あのね、昔、敵が戦争しに来たときにですね、この王様が可愛がっている犬がですね、王様のそばに来てね、王様の着物の裾を引っ張ったって。そうしたら、王様はね、「なにか、こらっ。犬のくせにこんなところに上がって来て、着物の裾を引っ張るか。」と怒ったらしいんですよ。あんまりこの犬が吠えて鳴くんだからね、王様は不思議に思ってね、部下を呼んでね、「まあ、この犬が引っ張っていくところに行って、何があるか見なさい。」と言ったんですね。部下はその犬に引っ張られて、高いところに行ってみたらね、敵が火をつけてね、こっちに戦争しに寄せてきよったって。そのときに、犬が吠えたもんだから、首里のお侍さんは、みんな集まってね、みんな敵と戦う用意したらしい。そうして、この犬が知らせたから、中山は勝ったらしいのよ。だから、その犬のお陰で勝ったから、王様は、「お前の望みはなにがあるか。お前の望みに任せてやるから言うてみぃ。」と、犬に言うたらしいのよ。そしたら、犬はご馳走やっても食べない。なにやっても食べない。そうして、ここにね、お姫様が座っていたって。その姫のね、着物をこうやって引っ張っていたから、王様はこれ見て、「どうしてね、この子を引っ張るかあ。」と言ったらね、犬は、「この姫が欲しい。」っていうみたいにしたから、その姫はね、「この犬はね、当たり前の犬ではない。私は王様の子かも知れないが、こんなしてね、動物が私を望んでいるからね、この犬の御陰で戦争も勝っているからね。この犬の望みを聞いてやります。」と言ったら、王様は、「そうか、そんなら、どこかにお前を流すから、そうしなさい。」と言うてね、宮古の誰もいないところにね、その姫に乳母とね、また男の人をつけて、またこの食べ物をたくさん船に乗せて、犬も乗せて、宮古に流したって。流したらね、この宮古にね、洞穴があったって。家もないからね、その洞穴の横に家を作ってね、人間は三名、犬を入れて四名が暮らしていたって。そうして、乳母なんか年寄りだから亡くなって、後は、このお姫様一人残ったって。そしたら、犬はですね、この濠の中に入って行ったって。「僕がね、真人間になってくるまでは我慢してね。」と言うて入ったってね。姫は、自分一人になったから、もうそこは、無人島だから怖がってね、「早く帰って出て来てくれ。動物でもいいからね、動物の姿でもいいから、早く帰って来てくれ。」って頼んだらしいのよ。そうして、この女が毎日泣いたから、この犬はね、仕方がなくってね、「半分は人間で、半分は犬だけれどね、いいかあ。」と言ったらしい。「それでもいいです。」と言うたって。それでね、この犬の下半身はね、人間になって、上半身はね、犬さ。そうして、ここで夫婦になってね、子供を産んだって。それでね、今もね、宮古には、この二人を拝む御嶽があった。
| レコード番号 | 47O361512 |
|---|---|
| CD番号 | 47O36C057 |
| 決定題名 | 犬聟入 大将の首(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 安里カメ |
| 話者名かな | あさとかめ |
| 生年月日 | 19130309 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県宜野湾市新城 |
| 記録日 | 19810924 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 北中城村字荻道調査7班T20A13 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 北中城の民話 P401 |
| キーワード | 戦争,王様,犬,首里,お姫様,宮古,洞穴,濠,御嶽,犬聟入 |
| 梗概(こうがい) | あのね、昔、敵が戦争しに来たときにですね、この王様が可愛がっている犬がですね、王様のそばに来てね、王様の着物の裾を引っ張ったって。そうしたら、王様はね、「なにか、こらっ。犬のくせにこんなところに上がって来て、着物の裾を引っ張るか。」と怒ったらしいんですよ。あんまりこの犬が吠えて鳴くんだからね、王様は不思議に思ってね、部下を呼んでね、「まあ、この犬が引っ張っていくところに行って、何があるか見なさい。」と言ったんですね。部下はその犬に引っ張られて、高いところに行ってみたらね、敵が火をつけてね、こっちに戦争しに寄せてきよったって。そのときに、犬が吠えたもんだから、首里のお侍さんは、みんな集まってね、みんな敵と戦う用意したらしい。そうして、この犬が知らせたから、中山は勝ったらしいのよ。だから、その犬のお陰で勝ったから、王様は、「お前の望みはなにがあるか。お前の望みに任せてやるから言うてみぃ。」と、犬に言うたらしいのよ。そしたら、犬はご馳走やっても食べない。なにやっても食べない。そうして、ここにね、お姫様が座っていたって。その姫のね、着物をこうやって引っ張っていたから、王様はこれ見て、「どうしてね、この子を引っ張るかあ。」と言ったらね、犬は、「この姫が欲しい。」っていうみたいにしたから、その姫はね、「この犬はね、当たり前の犬ではない。私は王様の子かも知れないが、こんなしてね、動物が私を望んでいるからね、この犬の御陰で戦争も勝っているからね。この犬の望みを聞いてやります。」と言ったら、王様は、「そうか、そんなら、どこかにお前を流すから、そうしなさい。」と言うてね、宮古の誰もいないところにね、その姫に乳母とね、また男の人をつけて、またこの食べ物をたくさん船に乗せて、犬も乗せて、宮古に流したって。流したらね、この宮古にね、洞穴があったって。家もないからね、その洞穴の横に家を作ってね、人間は三名、犬を入れて四名が暮らしていたって。そうして、乳母なんか年寄りだから亡くなって、後は、このお姫様一人残ったって。そしたら、犬はですね、この濠の中に入って行ったって。「僕がね、真人間になってくるまでは我慢してね。」と言うて入ったってね。姫は、自分一人になったから、もうそこは、無人島だから怖がってね、「早く帰って出て来てくれ。動物でもいいからね、動物の姿でもいいから、早く帰って来てくれ。」って頼んだらしいのよ。そうして、この女が毎日泣いたから、この犬はね、仕方がなくってね、「半分は人間で、半分は犬だけれどね、いいかあ。」と言ったらしい。「それでもいいです。」と言うたって。それでね、この犬の下半身はね、人間になって、上半身はね、犬さ。そうして、ここで夫婦になってね、子供を産んだって。それでね、今もね、宮古には、この二人を拝む御嶽があった。 |
| 全体の記録時間数 | 3:46 |
| 物語の時間数 | 3:34 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ○ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |