あの人はですね、とても利口もので、怠け者であったらしいんだよ。それでね、許婚者(いいなずけ)もいたらしい。昔、首里城の井戸のそばで、「ションベンするものは、罰金いくら。」と立て札が立ててあったそうだ。それで、モーイ親方は、わざとその立て札のところへションベンしたらしいんだ。それで、この役人につかまえられて、「君は、ここでションベンをしたから、罰金を出せ。」と言ったもんだから、このモーイ親方は、「罰金なら出す。こんな罰金を出したら、罰金を納めれば、ここにションベンしてもいいんだろう。」と言ったらしいんだよ。それで、罰金納め出したら、ションベンしてもいいと、そうなったもんだから、「罰金を出してションベンしたらいいと言うけど、ここにションベンをさせないためだったら、打ち首にすると言ったら、ここには、誰もションベンはしない。罰金と書いたら、お金がある人はションベンする。」と、そう言ったらしいんだよ。「そうか。」と言って、その役人は、とても感心したらしいんだよ。それでね、モーイ親方の親父は、首里城の上役であったらしい。それでね、薩摩からね、御用がきたらしいんだよ。御用といったら、「沖縄の一番大きな山を持って来い。」と。また、「灰縄(ふぇーじな)持って来い。」と。もう一つは何であったかな。それで、親父がむこうへ、薩摩に行くことになって、これは、難問題であるからといって、「どうして親父、(何を)そんなに心配しているか。」と言ったら、「薩摩からこういう……。沖縄(うちなー)の於茂登岳(おもとだけ)持って来い。また、灰縄(ふぇじな)ぬって持って来いと。それで、心配している。」って、言ったもんだから、もう一つ何であったか忘れてわからないが、「まあ、そんなことなら心配ない。ぼくが代理で行って来る。」と言って、モーイ親方は(薩摩へ)行ったらしいんだ。行ったらね、むこう行って、「お前、ここから注文したのは持って来たのか。」と言ったら、「はい、持って来た。」と言って、「じゃあ。沖縄(うちなー)の於茂登岳(うもとだき)といったかな、それを持って来いと言われたが、そうであったら、それを乗せる船が沖縄(うちなー)にはないからここで船をこしらえて、こしらえで持って来なさい。乗せて持たすから。」と言った。それで、むこうは、もうそんな山乗せる船はないだろう。それで、ガッカリしてもう、黙ったらしいんだ。また、「灰縄(ふぇじな)は、お前、持って来たのか。」と言ったら、「ああ、灰縄は持って来た。」と言って、自分で縄をぬってね、火(ひー)つけて燃やしてね、動かさないように、そのままあれしたんだ。したら、ちゃんと縄ぬった、灰縄になっているんだよ。それで、薩摩はもう、負けてガッカリして。その役目は、大役であったんだけども、モーイ親方がすまして来たらしい。
| レコード番号 | 47O382968 |
|---|---|
| CD番号 | 47O38C153 |
| 決定題名 | モーイ親方 殿様の難題(共通語) |
| 話者がつけた題名 | モーイ親方の小便と罰金 |
| 話者名 | 末吉亀吉 |
| 話者名かな | すえよしかめきち |
| 生年月日 | 19081103 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県島尻郡伊是名村字伊是名 |
| 記録日 | 19810403 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 島尻郡伊是名村 T14 A05 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 笑話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | いぜな島の民話 P148 |
| キーワード | 怠け者,許婚者,首里城,井戸,罰金,立て札,モーイ親方,ションベン,打ち首,薩摩,沖縄,灰縄,難問題,於茂登岳,船 |
| 梗概(こうがい) | あの人はですね、とても利口もので、怠け者であったらしいんだよ。それでね、許婚者(いいなずけ)もいたらしい。昔、首里城の井戸のそばで、「ションベンするものは、罰金いくら。」と立て札が立ててあったそうだ。それで、モーイ親方は、わざとその立て札のところへションベンしたらしいんだ。それで、この役人につかまえられて、「君は、ここでションベンをしたから、罰金を出せ。」と言ったもんだから、このモーイ親方は、「罰金なら出す。こんな罰金を出したら、罰金を納めれば、ここにションベンしてもいいんだろう。」と言ったらしいんだよ。それで、罰金納め出したら、ションベンしてもいいと、そうなったもんだから、「罰金を出してションベンしたらいいと言うけど、ここにションベンをさせないためだったら、打ち首にすると言ったら、ここには、誰もションベンはしない。罰金と書いたら、お金がある人はションベンする。」と、そう言ったらしいんだよ。「そうか。」と言って、その役人は、とても感心したらしいんだよ。それでね、モーイ親方の親父は、首里城の上役であったらしい。それでね、薩摩からね、御用がきたらしいんだよ。御用といったら、「沖縄の一番大きな山を持って来い。」と。また、「灰縄(ふぇーじな)持って来い。」と。もう一つは何であったかな。それで、親父がむこうへ、薩摩に行くことになって、これは、難問題であるからといって、「どうして親父、(何を)そんなに心配しているか。」と言ったら、「薩摩からこういう……。沖縄(うちなー)の於茂登岳(おもとだけ)持って来い。また、灰縄(ふぇじな)ぬって持って来いと。それで、心配している。」って、言ったもんだから、もう一つ何であったか忘れてわからないが、「まあ、そんなことなら心配ない。ぼくが代理で行って来る。」と言って、モーイ親方は(薩摩へ)行ったらしいんだ。行ったらね、むこう行って、「お前、ここから注文したのは持って来たのか。」と言ったら、「はい、持って来た。」と言って、「じゃあ。沖縄(うちなー)の於茂登岳(うもとだき)といったかな、それを持って来いと言われたが、そうであったら、それを乗せる船が沖縄(うちなー)にはないからここで船をこしらえて、こしらえで持って来なさい。乗せて持たすから。」と言った。それで、むこうは、もうそんな山乗せる船はないだろう。それで、ガッカリしてもう、黙ったらしいんだ。また、「灰縄(ふぇじな)は、お前、持って来たのか。」と言ったら、「ああ、灰縄は持って来た。」と言って、自分で縄をぬってね、火(ひー)つけて燃やしてね、動かさないように、そのままあれしたんだ。したら、ちゃんと縄ぬった、灰縄になっているんだよ。それで、薩摩はもう、負けてガッカリして。その役目は、大役であったんだけども、モーイ親方がすまして来たらしい。 |
| 全体の記録時間数 | 6:12 |
| 物語の時間数 | 5:19 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |