これは糸満にあった事なんですけどもね。これはミーヤーウンメーグヮーと言う家のクジリーという娘がね、ある男と恋愛関係になっておったらしいです。ところがその当時はね、親の認可がなかったら、結婚はできなかったんですよ。それでも、二人は、「気持ちは絶対変わらん。」というふうな約束をしておったんだが、ところが女の方がね、余所の男と許嫁したわけなんです。男の方はね、「もう君はそういう約束をしながらね、どうしてそんな事をするのか。」と言うと、「仕様ないじゃあないの。もう親が一切の権限持っておるからね、あなたも諦めて下さい。」「いやあ、僕は諦めることはできない。」というふうな問答があったんですね。 その当時は、フカッキといってフカ釣りがあってよ、その男は、わざわざ女の家に行ってフカ釣りの包丁研いでおったらしいんですよ。そして向こうの女の方の親父がね、「どうして、次男兄さんあなたね、天気が悪いのに包丁研いでるか。」と聞いたらね、「もういい天気になったら、すぐフカ釣りに行こうと思って準備していますよ。」言うたその晩にですね、夜中に向こうの家に忍んで行ったら、その娘は許嫁した旦那さんの妹さんと二人寝ておったらしいですよ。ところが、この人は非常に几帳面な人だったのでしょう。足を触ってね、まあ、分かるわけですがね。「ああ、これじゃない。」 それで、向こうに触ったら、「ああ、これ間違いない。」と言ってね、その娘を刺したから、もうこの娘は三ヶ所ぐらい刺されて即死してるわけ。 そして、男の人はね、それからまた自分は、腹を切って腹のものは全部出してるんですよ。で、その当時の病院の先生が駆けつけて来たらですね、本人は生きておったんですよ。「この人は生きる可能性あるけれども、どうするか。」「僕は、もう絶対女を殺したんだから、自分も冥土に行って二人は夫婦になる。」と言って、絶対、医者には手(てー)入れさせんで死んだわけ。 そういう事件があったわけなんですけどね。それから、約二ヵ月ですか後になって、女と男の両方の墓から遺念火といって、女の人が行ったり、また男の人が行ったりして、男と女の霊がね、非常に頻繁に向こうに行ったり来たりしたのが見えたわけよ。 私は、そういう話がありますけんどこの火は見たことないんです。
| レコード番号 | 47O380739 |
|---|---|
| CD番号 | 47O38C037 |
| 決定題名 | 遺念火(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 上原忠信 |
| 話者名かな | うえはらちゅうしん |
| 生年月日 | 19121130 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県糸満市町端 |
| 記録日 | 19800907 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 島尻郡伊平屋村前泊 T03 A05 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説、 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 伊平屋村民話集 P142 |
| キーワード | 糸満,ミーヤーウンメーグヮー,クジリー,恋愛,結婚,フカッキ,フカ釣り,包丁,冥土,墓,遺念火,霊 |
| 梗概(こうがい) | これは糸満にあった事なんですけどもね。これはミーヤーウンメーグヮーと言う家のクジリーという娘がね、ある男と恋愛関係になっておったらしいです。ところがその当時はね、親の認可がなかったら、結婚はできなかったんですよ。それでも、二人は、「気持ちは絶対変わらん。」というふうな約束をしておったんだが、ところが女の方がね、余所の男と許嫁したわけなんです。男の方はね、「もう君はそういう約束をしながらね、どうしてそんな事をするのか。」と言うと、「仕様ないじゃあないの。もう親が一切の権限持っておるからね、あなたも諦めて下さい。」「いやあ、僕は諦めることはできない。」というふうな問答があったんですね。 その当時は、フカッキといってフカ釣りがあってよ、その男は、わざわざ女の家に行ってフカ釣りの包丁研いでおったらしいんですよ。そして向こうの女の方の親父がね、「どうして、次男兄さんあなたね、天気が悪いのに包丁研いでるか。」と聞いたらね、「もういい天気になったら、すぐフカ釣りに行こうと思って準備していますよ。」言うたその晩にですね、夜中に向こうの家に忍んで行ったら、その娘は許嫁した旦那さんの妹さんと二人寝ておったらしいですよ。ところが、この人は非常に几帳面な人だったのでしょう。足を触ってね、まあ、分かるわけですがね。「ああ、これじゃない。」 それで、向こうに触ったら、「ああ、これ間違いない。」と言ってね、その娘を刺したから、もうこの娘は三ヶ所ぐらい刺されて即死してるわけ。 そして、男の人はね、それからまた自分は、腹を切って腹のものは全部出してるんですよ。で、その当時の病院の先生が駆けつけて来たらですね、本人は生きておったんですよ。「この人は生きる可能性あるけれども、どうするか。」「僕は、もう絶対女を殺したんだから、自分も冥土に行って二人は夫婦になる。」と言って、絶対、医者には手(てー)入れさせんで死んだわけ。 そういう事件があったわけなんですけどね。それから、約二ヵ月ですか後になって、女と男の両方の墓から遺念火といって、女の人が行ったり、また男の人が行ったりして、男と女の霊がね、非常に頻繁に向こうに行ったり来たりしたのが見えたわけよ。 私は、そういう話がありますけんどこの火は見たことないんです。 |
| 全体の記録時間数 | 5:12 |
| 物語の時間数 | 4:39 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |