米須按司と我謝ぬ主がいた。米須の妻は大変美しかったので、我謝ぬ主はこの妻を取る考えで、米須を海に誘った。しかし米須の妻は、「夕べ、トゥジ(やり)を立てられた夢を見たので海には行かないで」というけれども、「契りの友達なので行く」といって行く。すると、「魚を突いたので海に中に潜って取って来い」といわれ、取りに行くと、(我謝ぬ主は)魚のヤリをはずしてそれを米須の体に立てて殺してしまった。そして、米須の妻を妻にしようと思い、そのもとへ行くと、米須の妻が「私の夫はどうしたか」ときくので、「お前の夫は海のアジシラン、陸のアジシラン、ジネー(銭)モーチ、カネー(金)モーチ。あの人は戻ってこないから私のところに来なさい」という。「それでは四十九日、百か日の間はこの家には出入りしないでよ」という。翌日、(浜辺を回ると)夫は死んで浜に打ち上げられていた。それで家に運んで裏座に蚊帳を張りその中に寝かせて、それから夫の三人の妹たちを呼んで、一番上の妹に、「生き鞭と生き水を取って来なさい」といった。上の妹は、「私にはできないので妹たちに頼んでほしい」といった。それで次女に頼むと、「いつものことなら取ってくるが、今は妊娠していて私にはできないから妹に頼んでほしい」という。すると末の妹は、「兄さんのことだから私が取ってくる」といって、生き鞭と生き水を取ってきた。死んでから何日経ったか知らないが、その生き水で体を拭き、生き鞭で何回かたたくと死んでいる夫が起き上がった。それでも妻は夫の仇を取ろうと、鍛冶屋へ行って釘とハンマーを注文して、(我謝ぬ主を)山の中に連れ出した。そして「あなたはチュラーマットバーアゲィンカイ、私の夫のようにダチヅラサ、ユイヅラサあればあなたの妻として側にいくが」という。この女の仕種の意味がさっぱりわからない。そうこうしているうちに「私の夫はもっとユイヅラサ、もっとダチヅラサ」といいながら、女は裏側に回って木に我謝ぬ主の体を打ちつけた。すると、我謝ぬ主は「私が悪かった。命だけは助けてくれ」といった。「あんたみたいな人は、夫の仇だ」といって、また裏に回って背中から釘を打ち付けて(我謝ぬ主を山の中に)ほってきた。我謝ぬ主の口から蚊が次々に出てきた。昔は蚊帳がなかったので紙で蚊帳を作っていた。
| レコード番号 | 47O230218 |
|---|---|
| CD番号 | 47O23C013 |
| 決定題名 | 蚊の始まり(方言) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 与那嶺ヒロ |
| 話者名かな | よなみねひろ |
| 生年月日 | 19071001 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県那覇市久米 |
| 記録日 | 19760818 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
| 元テープ番号 | 粟国T09A10 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話、 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 祖母から聞いた。 |
| 文字化資料 | 粟国島の民話P180 |
| キーワード | 生き鞭,生き水,山の中,報復 |
| 梗概(こうがい) | 米須按司と我謝ぬ主がいた。米須の妻は大変美しかったので、我謝ぬ主はこの妻を取る考えで、米須を海に誘った。しかし米須の妻は、「夕べ、トゥジ(やり)を立てられた夢を見たので海には行かないで」というけれども、「契りの友達なので行く」といって行く。すると、「魚を突いたので海に中に潜って取って来い」といわれ、取りに行くと、(我謝ぬ主は)魚のヤリをはずしてそれを米須の体に立てて殺してしまった。そして、米須の妻を妻にしようと思い、そのもとへ行くと、米須の妻が「私の夫はどうしたか」ときくので、「お前の夫は海のアジシラン、陸のアジシラン、ジネー(銭)モーチ、カネー(金)モーチ。あの人は戻ってこないから私のところに来なさい」という。「それでは四十九日、百か日の間はこの家には出入りしないでよ」という。翌日、(浜辺を回ると)夫は死んで浜に打ち上げられていた。それで家に運んで裏座に蚊帳を張りその中に寝かせて、それから夫の三人の妹たちを呼んで、一番上の妹に、「生き鞭と生き水を取って来なさい」といった。上の妹は、「私にはできないので妹たちに頼んでほしい」といった。それで次女に頼むと、「いつものことなら取ってくるが、今は妊娠していて私にはできないから妹に頼んでほしい」という。すると末の妹は、「兄さんのことだから私が取ってくる」といって、生き鞭と生き水を取ってきた。死んでから何日経ったか知らないが、その生き水で体を拭き、生き鞭で何回かたたくと死んでいる夫が起き上がった。それでも妻は夫の仇を取ろうと、鍛冶屋へ行って釘とハンマーを注文して、(我謝ぬ主を)山の中に連れ出した。そして「あなたはチュラーマットバーアゲィンカイ、私の夫のようにダチヅラサ、ユイヅラサあればあなたの妻として側にいくが」という。この女の仕種の意味がさっぱりわからない。そうこうしているうちに「私の夫はもっとユイヅラサ、もっとダチヅラサ」といいながら、女は裏側に回って木に我謝ぬ主の体を打ちつけた。すると、我謝ぬ主は「私が悪かった。命だけは助けてくれ」といった。「あんたみたいな人は、夫の仇だ」といって、また裏に回って背中から釘を打ち付けて(我謝ぬ主を山の中に)ほってきた。我謝ぬ主の口から蚊が次々に出てきた。昔は蚊帳がなかったので紙で蚊帳を作っていた。 |
| 全体の記録時間数 | 5:08 |
| 物語の時間数 | 4:57 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |