絵姿女房(シマグチ)

概要

お城の御子息が桃売りの山を通っていたんですよ。そしたら、桃売りの美しい姉さんを見てですね、「きれいな女だねえ。この女が欲しいなあ。」と言うてよ、女が家に帰って行くから、この自分の使っている男にね、「おい、あの女の家にな、お前行ってこい。」と後を追わせて見させたらですね、家来が帰ってきて、「どこどこでした。」と言ったからね、「それじゃあ、今度は、あの女が桃を担いで通るときに捕まえなさい。私の城に連れて来るんだぞ。」って、今度はその女を使っている男に止めさせたんですね。家来は、その女を見つけるとね、「おい、お前は、桃売りをするよりね、私の里主のおそばに行って、楽にするのがいいんじゃないか。」と言っているんだよ。その桃売りの女は、「私のような田舎者は、首里に行くことなど出来ません。それに私は主人との間に子も産んでいて乳飲み子もいるからどうにも首里に行くことは、出来ません。」と言ったから、その使いの者は、「そんなに言うなら、お前たちは親戚から兄弟から、みんなこれだよ。」と言って、首を切る真似をしておどかしたからね、女は家に帰ってから夫に、「ねえ、あんた。もう一大事になっているよ。」と言って、「んん。」と言ったら、「私が侍の妻にならなかったらね、もう親戚から乳兄弟までぜんぶ首を切るというているよ。」と言ったからね、「それじゃあもう、一大事になっているなあ。」と言うから、女は泣く泣く城に連れて来られているんだよ。お城の御子息は、その女を連れて来たら、お妾にして二階に囲ってね、外には出さなかったそうですね。 そうしたら、もうこの女は目が膨れるほど泣いてね、小さい子がいたから乳もはってくるから、子のことを思って泣いて今度はどんなことをしても笑うこともない。毎日、泣いて暮らしていたんだね。そして、この桃売りの主人はですね、あっちこっちに、赤ん坊を抱いて、「乳を飲ませてください、乳を飲ませてください。」と頼んで歩いても、乳を飲ませてくれる人はいなかったって。後は、泣く泣くここから妻のいるところの首里まで歌をうたいながら行ってね、首里に行くと、「もうこの子に乳を飲ませてくれるなら、私は通ってはきませんから、どうか妻に会わせてください。」と門番に言ったら、門番は、「ああ、田舎百姓者は勝手には入れない。若様の許しがなければ入れないから帰れ。」と言ったんだろう。そうしたら、妻は二階からそれをこんなに見ていたんだろうね。「アイエナー、私の子どもが来ているよ。」と言うてね、里主にね、「ただ一目だけでも会わせてください。そしたら、これから私は夫も子どもも忘れます。私はね、苦労するより、ここで楽に暮らすのがいい。だから、ただ一目だけ会わせてください。」と言ったら、里主はね、「いいや、それはできない。」と言っていたら、やがてその男はね、「会わせないなら、会わせなくてもいい。私の妻ももう見なくてもいいよ。あんたに恨みに持って争っても勝てないからね、恨みを持って死んで、幽霊となって呪い殺してやろうな。あんたの生まれた男の子はみんな、弱い子にしてやる。」と言ってね、男はンガーンガーして泣く子を抱いてこの川に落ちて死んでおるんだよ。男が川に落ちて死んだのを妻が見ていたから、「里主、私の夫も子どもも亡くなって、もう今からはここに忍んでは来ないからね、あなた様は安心なさって喜んでおられるでしょう。私も落ち着いて、もう子供のことも思わなくなっていますからね、いつのいつまでも私はあなたの妻ですよ。もうなんの心配事もなくなりましたね。」と言ったから、里主も安心して、「これで、私の心も落ち着いたね。」と喜んで、だから、「さあ、それじゃあ外に出てよろしいよ。」と言ったら、妻はすぐに外に出ると、「死んでいる人だけど、顔でも見てみましょうね。」って言って、上から着ている着物もはずして、「親子三人で、あんたを祈って殺してやろうな。」と言って、すぐこの川にポンと女も川に落ちたそうだよ。そうしてね、この後、里主の家はね、みんな立って歩けない弱い子が生まれていたさ。この川は、首里に今もあるよ。その川に落ちたから、そこは、いつもこの三人の幽霊が現れてからね、この里主の子孫はね、「私たちはこの川の幽霊に関係にしているから、ここにはおられない。」と言って、この人たちは八重山に行かれたがね、八重山でも丈夫な子どもは出来なかったそうだよ。この子孫は今でも首里にもいるよ。

再生時間:5:00

民話詳細DATA

レコード番号 47O361569
CD番号 47O36C060
決定題名 絵姿女房(シマグチ)
話者がつけた題名
話者名 名嘉真敏子
話者名かな なかまとしこ
生年月日 19120429
性別
出身地 沖縄県那覇市首里
記録日 19810925
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 北中城村字荻堂調査3班T23A02
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 北中城の民話 P417
キーワード 桃売り,里主,首里,絵姿女房
梗概(こうがい) お城の御子息が桃売りの山を通っていたんですよ。そしたら、桃売りの美しい姉さんを見てですね、「きれいな女だねえ。この女が欲しいなあ。」と言うてよ、女が家に帰って行くから、この自分の使っている男にね、「おい、あの女の家にな、お前行ってこい。」と後を追わせて見させたらですね、家来が帰ってきて、「どこどこでした。」と言ったからね、「それじゃあ、今度は、あの女が桃を担いで通るときに捕まえなさい。私の城に連れて来るんだぞ。」って、今度はその女を使っている男に止めさせたんですね。家来は、その女を見つけるとね、「おい、お前は、桃売りをするよりね、私の里主のおそばに行って、楽にするのがいいんじゃないか。」と言っているんだよ。その桃売りの女は、「私のような田舎者は、首里に行くことなど出来ません。それに私は主人との間に子も産んでいて乳飲み子もいるからどうにも首里に行くことは、出来ません。」と言ったから、その使いの者は、「そんなに言うなら、お前たちは親戚から兄弟から、みんなこれだよ。」と言って、首を切る真似をしておどかしたからね、女は家に帰ってから夫に、「ねえ、あんた。もう一大事になっているよ。」と言って、「んん。」と言ったら、「私が侍の妻にならなかったらね、もう親戚から乳兄弟までぜんぶ首を切るというているよ。」と言ったからね、「それじゃあもう、一大事になっているなあ。」と言うから、女は泣く泣く城に連れて来られているんだよ。お城の御子息は、その女を連れて来たら、お妾にして二階に囲ってね、外には出さなかったそうですね。 そうしたら、もうこの女は目が膨れるほど泣いてね、小さい子がいたから乳もはってくるから、子のことを思って泣いて今度はどんなことをしても笑うこともない。毎日、泣いて暮らしていたんだね。そして、この桃売りの主人はですね、あっちこっちに、赤ん坊を抱いて、「乳を飲ませてください、乳を飲ませてください。」と頼んで歩いても、乳を飲ませてくれる人はいなかったって。後は、泣く泣くここから妻のいるところの首里まで歌をうたいながら行ってね、首里に行くと、「もうこの子に乳を飲ませてくれるなら、私は通ってはきませんから、どうか妻に会わせてください。」と門番に言ったら、門番は、「ああ、田舎百姓者は勝手には入れない。若様の許しがなければ入れないから帰れ。」と言ったんだろう。そうしたら、妻は二階からそれをこんなに見ていたんだろうね。「アイエナー、私の子どもが来ているよ。」と言うてね、里主にね、「ただ一目だけでも会わせてください。そしたら、これから私は夫も子どもも忘れます。私はね、苦労するより、ここで楽に暮らすのがいい。だから、ただ一目だけ会わせてください。」と言ったら、里主はね、「いいや、それはできない。」と言っていたら、やがてその男はね、「会わせないなら、会わせなくてもいい。私の妻ももう見なくてもいいよ。あんたに恨みに持って争っても勝てないからね、恨みを持って死んで、幽霊となって呪い殺してやろうな。あんたの生まれた男の子はみんな、弱い子にしてやる。」と言ってね、男はンガーンガーして泣く子を抱いてこの川に落ちて死んでおるんだよ。男が川に落ちて死んだのを妻が見ていたから、「里主、私の夫も子どもも亡くなって、もう今からはここに忍んでは来ないからね、あなた様は安心なさって喜んでおられるでしょう。私も落ち着いて、もう子供のことも思わなくなっていますからね、いつのいつまでも私はあなたの妻ですよ。もうなんの心配事もなくなりましたね。」と言ったから、里主も安心して、「これで、私の心も落ち着いたね。」と喜んで、だから、「さあ、それじゃあ外に出てよろしいよ。」と言ったら、妻はすぐに外に出ると、「死んでいる人だけど、顔でも見てみましょうね。」って言って、上から着ている着物もはずして、「親子三人で、あんたを祈って殺してやろうな。」と言って、すぐこの川にポンと女も川に落ちたそうだよ。そうしてね、この後、里主の家はね、みんな立って歩けない弱い子が生まれていたさ。この川は、首里に今もあるよ。その川に落ちたから、そこは、いつもこの三人の幽霊が現れてからね、この里主の子孫はね、「私たちはこの川の幽霊に関係にしているから、ここにはおられない。」と言って、この人たちは八重山に行かれたがね、八重山でも丈夫な子どもは出来なかったそうだよ。この子孫は今でも首里にもいるよ。
全体の記録時間数 5:14
物語の時間数 5:00
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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