これはなんですね、今の世界の塩の源(もと)は、御伽話にもなりますけれど、これは、昔あるところに長男と次男の爺さんがいて、長男の爺さんはお金持ちであった。そして、次男の爺さんは貧乏者で何ももってないと。だから、しょっちゅうもうお正月とか、ああいうときになると、長男の爺さんところに、お米もらいに行って来るとか、いろんな物をもらいに行って生活をしてくるとか。 あるお正月来たときには、今度旅の人が今言う次男の家に来てですな、そして、「今晩は、旅の者ですが、一晩泊めてくれんですか。」と言うたらしい。そしたら、爺さんは何もないもんだから、「じゃあ、自分の家は何もないんですが泊めることはできません。」と言うことたらしい。「いや、足りなくてもいいんですから、ただ泊まりさえすればいい。」ということで、「じゃあ、だったらもう泊まりなさい。」と言うことで、旅の人は泊まって、何もないもんですから、囲炉に火を焚いてですな、そんで、一晩お正月を過ごす。それが火正月(ひーしょうがつ)したという起こりじゃなかろうかと、火正月というのは、それが説になっておる。だから、この火正月をして、明くる朝になってですね、旅人が臼をもって来たらしい。旅の人が曰くは、「今度一晩泊めたその恩として、この臼をあんたにあげるから、この臼がね、お金を出れ、出れと言って、右に回した場合にはお金でも何んでも沢山出る。御馳走も出るし、また今度止めようと思った場合にはお金を止まれ、止めと言って、今度左に回すだけ。そしたら、それ止まってしまう。だから、お土産として、これあげるから。」と言うて、その次男の爺さん、それをもらったから、そのあくる日から、今度は食べ物、何も心配なく贅沢に暮らせるうようになったから、何か御馳走を炊いて作ってですね、隣近所の人を招待してですね、お祝いしたらしい。
今度は長男の爺さんがあんまり不思議がってですね、「これは、珍しい。」と言うて、 そのお祝いした後ですね、みんなが帰って後、この長男の爺さんは、これは不思議だと思って、夜の夜中にですね、障子に穴あけて何をしているか、その様子を見てるわけ。やっぱ、次男の爺さんはその臼を回しているらしい。「これは、いい物を見つけた。」と言うてですね、今度は、次男の爺さんが寝た頃、この長男の爺さん、そうと入って行って、この臼を盗んで、「こっちにおったら大変だ。」と言うてですね、今度は舟に乗せてですね、乗せて、「この部落、この島から逃げて行かなければ。」と舟に乗せてですよ、この臼を乗せて別の島に逃げて行くんですよ。その途中で、その臼を回して、「塩出れ、出れ。」と回しているんだ。だが、それがどんどん出るんでしょう。まあ舟いっぱいして、止めることができない。この臼が廻るのを止めることができなくて、塩が一杯になって舟はどんどん沈んで、その爺さんも亡くなった。 その臼も、まだ海の中でその臼が回っているということになっている。今海に塩があるのはその関係だと。おわり。
| レコード番号 | 47O380703 |
|---|---|
| CD番号 | 47O38C035 |
| 決定題名 | 塩吹臼(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 与那覇守助 |
| 話者名かな | よなはしゅすけ |
| 生年月日 | 19100501 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県島尻郡伊平屋村字田名 |
| 記録日 | 19800907 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 島尻郡伊平屋村田名 T01 B03 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 伊平屋村民話集 P158 |
| キーワード | 塩,長男,次男,爺さん,お金持ち,貧乏者,正月,旅人,囲炉裏,火正月,臼,舟 |
| 梗概(こうがい) | これはなんですね、今の世界の塩の源(もと)は、御伽話にもなりますけれど、これは、昔あるところに長男と次男の爺さんがいて、長男の爺さんはお金持ちであった。そして、次男の爺さんは貧乏者で何ももってないと。だから、しょっちゅうもうお正月とか、ああいうときになると、長男の爺さんところに、お米もらいに行って来るとか、いろんな物をもらいに行って生活をしてくるとか。 あるお正月来たときには、今度旅の人が今言う次男の家に来てですな、そして、「今晩は、旅の者ですが、一晩泊めてくれんですか。」と言うたらしい。そしたら、爺さんは何もないもんだから、「じゃあ、自分の家は何もないんですが泊めることはできません。」と言うことたらしい。「いや、足りなくてもいいんですから、ただ泊まりさえすればいい。」ということで、「じゃあ、だったらもう泊まりなさい。」と言うことで、旅の人は泊まって、何もないもんですから、囲炉に火を焚いてですな、そんで、一晩お正月を過ごす。それが火正月(ひーしょうがつ)したという起こりじゃなかろうかと、火正月というのは、それが説になっておる。だから、この火正月をして、明くる朝になってですね、旅人が臼をもって来たらしい。旅の人が曰くは、「今度一晩泊めたその恩として、この臼をあんたにあげるから、この臼がね、お金を出れ、出れと言って、右に回した場合にはお金でも何んでも沢山出る。御馳走も出るし、また今度止めようと思った場合にはお金を止まれ、止めと言って、今度左に回すだけ。そしたら、それ止まってしまう。だから、お土産として、これあげるから。」と言うて、その次男の爺さん、それをもらったから、そのあくる日から、今度は食べ物、何も心配なく贅沢に暮らせるうようになったから、何か御馳走を炊いて作ってですね、隣近所の人を招待してですね、お祝いしたらしい。 今度は長男の爺さんがあんまり不思議がってですね、「これは、珍しい。」と言うて、 そのお祝いした後ですね、みんなが帰って後、この長男の爺さんは、これは不思議だと思って、夜の夜中にですね、障子に穴あけて何をしているか、その様子を見てるわけ。やっぱ、次男の爺さんはその臼を回しているらしい。「これは、いい物を見つけた。」と言うてですね、今度は、次男の爺さんが寝た頃、この長男の爺さん、そうと入って行って、この臼を盗んで、「こっちにおったら大変だ。」と言うてですね、今度は舟に乗せてですね、乗せて、「この部落、この島から逃げて行かなければ。」と舟に乗せてですよ、この臼を乗せて別の島に逃げて行くんですよ。その途中で、その臼を回して、「塩出れ、出れ。」と回しているんだ。だが、それがどんどん出るんでしょう。まあ舟いっぱいして、止めることができない。この臼が廻るのを止めることができなくて、塩が一杯になって舟はどんどん沈んで、その爺さんも亡くなった。 その臼も、まだ海の中でその臼が回っているということになっている。今海に塩があるのはその関係だと。おわり。 |
| 全体の記録時間数 | 4:43 |
| 物語の時間数 | 4:27 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |