昔ね、薩摩からね、人が来てね、沖縄に来て、もう、糸満の人とね、とっても仲のいい友だちになったらしいんだよ。友だちになったもんだから、「お金を……、(薩摩に)帰るから、お金を返せ。」と、薩摩の人が言ったら、「返すことできないから、もう一回来るときに必ず返してあげるから、それまで待ってくれ。」と、糸満の人は言ったらしいんだよ。「いいや、それまで待てない。」と言って、剣で決闘したらしいんだよなあ。それで、糸満の金を借りとる人が、「意地(いじ)ぬ出(いじ)らー手(て)ぃ引(ひ)き、手ぃぬ出(いじ)らー意地引き。」と言って、その格言を教えたらしいんだよ。「怒りが出たらね、手を引いて、意地ぬ出(いじ)らー手ぃ引きだね。また、手が出たら意地を引け。」と言ったから、その薩摩から来ている武士は、金を貸した人は、「じゃあ、そうであったならね、もう一回来るときまでに、必ず金をこしらえておきなさい。」と言って、薩摩へその武士は帰ったらしいんだよ。いわゆる薩摩から来ている人は。それで、薩摩から来ている人は、妻もいたらしいんだよ。また、お父さんはいなかったんだが、お母さんはいたらしいよ。それで薩摩に帰って、夜帰ったらしいんだよ。帰ったら、その、女同志だから心配で、悪い物が家に入るかといって心配して、妻は男の姿(すがい)をして寝て、お母さんと二人並んで寝ておったらしいんだよ。そして、武士は夜帰ったもんだから、二人はどうしているかと思って見たらしいんだよ。見たら、妻は男のなり(格好)をして寝て、また母は女のなりをして、二人いっしょに寝ておったもんだから、これはもう、男をつくっていると思って、薩摩の武士は、金貸しは、怒ってね、剣で切ろうとしたらしいんだよ。したら、この糸満(いちまん)の人がね、「意地ぬ出(いじ)らー手ぃ引き、手ぃぬ出らー意地引き。」という言葉を胸にしておったもんだから、それで、切りはしないで、起こしてみたら、自分の妻とお母さんとであった。それで、「ハハアー、もう、糸満の人がこのことを教えてくれなければ、妻を殺していたに違いない。」と思った。それから、もう、間もなくして、沖縄にまた来て、糸満の人に会いに行ったさ。行ったら、その糸満の人は、金もちゃんと準備して、「取りなさい。」と言ったらしいんだよ。「いいや、取ることはできない。君がそのことを教えてくれたので、妻を殺さなくてすんだんだから、この金は、あなたにあげるので、あなたがもらいなさい。」「いいえ、それは、いったん借りたものは、返さなければならない。」と言って、二人は、「返す。」「取らない。」と言いあって、長いこともめたらしいんだよ。それで、「じゃあ、そうであったら、この金は、妻を殺さなかったお礼としてあげようと思ったけど、君が取らなければ、ここに祀ろう。」と言って、白銀堂にそのお金を祀ったから、今でも、この白銀堂は、白銀堂といって、それで、そのお金を祀ったもんだから、二人で白銀堂という名前をつけて、みんなが拝むようになったってよ。
| レコード番号 | 47O382970 |
|---|---|
| CD番号 | 47O38C153 |
| 決定題名 | 白銀堂由来(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 話千両 |
| 話者名 | 末吉亀吉 |
| 話者名かな | すえよしかめきち |
| 生年月日 | 19081103 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県島尻郡伊是名村字伊是名 |
| 記録日 | 19810403 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 島尻郡伊是名村 T14 A07 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話、 ことわざ |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | いぜな島の民話 P186 |
| キーワード | 薩摩,沖縄,糸満,剣,意地,格言,怒り,武士,金貸し,言葉,白銀堂 |
| 梗概(こうがい) | 昔ね、薩摩からね、人が来てね、沖縄に来て、もう、糸満の人とね、とっても仲のいい友だちになったらしいんだよ。友だちになったもんだから、「お金を……、(薩摩に)帰るから、お金を返せ。」と、薩摩の人が言ったら、「返すことできないから、もう一回来るときに必ず返してあげるから、それまで待ってくれ。」と、糸満の人は言ったらしいんだよ。「いいや、それまで待てない。」と言って、剣で決闘したらしいんだよなあ。それで、糸満の金を借りとる人が、「意地(いじ)ぬ出(いじ)らー手(て)ぃ引(ひ)き、手ぃぬ出(いじ)らー意地引き。」と言って、その格言を教えたらしいんだよ。「怒りが出たらね、手を引いて、意地ぬ出(いじ)らー手ぃ引きだね。また、手が出たら意地を引け。」と言ったから、その薩摩から来ている武士は、金を貸した人は、「じゃあ、そうであったならね、もう一回来るときまでに、必ず金をこしらえておきなさい。」と言って、薩摩へその武士は帰ったらしいんだよ。いわゆる薩摩から来ている人は。それで、薩摩から来ている人は、妻もいたらしいんだよ。また、お父さんはいなかったんだが、お母さんはいたらしいよ。それで薩摩に帰って、夜帰ったらしいんだよ。帰ったら、その、女同志だから心配で、悪い物が家に入るかといって心配して、妻は男の姿(すがい)をして寝て、お母さんと二人並んで寝ておったらしいんだよ。そして、武士は夜帰ったもんだから、二人はどうしているかと思って見たらしいんだよ。見たら、妻は男のなり(格好)をして寝て、また母は女のなりをして、二人いっしょに寝ておったもんだから、これはもう、男をつくっていると思って、薩摩の武士は、金貸しは、怒ってね、剣で切ろうとしたらしいんだよ。したら、この糸満(いちまん)の人がね、「意地ぬ出(いじ)らー手ぃ引き、手ぃぬ出らー意地引き。」という言葉を胸にしておったもんだから、それで、切りはしないで、起こしてみたら、自分の妻とお母さんとであった。それで、「ハハアー、もう、糸満の人がこのことを教えてくれなければ、妻を殺していたに違いない。」と思った。それから、もう、間もなくして、沖縄にまた来て、糸満の人に会いに行ったさ。行ったら、その糸満の人は、金もちゃんと準備して、「取りなさい。」と言ったらしいんだよ。「いいや、取ることはできない。君がそのことを教えてくれたので、妻を殺さなくてすんだんだから、この金は、あなたにあげるので、あなたがもらいなさい。」「いいえ、それは、いったん借りたものは、返さなければならない。」と言って、二人は、「返す。」「取らない。」と言いあって、長いこともめたらしいんだよ。それで、「じゃあ、そうであったら、この金は、妻を殺さなかったお礼としてあげようと思ったけど、君が取らなければ、ここに祀ろう。」と言って、白銀堂にそのお金を祀ったから、今でも、この白銀堂は、白銀堂といって、それで、そのお金を祀ったもんだから、二人で白銀堂という名前をつけて、みんなが拝むようになったってよ。 |
| 全体の記録時間数 | 5:18 |
| 物語の時間数 | 5:00 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |