仲順大主と孝行な三男(シマグチ)

概要

生まれ育って、親と同じくらい一人前になっている兄弟三名いたらしいですね。だけど、今もって子どもたちの心は全然わからないから、そのお父さんは、「もう年をとっているから、これは何んとかして自分の跡継ぎを決めなければいかん。どんなしたら、自分の子の心が分かるかなあ。」と、ふっと思って、ある日兄弟三名呼んだらしいですよ。子供の心を試そうと、お父さんは考えているわけさ。 兄弟三名座らせて、弟たちから先に言うことできないと思って、これは先ず兄貴からだと長男に聞いた。「おい、長男、こんなに私も年をとってしまった。私が世を見るのも、もうわずかだけど、世の中を見せてくれ。お前たちの産んだ子どもに食べさせるお乳を私に飲ませてくれたなら、私もまだ長生きするが、どんなものかなあ。」と言うと、「何、お父さん、頭がおかしくなってしまったのですか。あたら(可愛い)子どもが産まれたのにこれを殺してから、お父さんに乳あげることなんてできますかか、できません。」と、これはなにかというと嫁に頼っているから、嫁を呼んで聞いたら嫁も、「それはできない。」言ったら、そのお父さんは、「それじゃ、いい。」と。それで、また、「二男、お前は、どうか。」と、言うとさ、二男は、「ああ、私も兄さんが言う通りです。十ヶ月もかかって産まれた可愛い自分の子どもを子どもを殺してお父さんに、おっぱいやるって。これできない。」と断ったわけ。もうお父さんは、「これ全部駄目だなあ。これは三男を呼んで聞いてみよう。」と言って、三男を呼んで聞いたわけです。三男はどう返答したか、「それであったらありがたい、お父さん、私(うち)らも若いもんだから、子どもたちを産もうと思えば、今から十人も産むかもしれない。お父さんは、またと返して見ることはできないもんだから、お前はどうか。お前も思い切ってくれて子どもにやるお乳をお父さんにあげると、お父さんはもっと長生きできて、共々に生活できるだろう。」と言うと、妻も、「このぐらいなら私もいいよ。これは親の命を助けるためだからこれも上等。私も十ヶ月また持ってみせますよ。」と言った。 そうしてから、父親が、「ほら、どこどこの松の下に、必ずこの松の根本で土を掘り起こしなさい。松の下にね、三尺穴を掘って、そこに埋めなさい。別のところでは起こさないように、ここに行ってやりなさい。」と言うたもんだから、もう三男夫婦の二人は思い切って子どもを連れてそこへ行って、もう心は泣いて、「これはお父さんの命を助けることだから、もうお別れだ。」と言って、鋤(すき)を落として穴を掘っていたら、  一回(ちゅけん)打てば、なんじぇ(銀)  二回(たけーん)打てば 玉黄金(たまくがに)と仲順流れという歌にあるように、このお父さんは、「子供達がどのくらい親に対する真心があるか心だめしをするために、ここに埋めて置こう。」と宝を埋めて置いたので、一回、少し起こすと銀(なんざ)という宝物が出て、二回落としたら、また出て、三回落としたら黄金が出て、そんなだったので、「ああ、宝があるよ。お金が埋められてある。これは、ああ、神からであるんだからこの子どもを助けるために神様から授けたもんだから埋めてはいかない。これはありがたいもんだ。親の命を助けたために、神からのお授かりものあるので、この宝物持って行って、この宝があるだけ全部、おいしい物を買ってお父さんにあげよう。そしたら、子どもの命も助かるし、お父さんの命も助かるので、これにこしたことはない。」と、二人は、宝を持って子どもを埋めるはずであったが埋めずに家へ連れて帰ってきて、またお父さんのところに行って、「実はお父さん、こうこうして子どもを埋めようとしたが、黄金が出てきて、子どもも殺さずにしていますが、宝が出てきたので、子どもにあげるおっぱいより以上の栄養ある食べ物をお父さんにおあげするので、どうでしょうか。」
と二人が頼んだからさ、お父さんは、「ああ、これはお前たち兄弟三名の心をためそうとしたことだから、今からお前たちも安心して、そのお金で子どもを育てていきなさい。」ということになったそうだ。 そしたら、その話が兄貴にもれているわけ。この兄貴と二男坊と相談して、
「これは何とかして三男とお父さんを殺して、あの宝物を取ろう。」ということだったが、神からさせているので、これも殺すことができず、これも三男が行って親の命を助けたという伝説があります。

再生時間:4:55

民話詳細DATA

レコード番号 47O380706
CD番号 47O38C036
決定題名 仲順大主と孝行な三男(シマグチ)
話者がつけた題名 子供の肝
話者名 伊礼孝進
話者名かな いれいこうしん
生年月日 19110627
性別
出身地 沖縄県島尻郡伊平屋村字田名
記録日 19800907
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 島尻郡伊平屋村田名 T01 B06 
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情 夕食時、及び祝いで皆が集まる時 おもに両親から聞いた
文字化資料 伊平屋村民話集 P169
キーワード 兄弟,跡継ぎ,お乳,長生き,長男,二男,三男,松,穴,なんじぇ,玉黄金,仲順流れ,歌,宝,神
梗概(こうがい) 生まれ育って、親と同じくらい一人前になっている兄弟三名いたらしいですね。だけど、今もって子どもたちの心は全然わからないから、そのお父さんは、「もう年をとっているから、これは何んとかして自分の跡継ぎを決めなければいかん。どんなしたら、自分の子の心が分かるかなあ。」と、ふっと思って、ある日兄弟三名呼んだらしいですよ。子供の心を試そうと、お父さんは考えているわけさ。 兄弟三名座らせて、弟たちから先に言うことできないと思って、これは先ず兄貴からだと長男に聞いた。「おい、長男、こんなに私も年をとってしまった。私が世を見るのも、もうわずかだけど、世の中を見せてくれ。お前たちの産んだ子どもに食べさせるお乳を私に飲ませてくれたなら、私もまだ長生きするが、どんなものかなあ。」と言うと、「何、お父さん、頭がおかしくなってしまったのですか。あたら(可愛い)子どもが産まれたのにこれを殺してから、お父さんに乳あげることなんてできますかか、できません。」と、これはなにかというと嫁に頼っているから、嫁を呼んで聞いたら嫁も、「それはできない。」言ったら、そのお父さんは、「それじゃ、いい。」と。それで、また、「二男、お前は、どうか。」と、言うとさ、二男は、「ああ、私も兄さんが言う通りです。十ヶ月もかかって産まれた可愛い自分の子どもを子どもを殺してお父さんに、おっぱいやるって。これできない。」と断ったわけ。もうお父さんは、「これ全部駄目だなあ。これは三男を呼んで聞いてみよう。」と言って、三男を呼んで聞いたわけです。三男はどう返答したか、「それであったらありがたい、お父さん、私(うち)らも若いもんだから、子どもたちを産もうと思えば、今から十人も産むかもしれない。お父さんは、またと返して見ることはできないもんだから、お前はどうか。お前も思い切ってくれて子どもにやるお乳をお父さんにあげると、お父さんはもっと長生きできて、共々に生活できるだろう。」と言うと、妻も、「このぐらいなら私もいいよ。これは親の命を助けるためだからこれも上等。私も十ヶ月また持ってみせますよ。」と言った。 そうしてから、父親が、「ほら、どこどこの松の下に、必ずこの松の根本で土を掘り起こしなさい。松の下にね、三尺穴を掘って、そこに埋めなさい。別のところでは起こさないように、ここに行ってやりなさい。」と言うたもんだから、もう三男夫婦の二人は思い切って子どもを連れてそこへ行って、もう心は泣いて、「これはお父さんの命を助けることだから、もうお別れだ。」と言って、鋤(すき)を落として穴を掘っていたら、  一回(ちゅけん)打てば、なんじぇ(銀)  二回(たけーん)打てば 玉黄金(たまくがに)と仲順流れという歌にあるように、このお父さんは、「子供達がどのくらい親に対する真心があるか心だめしをするために、ここに埋めて置こう。」と宝を埋めて置いたので、一回、少し起こすと銀(なんざ)という宝物が出て、二回落としたら、また出て、三回落としたら黄金が出て、そんなだったので、「ああ、宝があるよ。お金が埋められてある。これは、ああ、神からであるんだからこの子どもを助けるために神様から授けたもんだから埋めてはいかない。これはありがたいもんだ。親の命を助けたために、神からのお授かりものあるので、この宝物持って行って、この宝があるだけ全部、おいしい物を買ってお父さんにあげよう。そしたら、子どもの命も助かるし、お父さんの命も助かるので、これにこしたことはない。」と、二人は、宝を持って子どもを埋めるはずであったが埋めずに家へ連れて帰ってきて、またお父さんのところに行って、「実はお父さん、こうこうして子どもを埋めようとしたが、黄金が出てきて、子どもも殺さずにしていますが、宝が出てきたので、子どもにあげるおっぱいより以上の栄養ある食べ物をお父さんにおあげするので、どうでしょうか。」 と二人が頼んだからさ、お父さんは、「ああ、これはお前たち兄弟三名の心をためそうとしたことだから、今からお前たちも安心して、そのお金で子どもを育てていきなさい。」ということになったそうだ。 そしたら、その話が兄貴にもれているわけ。この兄貴と二男坊と相談して、 「これは何とかして三男とお父さんを殺して、あの宝物を取ろう。」ということだったが、神からさせているので、これも殺すことができず、これも三男が行って親の命を助けたという伝説があります。
全体の記録時間数 5:07
物語の時間数 4:55
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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