姥捨山と言う話を聞いたことがありますか。昔はね、五十以上になれば老人を山に捨てに行った。与那国にもそういうことがあって、老人を捨てに行った。そのころ与那国では、台湾から来た生蛮にいつも女がさらわれていたから、村人が集まって、「これでは与那国は大変なことになる。生蛮を退治して、女を守る方法はないか。」と何回も何回も協議をした。ところが名案なくてね、困っていたそうだ。その協議のときに、一人の男が立ち上がって、「よろしいじゃあ、捨てたお爺さんに先ず意見を聞いて見よう。何かいい考えはないか習って来よう。」と言って、その山に行ってお爺さんに、「いつも生蛮が来て女がさらわれるので、これの対策を協議したが名案が無い。お爺さん、もし、名案があったら教えてくださいませんか。」「それはたやすいことだ。畳一枚分の太さの草鞋を作りなさい。そして南から風が吹きそうになったら早く沖にいってね、その一畳敷の草鞋を流しておきなさいよ。」と言うたが、この人たちには何が何やら意味が分からんですよ。帰ってきて村人に言ったら、「じゃあ、先ずやって見よう。」と一畳敷の草鞋を幾つも作ったんだよ。昔は、航海術はただ風まかせですよ。だから、南の風になると台湾の生蛮は向こうから風に乗ってくるからね、そういうときに与那国の人は、ずっと沖の方のちょうど台湾と与那国の間ぐらいの与那国がもう見えなくなるような沖に早く行って、その草鞋を幾つも流したと。そしたら、台湾の生蛮は、この風を頼って与那国に向かって堂々と北上して来た。そこで、その生蛮が何か流れているのを見た。「何だろう。あの辺に散らばって浮いているのは何だろう。」そして、取ってすくって上げてみると畳一畳程もあるでっかい草鞋。「あらあら、こりゃ大変だ。あの島にはこんな大きい草鞋を履く人間がいるのか。」「いや大変だよ。帰ろう。行ったらもう踏み潰されてしまうよ。」「いやいや俺も怖いよ。そんな大きい人に踏みつけられたら、命どころかもう大変なことになる。帰ろう、帰ろう。」とみな申し合わせてね、帰ってから、それ以来はその台湾の生蛮はね、与那国を荒らして婦女子をさらいに来なかったって。こういう話だよ。だからこれも年寄りの知恵さ。
| レコード番号 | 47O383151 |
|---|---|
| CD番号 | 47O38C162 |
| 決定題名 | 姥捨て山 セイバンの話(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 安里永太郎 |
| 話者名かな | あさとえいたろう |
| 生年月日 | 19010929 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県中頭郡北中城字喜舎場 |
| 記録日 | 19810705 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 中頭郡北中城村 T02 B05 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 北中城の民話 P469 |
| キーワード | 姥捨山,与那国,老人,台湾,生蛮,退治,名案,協議,草鞋,沖,一畳敷の草鞋,年寄りの知恵 |
| 梗概(こうがい) | 姥捨山と言う話を聞いたことがありますか。昔はね、五十以上になれば老人を山に捨てに行った。与那国にもそういうことがあって、老人を捨てに行った。そのころ与那国では、台湾から来た生蛮にいつも女がさらわれていたから、村人が集まって、「これでは与那国は大変なことになる。生蛮を退治して、女を守る方法はないか。」と何回も何回も協議をした。ところが名案なくてね、困っていたそうだ。その協議のときに、一人の男が立ち上がって、「よろしいじゃあ、捨てたお爺さんに先ず意見を聞いて見よう。何かいい考えはないか習って来よう。」と言って、その山に行ってお爺さんに、「いつも生蛮が来て女がさらわれるので、これの対策を協議したが名案が無い。お爺さん、もし、名案があったら教えてくださいませんか。」「それはたやすいことだ。畳一枚分の太さの草鞋を作りなさい。そして南から風が吹きそうになったら早く沖にいってね、その一畳敷の草鞋を流しておきなさいよ。」と言うたが、この人たちには何が何やら意味が分からんですよ。帰ってきて村人に言ったら、「じゃあ、先ずやって見よう。」と一畳敷の草鞋を幾つも作ったんだよ。昔は、航海術はただ風まかせですよ。だから、南の風になると台湾の生蛮は向こうから風に乗ってくるからね、そういうときに与那国の人は、ずっと沖の方のちょうど台湾と与那国の間ぐらいの与那国がもう見えなくなるような沖に早く行って、その草鞋を幾つも流したと。そしたら、台湾の生蛮は、この風を頼って与那国に向かって堂々と北上して来た。そこで、その生蛮が何か流れているのを見た。「何だろう。あの辺に散らばって浮いているのは何だろう。」そして、取ってすくって上げてみると畳一畳程もあるでっかい草鞋。「あらあら、こりゃ大変だ。あの島にはこんな大きい草鞋を履く人間がいるのか。」「いや大変だよ。帰ろう。行ったらもう踏み潰されてしまうよ。」「いやいや俺も怖いよ。そんな大きい人に踏みつけられたら、命どころかもう大変なことになる。帰ろう、帰ろう。」とみな申し合わせてね、帰ってから、それ以来はその台湾の生蛮はね、与那国を荒らして婦女子をさらいに来なかったって。こういう話だよ。だからこれも年寄りの知恵さ。 |
| 全体の記録時間数 | 3:14 |
| 物語の時間数 | 3:06 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |