モーイ親方(うぇーかた)の小さい頃の話なんだけど。昔、このモーイ親方には、許嫁(いいなずけ)されている女がいたようだが、許嫁の話を耳にするだけで、許嫁の女の人をいまだにモーイ親方は見たことがなかった。「どのような女だろうか。ぜひ一度は見なければ。」と思って、「どうすれば、この自分に許嫁されている女を見ることができるだろうかなあ。」と言って、いろいろ考えた末、しばらくして、「ああ、とお、いい考えがある。」とこのモーイ親方は、あっちこっちの鶏を集めて飼い馴らして、その鶏を自分の許嫁になっている家に持って行くと、そこの庭に鶏を放したそうだ。そこの家の人達は、「何だろう。」と驚いて、皆、飛び出してきた。そのときに、自分の許嫁になっている女が飛び出てきたのを初めて見たので、このモーイ親方は、この鶏は捕まえないで、「あ、やっと見たぞ、見たぞ。」と声を上げ喜んで、家に帰ったそうだ。そしたら、この許嫁にされている女の親達は、「とお、モーイは馬鹿者だという世間話を聞いてはいるが、ほんとに話のとおりだ。こいつは気違いなので、こんな者と夫婦になったらもう大変な
ことだ。これは断った方がいいだろう。」ということになって断りに来た。そしたら、このモーイ親方は、また、「この後は、どうしようか。」と言いながら、自分に許嫁になっている女の父親が首里の務めから戻ってくるのを見計らって、道の側にある大きな木の枝に登って、ちょうど自分の許嫁されている女の父親が帰っていらっしゃるのを待ち受けて、ちょうど自分が登っている木の下を通りなさったときに、この許嫁になっている女の父親の髪に、その引っかけるもので引っかけて吊り上げたら、するとこの許嫁の父親は、し
ゃがんで、上を見て、「とお、何てことだあ。誰かと思えばモーイか、お前はどういうつもりなんだ。」と言うと、このモーイ親方は、「もう引っかかっている。引っかかってしまったものは、はずれないことでし
ょう。」「ああ、そうか。ああ、そうだな。そういうことは当然分かっているよ。お前が言うことは十分に分かっているから、これをゆるめて、許してくれ。」と言って、許されたということだ。そうなると、「許
嫁されているのだから、もう何と親達がいい戻そうとしても、二人の縁は結ばれているのだから、もう結ばれてる縁は離れることは出来ないのだ」と言って、それで、二人は夫婦になったという話があるよ。
| レコード番号 | 47O220784 |
|---|---|
| CD番号 | 47O22C035 |
| 決定題名 | モーイ親方 嫁釣り(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | モーイ親方 嫁釣り |
| 話者名 | 親川富二 |
| 話者名かな | おやかわとみじ |
| 生年月日 | 19161110 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県大宜味村津波 |
| 記録日 | 19830331 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 大宜味村白浜T30B03 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 笑話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 芝居 |
| 文字化資料 | 『おおぎみの昔話』(平成10年3月31日 大宜味村教育委員会発行)P189 |
| キーワード | モーイ親方,許嫁,鶏,庭,親達,木の枝,父親の髪,吊り上げ,引っかけた,夫婦, |
| 梗概(こうがい) | モーイ親方(うぇーかた)の小さい頃の話なんだけど。昔、このモーイ親方には、許嫁(いいなずけ)されている女がいたようだが、許嫁の話を耳にするだけで、許嫁の女の人をいまだにモーイ親方は見たことがなかった。「どのような女だろうか。ぜひ一度は見なければ。」と思って、「どうすれば、この自分に許嫁されている女を見ることができるだろうかなあ。」と言って、いろいろ考えた末、しばらくして、「ああ、とお、いい考えがある。」とこのモーイ親方は、あっちこっちの鶏を集めて飼い馴らして、その鶏を自分の許嫁になっている家に持って行くと、そこの庭に鶏を放したそうだ。そこの家の人達は、「何だろう。」と驚いて、皆、飛び出してきた。そのときに、自分の許嫁になっている女が飛び出てきたのを初めて見たので、このモーイ親方は、この鶏は捕まえないで、「あ、やっと見たぞ、見たぞ。」と声を上げ喜んで、家に帰ったそうだ。そしたら、この許嫁にされている女の親達は、「とお、モーイは馬鹿者だという世間話を聞いてはいるが、ほんとに話のとおりだ。こいつは気違いなので、こんな者と夫婦になったらもう大変な ことだ。これは断った方がいいだろう。」ということになって断りに来た。そしたら、このモーイ親方は、また、「この後は、どうしようか。」と言いながら、自分に許嫁になっている女の父親が首里の務めから戻ってくるのを見計らって、道の側にある大きな木の枝に登って、ちょうど自分の許嫁されている女の父親が帰っていらっしゃるのを待ち受けて、ちょうど自分が登っている木の下を通りなさったときに、この許嫁になっている女の父親の髪に、その引っかけるもので引っかけて吊り上げたら、するとこの許嫁の父親は、し ゃがんで、上を見て、「とお、何てことだあ。誰かと思えばモーイか、お前はどういうつもりなんだ。」と言うと、このモーイ親方は、「もう引っかかっている。引っかかってしまったものは、はずれないことでし ょう。」「ああ、そうか。ああ、そうだな。そういうことは当然分かっているよ。お前が言うことは十分に分かっているから、これをゆるめて、許してくれ。」と言って、許されたということだ。そうなると、「許 嫁されているのだから、もう何と親達がいい戻そうとしても、二人の縁は結ばれているのだから、もう結ばれてる縁は離れることは出来ないのだ」と言って、それで、二人は夫婦になったという話があるよ。 |
| 全体の記録時間数 | 4:08 |
| 物語の時間数 | 4:08 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |