昔、あの吉屋という子どもは七つのときに辻(ちーじ)に売られて、今の嘉手納の比謝橋(ひじゃばし)まで来た時の歌もありますよね。 恨む比謝橋や 誰(た)が架けてぃうちゃが〔恨みの比謝橋は誰がかけておいたのか〕 我(わ)ん渡さとぅうむてぃ 架けてぃうちゃさ〔私を渡そうとしてかけておいてるさ〕と歌詠むしね。 当時に、その吉屋というのはもうお客さんと付き合いやってたもんですが、その付き合いさせられたのが、今言うたらライ病ですよ。その人は船頭というたからな、吉屋は、国の船頭と思っているわけよ。本当はそれが血の悪いライ病のクンチャーなっているわけよ。「これは大変だな。今までうちは、こうこうして大きくなってきているのに、この人と会って自分は面目たたぬ。」と、そのままもう自分のこれからのことを心配して、「こんな汚い人と付き合いしたもんで、今からは誰(たれ)とも、付き合うことができないから、うちは何んの望みもない。」と諦めて、それからは、ご飯食べずに痩せかけてもうあとは亡くなられて、そうしてそれ土葬したらしいですね。 この吉屋を土葬したもんですから、その土葬した墓の上に煙草が一本生えていたらしいですね。そして、アンマーが毎日墓参りに来たら、それ前にしてから、死んだ吉屋が歌垣きしている。我身(わみ)が居(う)るえまや 我んすそしちゃれ 〔私が生きているうちは 私を粗末にしているのに〕 死にばわがうじょ 通(かゆ)てぃぬすが 〔死んで私のところへ通ってなんになるか〕 それで、墓の中から、吉屋が言うには、「あなたはね、こんな悪い連中と付き合いさせたから、うちは死んでいるがね、うちが死んだらね、これ生きていたらとうちの事思ってね、毎日通うんだが、それであったら、うちが言うとおりね、その葉っぱを持って行って乾かしてそれを吸いなさい。それを吸う間はね、うちのことは忘れるから。」って墓の中から言うから、吹き出したのが今の煙草らしいです。兄さんが吉屋チルーの骨を取って帰りですよ。北谷に来たら、何か行事があったらしいですよ。この行事を見るために、吉屋チルーの骨を籠に入れて松につるしてあったらしいですね。そのときも歌を詠みよったって、それで、「やっぱし吉屋というのは真(まこと)の名人で、死んでからも歌をやるなあ。」と昔の人は言った。
| レコード番号 | 47O380709 |
|---|---|
| CD番号 | 47O38C036 |
| 決定題名 | 吉屋チルー 煙草の由来(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 煙草の始まり |
| 話者名 | 伊礼孝進 |
| 話者名かな | いれいこうしん |
| 生年月日 | 19110627 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県島尻郡伊平屋村字田名 |
| 記録日 | 19800907 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 島尻郡伊平屋村田名 T01 B09 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話、 伝説、 歌 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 夕食時、及び祝いで皆が集まる時 おもに両親から聞いた |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 辻,嘉手納,比謝橋,歌,ライ病,船頭,クンチャー,土葬,墓,煙草,アンマー,墓参り,歌垣き,北谷,吉屋チルー,骨,籠 |
| 梗概(こうがい) | 昔、あの吉屋という子どもは七つのときに辻(ちーじ)に売られて、今の嘉手納の比謝橋(ひじゃばし)まで来た時の歌もありますよね。 恨む比謝橋や 誰(た)が架けてぃうちゃが〔恨みの比謝橋は誰がかけておいたのか〕 我(わ)ん渡さとぅうむてぃ 架けてぃうちゃさ〔私を渡そうとしてかけておいてるさ〕と歌詠むしね。 当時に、その吉屋というのはもうお客さんと付き合いやってたもんですが、その付き合いさせられたのが、今言うたらライ病ですよ。その人は船頭というたからな、吉屋は、国の船頭と思っているわけよ。本当はそれが血の悪いライ病のクンチャーなっているわけよ。「これは大変だな。今までうちは、こうこうして大きくなってきているのに、この人と会って自分は面目たたぬ。」と、そのままもう自分のこれからのことを心配して、「こんな汚い人と付き合いしたもんで、今からは誰(たれ)とも、付き合うことができないから、うちは何んの望みもない。」と諦めて、それからは、ご飯食べずに痩せかけてもうあとは亡くなられて、そうしてそれ土葬したらしいですね。 この吉屋を土葬したもんですから、その土葬した墓の上に煙草が一本生えていたらしいですね。そして、アンマーが毎日墓参りに来たら、それ前にしてから、死んだ吉屋が歌垣きしている。我身(わみ)が居(う)るえまや 我んすそしちゃれ 〔私が生きているうちは 私を粗末にしているのに〕 死にばわがうじょ 通(かゆ)てぃぬすが 〔死んで私のところへ通ってなんになるか〕 それで、墓の中から、吉屋が言うには、「あなたはね、こんな悪い連中と付き合いさせたから、うちは死んでいるがね、うちが死んだらね、これ生きていたらとうちの事思ってね、毎日通うんだが、それであったら、うちが言うとおりね、その葉っぱを持って行って乾かしてそれを吸いなさい。それを吸う間はね、うちのことは忘れるから。」って墓の中から言うから、吹き出したのが今の煙草らしいです。兄さんが吉屋チルーの骨を取って帰りですよ。北谷に来たら、何か行事があったらしいですよ。この行事を見るために、吉屋チルーの骨を籠に入れて松につるしてあったらしいですね。そのときも歌を詠みよったって、それで、「やっぱし吉屋というのは真(まこと)の名人で、死んでからも歌をやるなあ。」と昔の人は言った。 |
| 全体の記録時間数 | 3:41 |
| 物語の時間数 | 2:47 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |