屋蔵大主と尚巴志(共通語)

概要

昔話でありますがね、屋蔵大主(やぐらうふすー)はこの我喜屋出身であって、ここの役人をやっておったんでしょう。この人は、非常に若いとき働き者であったそうで、こっちでは餓死(がし)の年の場合の用意としてな、昔はですね、貯蔵する蓄(たく)え倉(ぐら)というものがあったから、その蓄え蔵に島の人の大中小の力によってですな、米の籾(もみ)を集めて蓄えておったらしいんだな。そしたら、ある年ですね、非常に日照りで、旱魃(かんばつ)しましてねえ、もう農作物は作れなくなったとき、この蓄(たく)え倉(ぐら)の方に籾(もみ)、米は沢山ありますがね、この屋蔵大主は、「自由に食わしたならば、後は食う物がなく、島人は飢え死にする。」と言ってね、配給制度して村人に食べさしたそうですな。そうしたから、配給制だから、腹一杯食べる物は無かったんでしょう。だから、村の若い連中は、「この蓄え倉に米は沢山あるが、なぜあの米を本当は配給して食べさせないか。これでは仕事ができない。あいつをここに置いたらもう駄目だ。あいつを打ち殺して米を取って食べよう。」と悪い企みをもったんですね。それで、屋蔵大主は非常に働き者ですから、昼はうんと働いて、夜はくたびれてぐっすり眠っておるときにですね、夢を見たそうですな。この夢はどういう夢を見たかといったら、自分の枕元に白髪のお爺さんの姿をした神が現れて、「お前は、この村に住んでおったら、お前の命は危うくなる。この村を立ち去りなさい。」と言う夢を見たようですな。飛びて起きて見たならば、それは夢であったようですな。またも寝たら、また同じ夢を見たそうですな。そのときには、飛び起きて見ると自分の枕元にね、白髪のぼうぼうと生えた爺さんが、立っておるようですな。この人によると、「お前は、こっちにおったならば、生命危うくなる。船は私が用意してあるからこの村から早く出ていきなさい。」と行かしたそうですな。そして、浜に行ってみたら、もう船も用意してあったそうです。その船に乗って、何日かかかって今帰仁の方に着いたそうですな。そしたら、その今帰仁でも人に狙われてですな、同じ夢を見たようです。そのときもまた神がですな、「お前は、こっちにいたら生命が危うくなるから、西崎、残波崎、那覇の崎、糸満の崎、また東に行って喜屋武崎と五つの崎を巡って着いたところがお前の暮らすべき国だから、そこに行きなさい。」と言ったわけさね。それで、舟に乗って五つの崎を巡って今の佐敷の方に着いたから、そこに居着いたわけです。そうして、この佐敷行ってですな、漁業をやって、捕った魚を毎日売って日常生活をやって長らく生活したようです。そのときの佐敷の佐敷按司(さしきあじ)はですね、一人娘おったが、男の子いなかったようですな。それで、佐敷の按司の方は婿をほしいと考えておって、今のいうなら易者の三世相(さんじんそう)に占わせたらですよ、その易者がそのとき、「あなたの婿なる者は、何月の何日の朝、六時ごろにこの家の門から通る人だから、これを婿に選びなさい。」と言うてからね、もうその日には、佐敷の按司の家来どもは、もう門に番して、待ちかねておったそうですな。屋蔵大主の方は、毎日、海から取った魚を毎日六時頃に売って歩きよったそうで、この門の前を通ったときにですね、「これはこっちの婿になる人だ。」と言ってね、とっつかまれて引き込まれたそうですな。それから、屋蔵大主はこの屋敷の按司の家にね、連れて行かれて、それで佐敷の按司の前に出されたようですが、この佐敷の按司の方は、この按司はちょっと不賛成であったようですが、「お前は、占いでは、こっちの婿になる人だから、婿になりなさい。」と言ったそうですな。その屋蔵大主は、「もう下層の身分から出ていますから、こっちの按司の婿になることできない。」と断ったようですな。その按司は、婿になるのが貧乏な漁師だから、ちょっと不服だったから、もう婿にするのは止めようと思ったら、その按司の娘が非常に望んでですなあ、とうとうこっちの按司の婿になって、この二人の中から生まれた人が第一尚氏始めの王になる尚巴志(しょうはっし)ですな。今でも、ここから行かれた祖先は、佐敷の方でも祟(あが)めておるらしいですよ。

再生時間:5:55

民話詳細DATA

レコード番号 47O381099
CD番号 47O38C056
決定題名 屋蔵大主と尚巴志(共通語)
話者がつけた題名
話者名 新垣国太郎
話者名かな あらがきくにたろう
生年月日 19050830
性別
出身地 沖縄県島尻郡伊平屋村字我喜屋
記録日 19800908
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 島尻郡伊平屋村我喜屋 T18 A30 
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 伝説
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 伊平屋村民話集 P62
キーワード 屋蔵大主,我喜屋,米の籾,旱魃,飢え死,配給,夢,神,今帰仁,西崎,残波崎,那覇,糸満,喜屋武崎,佐敷,按司,易者,三世相,婿,第一尚氏,尚巴志
梗概(こうがい) 昔話でありますがね、屋蔵大主(やぐらうふすー)はこの我喜屋出身であって、ここの役人をやっておったんでしょう。この人は、非常に若いとき働き者であったそうで、こっちでは餓死(がし)の年の場合の用意としてな、昔はですね、貯蔵する蓄(たく)え倉(ぐら)というものがあったから、その蓄え蔵に島の人の大中小の力によってですな、米の籾(もみ)を集めて蓄えておったらしいんだな。そしたら、ある年ですね、非常に日照りで、旱魃(かんばつ)しましてねえ、もう農作物は作れなくなったとき、この蓄(たく)え倉(ぐら)の方に籾(もみ)、米は沢山ありますがね、この屋蔵大主は、「自由に食わしたならば、後は食う物がなく、島人は飢え死にする。」と言ってね、配給制度して村人に食べさしたそうですな。そうしたから、配給制だから、腹一杯食べる物は無かったんでしょう。だから、村の若い連中は、「この蓄え倉に米は沢山あるが、なぜあの米を本当は配給して食べさせないか。これでは仕事ができない。あいつをここに置いたらもう駄目だ。あいつを打ち殺して米を取って食べよう。」と悪い企みをもったんですね。それで、屋蔵大主は非常に働き者ですから、昼はうんと働いて、夜はくたびれてぐっすり眠っておるときにですね、夢を見たそうですな。この夢はどういう夢を見たかといったら、自分の枕元に白髪のお爺さんの姿をした神が現れて、「お前は、この村に住んでおったら、お前の命は危うくなる。この村を立ち去りなさい。」と言う夢を見たようですな。飛びて起きて見たならば、それは夢であったようですな。またも寝たら、また同じ夢を見たそうですな。そのときには、飛び起きて見ると自分の枕元にね、白髪のぼうぼうと生えた爺さんが、立っておるようですな。この人によると、「お前は、こっちにおったならば、生命危うくなる。船は私が用意してあるからこの村から早く出ていきなさい。」と行かしたそうですな。そして、浜に行ってみたら、もう船も用意してあったそうです。その船に乗って、何日かかかって今帰仁の方に着いたそうですな。そしたら、その今帰仁でも人に狙われてですな、同じ夢を見たようです。そのときもまた神がですな、「お前は、こっちにいたら生命が危うくなるから、西崎、残波崎、那覇の崎、糸満の崎、また東に行って喜屋武崎と五つの崎を巡って着いたところがお前の暮らすべき国だから、そこに行きなさい。」と言ったわけさね。それで、舟に乗って五つの崎を巡って今の佐敷の方に着いたから、そこに居着いたわけです。そうして、この佐敷行ってですな、漁業をやって、捕った魚を毎日売って日常生活をやって長らく生活したようです。そのときの佐敷の佐敷按司(さしきあじ)はですね、一人娘おったが、男の子いなかったようですな。それで、佐敷の按司の方は婿をほしいと考えておって、今のいうなら易者の三世相(さんじんそう)に占わせたらですよ、その易者がそのとき、「あなたの婿なる者は、何月の何日の朝、六時ごろにこの家の門から通る人だから、これを婿に選びなさい。」と言うてからね、もうその日には、佐敷の按司の家来どもは、もう門に番して、待ちかねておったそうですな。屋蔵大主の方は、毎日、海から取った魚を毎日六時頃に売って歩きよったそうで、この門の前を通ったときにですね、「これはこっちの婿になる人だ。」と言ってね、とっつかまれて引き込まれたそうですな。それから、屋蔵大主はこの屋敷の按司の家にね、連れて行かれて、それで佐敷の按司の前に出されたようですが、この佐敷の按司の方は、この按司はちょっと不賛成であったようですが、「お前は、占いでは、こっちの婿になる人だから、婿になりなさい。」と言ったそうですな。その屋蔵大主は、「もう下層の身分から出ていますから、こっちの按司の婿になることできない。」と断ったようですな。その按司は、婿になるのが貧乏な漁師だから、ちょっと不服だったから、もう婿にするのは止めようと思ったら、その按司の娘が非常に望んでですなあ、とうとうこっちの按司の婿になって、この二人の中から生まれた人が第一尚氏始めの王になる尚巴志(しょうはっし)ですな。今でも、ここから行かれた祖先は、佐敷の方でも祟(あが)めておるらしいですよ。
全体の記録時間数 6:31
物語の時間数 5:55
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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