昔、中頭に一人の孝行者がおった。昼は他の村に身売りされているから、そこで一日中働いて、夜になると奉公先で出された自分の食べ物をね、お母さんお父さんに持って来て上げるような孝行者だったと。それで、大晦日の晩のことだな。道を通っているとよぼよぼのお爺さんがね、棺箱を担いで一人とぼとぼ通っとった。そしたらね、その孝行者の息子が、「お爺さん、この夜更けにどうしたんですか。」と言うたら、そのお爺さんは、「私にはたった一人の孫がおったんだけど、それが死んじゃってね、今日は大晦日で誰一人手伝う者がいないから、自分一人で葬りにいくんだよ。」そう言うから、気のやさしい息子は、「おう、お爺さん、じゃあ私に任せなさい。私がかついで上げるから。」と言って、そのお爺さんの棺箱を担いでこうずっと行くうちに、ひょっこりそのお爺さんの影が消えてしまったんだね。もうどこを見回してもいない。仕方がないからその棺箱をね、自分の家に持って帰った。「年寄りからこの棺箱を預かったんだけれども、お爺さんは長く待ってもどこへいったか分からんので、もう仕方がないから持って来た。」本当は、大晦日の晩だから、だれでも棺箱なんかきらうんだが、その家の家族は、「あ、そうか、それはいいことをした人助けだ。じゃあ、開けて見よう。」と言って開けたらね、棺箱の中には、目もまばゆいほどの黄金が入っておったんだよ。「これは神様からのお恵みだ。」と喜んで親戚を集めてお祝いをやった。今でもその黄金をなぞらえて、このお正月の飾りものにね、必ず蜜柑、蜜柑を飾りますよ。蜜柑を飾って、その下に黄、赤、白の色紙を敷いて置いたのだよ。そして、その棺箱のことをね、棺箱と思いきや、宝の黄金が入っとったということで、沖縄の言葉では、今も「宝むん」と言います。
| レコード番号 | 47O383150 |
|---|---|
| CD番号 | 47O38C162 |
| 決定題名 | 大歳の宝(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 安里永太郎 |
| 話者名かな | あさとえいたろう |
| 生年月日 | 19010929 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県中頭郡北中城字喜舎場 |
| 記録日 | 19810705 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 中頭郡北中城村 T02 B04 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 北中城の民話 P459 |
| キーワード | 中頭,孝行者,身売り,奉公先,大晦日の晩,お爺さん,棺箱,孫,葬り,影,黄金,神様からのお恵み,お祝い,お正月の飾りもの,蜜柑,色紙,宝むん |
| 梗概(こうがい) | 昔、中頭に一人の孝行者がおった。昼は他の村に身売りされているから、そこで一日中働いて、夜になると奉公先で出された自分の食べ物をね、お母さんお父さんに持って来て上げるような孝行者だったと。それで、大晦日の晩のことだな。道を通っているとよぼよぼのお爺さんがね、棺箱を担いで一人とぼとぼ通っとった。そしたらね、その孝行者の息子が、「お爺さん、この夜更けにどうしたんですか。」と言うたら、そのお爺さんは、「私にはたった一人の孫がおったんだけど、それが死んじゃってね、今日は大晦日で誰一人手伝う者がいないから、自分一人で葬りにいくんだよ。」そう言うから、気のやさしい息子は、「おう、お爺さん、じゃあ私に任せなさい。私がかついで上げるから。」と言って、そのお爺さんの棺箱を担いでこうずっと行くうちに、ひょっこりそのお爺さんの影が消えてしまったんだね。もうどこを見回してもいない。仕方がないからその棺箱をね、自分の家に持って帰った。「年寄りからこの棺箱を預かったんだけれども、お爺さんは長く待ってもどこへいったか分からんので、もう仕方がないから持って来た。」本当は、大晦日の晩だから、だれでも棺箱なんかきらうんだが、その家の家族は、「あ、そうか、それはいいことをした人助けだ。じゃあ、開けて見よう。」と言って開けたらね、棺箱の中には、目もまばゆいほどの黄金が入っておったんだよ。「これは神様からのお恵みだ。」と喜んで親戚を集めてお祝いをやった。今でもその黄金をなぞらえて、このお正月の飾りものにね、必ず蜜柑、蜜柑を飾りますよ。蜜柑を飾って、その下に黄、赤、白の色紙を敷いて置いたのだよ。そして、その棺箱のことをね、棺箱と思いきや、宝の黄金が入っとったということで、沖縄の言葉では、今も「宝むん」と言います。 |
| 全体の記録時間数 | 3:00 |
| 物語の時間数 | 2:47 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |