塩が一番(共通語)

概要

昔、七ケ月雨が降ったというたかね、それから、また七ヶ月晴れて、非常にもう人民の生活が苦しんでおってよ。そうしておったところが、こう七ヶ月目に雨が晴れた後で、按司加那志がですね、みんな家来の者を集めて、「一番、世の中においしい物は何か。」と問うたて。問うたら、銘々が、「私は何がおいしい。私は何がおいしいであります。」みんなおいしい物を言うたそうですよね。一人の人が、「私の一番おいしいのは塩であります。」と塩であるというたから、この按司加那志は怒ってしまってね、「人をバカにしておる。」と言うて、この塩がおいしいというた人は、八重山の波照間の方に流罪なったそうですよ。この人は非常にもう八重山の波照間の方に島流しにされる罪こうむって行ったから残念に思っていたそうです。この後ですね、按司加那志が御飯を食べるときに、いつもよりお汁がおいしかったって。「今日はいつもと変わって特別おいしいが、今日の料理は何を使ってこんなにおいしくなったか。」と言うたら、家来どもは、「いいえ、何も使いません。いつも普通どおりの御飯を作っていますが。」と言ったら、「ううん、今日は特別に違っておる。何か今日は入っておる。今日は特別においしい。」と言ったら、「普段通りに作っていますがね、特別、何も入れたということもありませんが。」と言うたら、「ううん、これはどうにかしている。今日は違っている。」と言って、もう何べんも何べんもこんなにして按司加那志が問うていたら、一人の家来が出て、「はあ、棚の上に塩入れた袋を置いてありますよ。今日のお汁は、確かこれが溶けてしまって、この塩水が鍋の方に、チョッチョッして落ちました。これの塩の関係ではありませんかね。」と言うたって。言うたら、この王様はですね、「ああ、これは自分は非常にしくじった。一番塩が世の中においしい物と言うた人を流罪にしてしまったが、これは自分が悪かった。八重山、波照間に流罪した人を連れてくるように。」と言うて使いをやったて。使いをやったら、この罪をこうむって島流しされた人は、「いったんこんなにして罪咎を受けて、流罪しになった顔で、なんの顔もって王様に顔合わせが出来るか。自分は絶対行かない。」と言うたら、今度、また何べんも、「もう帰って来るように。」と言うたら、今度は島流しにされている人がね、「しいて私を呼び戻そうというお考えがありますならば、ハーリー三つ造っておいでなさい。」と。泊バーリーは黒でしょう。那覇が白でしょう。久米村(くにんだ)は黄色ね。そしたら、この王様は、早速に、このハーリー三つ造ってね、八重山の波照間にやったそうです。八重山の波照間に行って、流罪された人を乗せてきた時が、五月五日であると。だからね、那覇に着いた時はね、「よかったねえ。」と言っていたら、那覇に着いた時にね、この流罪された人はね、舟から降りたかと思ったらね、顔合わせするときに、「流罪されて何んの役に立つことはないから面会することはできない。この世を失った方がいい。」と言って、海に沈んでしまって死んでしまったそうです。旧の五月五日のハーリーというのは、この記念の意味だとね。

再生時間:5:38

民話詳細DATA

レコード番号 47O380821
CD番号 47O38C041
決定題名 塩が一番(共通語)
話者がつけた題名 塩が一番うまい ハーリー由来
話者名 山川オト
話者名かな やまかわおと
生年月日 18871206
性別
出身地 沖縄県那覇市小禄
記録日 19800908
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 島尻郡伊平屋村我喜屋 T05 B07 
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話
発句(ほっく) むかし
伝承事情
文字化資料
キーワード 七ケ月,雨,按司加那志,家来,おいしい物,塩,八重山,波照間,流罪,塩水,島流し,ハーリ,泊バーリー,那覇,久米村,五月五日
梗概(こうがい) 昔、七ケ月雨が降ったというたかね、それから、また七ヶ月晴れて、非常にもう人民の生活が苦しんでおってよ。そうしておったところが、こう七ヶ月目に雨が晴れた後で、按司加那志がですね、みんな家来の者を集めて、「一番、世の中においしい物は何か。」と問うたて。問うたら、銘々が、「私は何がおいしい。私は何がおいしいであります。」みんなおいしい物を言うたそうですよね。一人の人が、「私の一番おいしいのは塩であります。」と塩であるというたから、この按司加那志は怒ってしまってね、「人をバカにしておる。」と言うて、この塩がおいしいというた人は、八重山の波照間の方に流罪なったそうですよ。この人は非常にもう八重山の波照間の方に島流しにされる罪こうむって行ったから残念に思っていたそうです。この後ですね、按司加那志が御飯を食べるときに、いつもよりお汁がおいしかったって。「今日はいつもと変わって特別おいしいが、今日の料理は何を使ってこんなにおいしくなったか。」と言うたら、家来どもは、「いいえ、何も使いません。いつも普通どおりの御飯を作っていますが。」と言ったら、「ううん、今日は特別に違っておる。何か今日は入っておる。今日は特別においしい。」と言ったら、「普段通りに作っていますがね、特別、何も入れたということもありませんが。」と言うたら、「ううん、これはどうにかしている。今日は違っている。」と言って、もう何べんも何べんもこんなにして按司加那志が問うていたら、一人の家来が出て、「はあ、棚の上に塩入れた袋を置いてありますよ。今日のお汁は、確かこれが溶けてしまって、この塩水が鍋の方に、チョッチョッして落ちました。これの塩の関係ではありませんかね。」と言うたって。言うたら、この王様はですね、「ああ、これは自分は非常にしくじった。一番塩が世の中においしい物と言うた人を流罪にしてしまったが、これは自分が悪かった。八重山、波照間に流罪した人を連れてくるように。」と言うて使いをやったて。使いをやったら、この罪をこうむって島流しされた人は、「いったんこんなにして罪咎を受けて、流罪しになった顔で、なんの顔もって王様に顔合わせが出来るか。自分は絶対行かない。」と言うたら、今度、また何べんも、「もう帰って来るように。」と言うたら、今度は島流しにされている人がね、「しいて私を呼び戻そうというお考えがありますならば、ハーリー三つ造っておいでなさい。」と。泊バーリーは黒でしょう。那覇が白でしょう。久米村(くにんだ)は黄色ね。そしたら、この王様は、早速に、このハーリー三つ造ってね、八重山の波照間にやったそうです。八重山の波照間に行って、流罪された人を乗せてきた時が、五月五日であると。だからね、那覇に着いた時はね、「よかったねえ。」と言っていたら、那覇に着いた時にね、この流罪された人はね、舟から降りたかと思ったらね、顔合わせするときに、「流罪されて何んの役に立つことはないから面会することはできない。この世を失った方がいい。」と言って、海に沈んでしまって死んでしまったそうです。旧の五月五日のハーリーというのは、この記念の意味だとね。
全体の記録時間数 6:01
物語の時間数 5:38
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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