昔の、三月三日の話なんだが、これはほんとのことなのか、うそなのか、はっきりしたことは、わからないけど。昔、美しい女が機織りをしているところへ、布を織っているところヘ、(アカマタが)、首里の若侍に化けてきて、「私の妻になってくれ。」と、もう通って来たようだが、この男が何回も何回も、通ってくるうちに、二人はもう恋仲になって、この男にこの女はだまされるようになった。二人はもういっしょになるようになったが、ある日のこと、この女が、あまりにも、もう、「この男は、どこの人だろうか。家はどこかなあ。」と、聞きたくて、「家の名は何と言うの。家は……。ねっ。生まれはどこなの。」と、聞くと、「私の家は、首里だよ。」と言うばかりで、家の名も教えない。それで、「不思議だな。」と思って、「まず何がなんでも、男の後を追って行って、どこに行くのか見てみよう。」と思って、追って行ったときに、山の中に入り、山の中の穴の中に入って行く姿を見たけれど、後はもう姿は見えなくなったので、「これは、不思議なことだなあ。」と思っていると、またこのガマ(洞窟)の中で、する話はもう自慢話。「私は、人間に私の子をはらませた。」と、いう話だったって。それを、この女は聞いていた。そして、また相手の男は、ガマの中で、人からアカマタになった。このアカマタ同士の話は、「私は、人間に子をはらませたよ。」と、アカマタの仲間に自慢すると、「それはお前、ほんとか。」と聞くと、「ほんとだよ。私は、ほんとの話をしている。うそは言わない。」と言った。もうこのガマで話をしていたようだが、これを聞いた女は、もう聞いているうちにたまげて、よくよく後まで、このアカマタたちがする話を聞こうとしていると、また、相手のアカマタが、「お前が、はらませたという子は、お前……。この浜のね、波打ちぎわに降りて行って、浜の波打ちぎわの砂を踏んだら、お前の子は、みんな、だめになるんだのに、お前が、それを自慢することができるか。」と言ったみたい。そしたら、この女は、それを聞いて、「ああ、もう今やらないといけない。」と思って、すぐもうその足ですぐ浜に行ってね、そのアカマタたちが言っていた話のように、すぐ波打ちぎわに行って、あの波打ちぎわの砂を砂を踏んでみたら、言ったとおり、やったとおり、すぐアカマタの子が、サラサラサラと、すぐ流産していくつか下りてきた。それで、もう、「私は、もう命が助かった。」と、思って、「あんなにきれいな男が、世の中にいるのかと思っていたのにまさか、あのアカマタが、人間に化けて来て、こんなに私を化かしたとは、ちょっとの間も気づかなかったのだが、ほんとに、こんなこともあったのだなあ。」と。それからもうね、この女がやったように、きれいな男が、あのように来た場合はね、よく女はね、気をつけて相手しないといけないと。それからもうこの女は、子をアカマタとの子をおろしたので、「自分の命は、もうこれでやっと助かったなあ。」と。ちょうど、この女が波打ちぎわを踏んだとき、この流産した日が旧の三月の三日だったので、その後、三月三日、旧の三月三日には、女に産まれた人は、その節句をするようになって、それから、この三月三日には、必ず、女は、年寄りも子どもも、みんな、海に行って、この浜の波打ちぎわを踏んで、潮をなめて来ないといけないとの伝説ということだが。それがほんとなのか、何なのかは、わからないけれど、今の今まで、聞いてきた話では、こうだったよ。わかるだけ。これだけ。
| レコード番号 | 47O382941 |
|---|---|
| CD番号 | 47O38C151 |
| 決定題名 | 蛇婿入り(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 恩納ハツ |
| 話者名かな | おんなはつ |
| 生年月日 | 19251017 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県島尻郡伊是名村字仲田 |
| 記録日 | 19810402 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 島尻郡伊是名村 T13 A01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | いぜな島の民話 P16 |
| キーワード | 三月三日,機織り,アカマタ,首里,若侍,恋仲,ガマ,自慢話,浜,流産,節句 |
| 梗概(こうがい) | 昔の、三月三日の話なんだが、これはほんとのことなのか、うそなのか、はっきりしたことは、わからないけど。昔、美しい女が機織りをしているところへ、布を織っているところヘ、(アカマタが)、首里の若侍に化けてきて、「私の妻になってくれ。」と、もう通って来たようだが、この男が何回も何回も、通ってくるうちに、二人はもう恋仲になって、この男にこの女はだまされるようになった。二人はもういっしょになるようになったが、ある日のこと、この女が、あまりにも、もう、「この男は、どこの人だろうか。家はどこかなあ。」と、聞きたくて、「家の名は何と言うの。家は……。ねっ。生まれはどこなの。」と、聞くと、「私の家は、首里だよ。」と言うばかりで、家の名も教えない。それで、「不思議だな。」と思って、「まず何がなんでも、男の後を追って行って、どこに行くのか見てみよう。」と思って、追って行ったときに、山の中に入り、山の中の穴の中に入って行く姿を見たけれど、後はもう姿は見えなくなったので、「これは、不思議なことだなあ。」と思っていると、またこのガマ(洞窟)の中で、する話はもう自慢話。「私は、人間に私の子をはらませた。」と、いう話だったって。それを、この女は聞いていた。そして、また相手の男は、ガマの中で、人からアカマタになった。このアカマタ同士の話は、「私は、人間に子をはらませたよ。」と、アカマタの仲間に自慢すると、「それはお前、ほんとか。」と聞くと、「ほんとだよ。私は、ほんとの話をしている。うそは言わない。」と言った。もうこのガマで話をしていたようだが、これを聞いた女は、もう聞いているうちにたまげて、よくよく後まで、このアカマタたちがする話を聞こうとしていると、また、相手のアカマタが、「お前が、はらませたという子は、お前……。この浜のね、波打ちぎわに降りて行って、浜の波打ちぎわの砂を踏んだら、お前の子は、みんな、だめになるんだのに、お前が、それを自慢することができるか。」と言ったみたい。そしたら、この女は、それを聞いて、「ああ、もう今やらないといけない。」と思って、すぐもうその足ですぐ浜に行ってね、そのアカマタたちが言っていた話のように、すぐ波打ちぎわに行って、あの波打ちぎわの砂を砂を踏んでみたら、言ったとおり、やったとおり、すぐアカマタの子が、サラサラサラと、すぐ流産していくつか下りてきた。それで、もう、「私は、もう命が助かった。」と、思って、「あんなにきれいな男が、世の中にいるのかと思っていたのにまさか、あのアカマタが、人間に化けて来て、こんなに私を化かしたとは、ちょっとの間も気づかなかったのだが、ほんとに、こんなこともあったのだなあ。」と。それからもうね、この女がやったように、きれいな男が、あのように来た場合はね、よく女はね、気をつけて相手しないといけないと。それからもうこの女は、子をアカマタとの子をおろしたので、「自分の命は、もうこれでやっと助かったなあ。」と。ちょうど、この女が波打ちぎわを踏んだとき、この流産した日が旧の三月の三日だったので、その後、三月三日、旧の三月三日には、女に産まれた人は、その節句をするようになって、それから、この三月三日には、必ず、女は、年寄りも子どもも、みんな、海に行って、この浜の波打ちぎわを踏んで、潮をなめて来ないといけないとの伝説ということだが。それがほんとなのか、何なのかは、わからないけれど、今の今まで、聞いてきた話では、こうだったよ。わかるだけ。これだけ。 |
| 全体の記録時間数 | 5:46 |
| 物語の時間数 | 4:48 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |