 島尻郡伊平屋村我喜屋 T19 A11 |
元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
分類 | 本格昔話 |
発句(ほっく) | - |
伝承事情 | - |
文字化資料 | 伊平屋村民話集 P 101 |
キーワード | 古宇利島,神様,裸世と,天,餅,貝殻,真似,恥,木の葉,腰巻き,子孫,御嶽,白米,酒,お供え |
梗概(こうがい) | 古宇利島にさ、男と女との神様が二名いたようですな。そのころは裸世と言って、着物というものもなくみな裸さ。それで、三食の御飯は天から餅が落ちてきてさ、この餅を召し上がっていたみたい。始めのうちは、やっぱし二人は餅を食べても残しはしない。そのうち二人は、年をとるうちに頭を働かすようになったらさ、それまで粗末にしていた餅を、「これは、またひもじくなったら食べる。」と言って、棚に隠していたみたいさ。こんなにしたので、天の神様は、「もうこれたちは物を大事にする心があるようになったので、今からは天から餅を落とさなくても、自分たちで働いて食べていけるだろう。」と、餅を全然落とさなかったってさ。そしたら、男と女の神様は、翌日の夕方から、天の神様に、「もうお腹が空いて、ひもじくなってしょうがないので、必ず餅を落として下さい。」と言ったのに、それでも天の神様は認めないで全然落とさないわけさ。それからは、絶対に餅を落とさなくなったので、二人は海に行って、貝殻を捕ったり、また魚を少しずつ捕って、これを食べてから育っているわけ。ある日、この男と女の神様は、海の生き物がいつも見たことのないことをするのを見ているわけさ。そしたら、この二人の神様は、その真似をして楽しんだら、それからまた恥というのをわかってね、ここを見せたらいけないと、それから木の葉を腰巻きにしてさ、恥を隠したってさ。この古宇利島は、この二人の神様から子孫が、今、現在広がって古宇利島の島になったってさ。この神様の二人は、今も古宇利島の中の御嶽の前にお祀祭していたって。そこは、昔は、この白米をお供えして拝んでいたが、今は酒をお供えして拝んでいるそうだ。 |
全体の記録時間数 | 3:11 |
物語の時間数 | 2:58 |
言語識別 | 方言 |
音源の質 | ○ |
テープ番号 | - |
予備項目1 | - |