かみざとぶしゆらい
昔、神里という人は農業で生活していたが働き者だった。粟国の上の方に畑があって、その畑に黍を実らせていた。穂が大きく実った頃、風が強くなったので台風で実が落ちるのではないかと心配して、鎌ともっこを持って出掛けた。実はまだ熟していないが、風は強く波は山のように高くなっているので、二つ、三つ刈っていると天から神様が降りてきて、「どうしてこんなに青い黍を刈るのか」ときいた。「台風が来て実が落ちたら大変だと思い、刈っているのです」と答えると、神様が「今年は台風は来ないから安心して帰りなさい」と言う。この人は真栄原にも畑があるが、そこに大きな石があって、自分では動かせないのを、神様に動かしてもらった。この人が「二度と神様に会えないであろうから、会えた証拠をください」と言うと、神様が「それなら渡すがこの話は親、兄弟、友達にも言ってはいけない」と言い、その人は手印をもらって帰って行った。途中、友達に会い、「どうして刈って来なかったか」ときかれ、こうこういうわけで、と言った途端、あたりが暗くなり、やっとの思いで家にたどり着いた。帰ってみると、神の手印は消えていた。
クリックすると動画が再生されます。 ※再生パターンは4種類です。
研究および教育普及目的以外での無断使用は固く禁じます。
コンテンツの複製、利用については、博物館に必ず許可を得てください。
レコード番号 | 47O230443 |
---|---|
CD番号 | 47O23C023 |
決定題名 | 神里節由来(方言) |
話者がつけた題名 | - |
話者名 | 豊村幸徳 |
話者名かな | とよむらこうとく |
生年月日 | 19060805 |
性別 | 男 |
出身地 | 沖縄県粟国村字東 |
記録日 | 19770325 |
記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
元テープ番号 | 粟国T16B03 |
元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
分類 | 伝説 |
発句(ほっく) | - |
伝承事情 | - |
文字化資料 | 粟国島の民話P351 |
キーワード | 神里,神様,黍,暴風,手印 |
梗概(こうがい) | 昔、神里という人は農業で生活していたが働き者だった。粟国の上の方に畑があって、その畑に黍を実らせていた。穂が大きく実った頃、風が強くなったので台風で実が落ちるのではないかと心配して、鎌ともっこを持って出掛けた。実はまだ熟していないが、風は強く波は山のように高くなっているので、二つ、三つ刈っていると天から神様が降りてきて、「どうしてこんなに青い黍を刈るのか」ときいた。「台風が来て実が落ちたら大変だと思い、刈っているのです」と答えると、神様が「今年は台風は来ないから安心して帰りなさい」と言う。この人は真栄原にも畑があるが、そこに大きな石があって、自分では動かせないのを、神様に動かしてもらった。この人が「二度と神様に会えないであろうから、会えた証拠をください」と言うと、神様が「それなら渡すがこの話は親、兄弟、友達にも言ってはいけない」と言い、その人は手印をもらって帰って行った。途中、友達に会い、「どうして刈って来なかったか」ときかれ、こうこういうわけで、と言った途端、あたりが暗くなり、やっとの思いで家にたどり着いた。帰ってみると、神の手印は消えていた。 |
全体の記録時間数 | 7:13 |
物語の時間数 | 6:55 |
言語識別 | 方言 |
音源の質 | ○ |
テープ番号 | - |
予備項目1 | - |