昔、あるところの金持ちの家に娘がいた。父親は金持ちだと威張っていた。娘が、「金持ち、貧乏は天にある。坂の上り下りと同じだ。貧乏人をバカにしないで」と言うと父親は怒って、「お前はそんなに貧乏人が好きか。それならお前は貧乏人と一緒にさせてやる」と言って、使用人たちを使い、村中から一番の貧乏人を探させる。使用人たちは探し回って「いた」と言う。主人が、「どのような暮らしをしているか」と聞くと、「鍋釜も食器もあった」と答える。「もっと貧乏人を探しなさい」と言われて探すと、海岸近くのガマ(洞窟)に住み、魚を取って生活している若者がいた。家に帰って主人に、「鍋はなく、貝殻に煮炊きしている人がいる」と言うと、「それは上等だ」と言って、その若者に娘を押し付ける。娘が「私は家から追い出されたので妻にしてくれ」と頼むと、若者は自分ひとりの生活さえ大変なのに妻にすることはできないと断わるが、娘がどうしてもと頼むので、しまいには夫婦になる。暮らしているうちにますます生活が苦しくなったので、夫を実家に使うと母親がお金を恵んでくれる。ところが帰ってくる途中、田んぼの中に白鷺がいたので、母親からもらった銭をその白鷺に投げ付けた。家に帰ると妻が「お母さんは何かくれなかったか」と聞くので、「あんたのお母さんは私に重い石だけをくれた。田んぼに白鷺がいたので、殺そうと思ってそれを投げてやった」と言う。妻が「それはお金だよ」と言うと、夫は「そんなものなら海にはいくらでもある」と言う。それでは取りに行こうと言って取りに行き、取ろうとすると神様が現れて、「それは龍宮のものだから取るな」と言って追い返される。妻は妊娠していた。何か月経って子供が生まれた。「今なら取れるかも知れないから取ってきてください」と妻が言うと、夫は取りに行く。今回は無事に取れた。宝物をガマの中に運んだ。すると妻が夫に「ぼろの服を着て、このお金を持って家を買いに行きなさい」と言う。それで夫は汚い服装で、「家を買いましょう」と歩き回る。村中を回っているとある立派な家で、「私の家を買いなさい」と申し出る人がいた。夫の身なりが余りにみすぼらしいので、その家の主は安い値で売る約束をして、契約書に印を押した。それで夫は契約書を持って家へ帰ると、妻が今度は「きれいな羽織、袴を買ってきなさい」と言いつけた。夫がその服を着て約束の立派な家に行くと、その家の主人は驚いて、「約束だから家を出る」と言って泣く泣く家を明け渡した。妻の実家はどんどん貧乏になっていった。それでしまいには娘が引き取り、いっしょに暮らすようになったという。
| レコード番号 | 47O230441 |
|---|---|
| CD番号 | 47O23C023 |
| 決定題名 | 産神問答(方言) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 豊村幸徳 |
| 話者名かな | とよむらこうとく |
| 生年月日 | 19060805 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県粟国村字東 |
| 記録日 | 19770325 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
| 元テープ番号 | 粟国T16B01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 貧乏者,夫婦,重い石,白鷺,産神, |
| 梗概(こうがい) | 昔、あるところの金持ちの家に娘がいた。父親は金持ちだと威張っていた。娘が、「金持ち、貧乏は天にある。坂の上り下りと同じだ。貧乏人をバカにしないで」と言うと父親は怒って、「お前はそんなに貧乏人が好きか。それならお前は貧乏人と一緒にさせてやる」と言って、使用人たちを使い、村中から一番の貧乏人を探させる。使用人たちは探し回って「いた」と言う。主人が、「どのような暮らしをしているか」と聞くと、「鍋釜も食器もあった」と答える。「もっと貧乏人を探しなさい」と言われて探すと、海岸近くのガマ(洞窟)に住み、魚を取って生活している若者がいた。家に帰って主人に、「鍋はなく、貝殻に煮炊きしている人がいる」と言うと、「それは上等だ」と言って、その若者に娘を押し付ける。娘が「私は家から追い出されたので妻にしてくれ」と頼むと、若者は自分ひとりの生活さえ大変なのに妻にすることはできないと断わるが、娘がどうしてもと頼むので、しまいには夫婦になる。暮らしているうちにますます生活が苦しくなったので、夫を実家に使うと母親がお金を恵んでくれる。ところが帰ってくる途中、田んぼの中に白鷺がいたので、母親からもらった銭をその白鷺に投げ付けた。家に帰ると妻が「お母さんは何かくれなかったか」と聞くので、「あんたのお母さんは私に重い石だけをくれた。田んぼに白鷺がいたので、殺そうと思ってそれを投げてやった」と言う。妻が「それはお金だよ」と言うと、夫は「そんなものなら海にはいくらでもある」と言う。それでは取りに行こうと言って取りに行き、取ろうとすると神様が現れて、「それは龍宮のものだから取るな」と言って追い返される。妻は妊娠していた。何か月経って子供が生まれた。「今なら取れるかも知れないから取ってきてください」と妻が言うと、夫は取りに行く。今回は無事に取れた。宝物をガマの中に運んだ。すると妻が夫に「ぼろの服を着て、このお金を持って家を買いに行きなさい」と言う。それで夫は汚い服装で、「家を買いましょう」と歩き回る。村中を回っているとある立派な家で、「私の家を買いなさい」と申し出る人がいた。夫の身なりが余りにみすぼらしいので、その家の主は安い値で売る約束をして、契約書に印を押した。それで夫は契約書を持って家へ帰ると、妻が今度は「きれいな羽織、袴を買ってきなさい」と言いつけた。夫がその服を着て約束の立派な家に行くと、その家の主人は驚いて、「約束だから家を出る」と言って泣く泣く家を明け渡した。妻の実家はどんどん貧乏になっていった。それでしまいには娘が引き取り、いっしょに暮らすようになったという。 |
| 全体の記録時間数 | 11:09 |
| 物語の時間数 | 10:15 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |