男が兄さんで、女が妹だったわけだよ。首里の金城という所は山だったのか、そこに人を食う鬼が居るという話が出て世間の人が騒いでいた。何処の人かは分からないけど、とにかく山に住んで居たそうだ。そうしたら「これは、もしかしたら私の兄さんではないか」とその妹は感じて、もう結婚もして子どもも居るのでその子を連れて様子を伺いに行ったらしいです。そうしたら、「あんたはよく来たね。さあ入りなさい、私は御馳走を炊くのでね。あんたは子どもも出来たんだね」と言っ、て兄さんは大変喜んだそうだ。内心は子どもを連れて来ているので、御馳走がきたと喜んでいたわけだよ。そしたら「はい」と言って入った。それから大きな鍋に蓋をしてどんどん炊いていたそうだ。それで兄さんが何処かに行ったすきに、何を炊いているかと好奇心で鍋を開けて見たら人間の手首が入っていて煮えたぎっていたそうだ。そうしたら、世間の話は本当の事で、本当に人を食うんだとその時に感じたそうだ。「御馳走はもうすぐ炊けるので、待っておきなさいね」、「はい」と言って子どもを抱いて座っていたそうだ。そうして、もう確かめたので、その子どもは赤ちゃんではなく二歳くらいなっていたんでしょう。その子どものお尻をつねったら、とても泣いたそうだ。そうしたら「どうして、子どもは泣くんだね」と言ったそうだ。「小便がしたくて泣くんだよ」と。「家の後ろでさせて来なさい」と言ったが、「ちょっと待て」「どうして」と言ったら「手の首を括っておこう」と。それから小便をさせに行ったわけだよ。そうしたら、「今だ」と思い、木は沢山生えているので、その木に手の首の縄は解いて、結んでから死にものぐるいで後ろ向き走って逃げたそうだ。後ろ向きにすると足跡が前向きになるでしょう。そこはちょうど浜の側だったのか、小舟が一艘置かれていて、その小舟に隠れていたそうだ。「どうして今頃になっても来ないね」と自分で行って見たらしい。そうしたら木に括ってあるでしょう。「逃げてあるね」と言った。お乳の袋のことで、乳ぶっくゎといってそれを食べそこねたよと叫んでいたそうだ。その鬼である兄さんがね。そしたら「もう見られているね」と。浜の砂を見たら足跡がこっちを向いているので来る時の足跡かと考えたようだ。鬼は諦めて煮ていた御馳走は一人で食べたんでしょう。それから十二月師走の七日に、これは前から思いついていたんでしょうけど、この鬼はとても餅が好きだったそうです。兄弟なので餅が好物というのは分かっていたんでしょうね。それで月桃の葉に包んでいい香りをさせて、そして酒も好きだったので徳利に入れて頭に載せて持って行った。「お前はよく来たね」と。「今日は兄さんの好物を持って来てあるので二人で食べようね」と言ったらしいです。そしたら「そうか」と言って大変喜んでいたそうです。「兄さん、本当は家で食べたらこんな御馳走は美味しくもないので、何処か見晴らしの良い場所に行きましょう」と言った。そしたら「そうだね」と。「お酒も持って来たよ」と喜ばして二人で見晴らしの良い崖のある所に行ったそうだ。金城バンタといって絶壁があって、そのハンタを後ろにして、「向こうに座って、私はここに座るから」と。餅の入った籠は真ん中に置いて「酒も飲みなさい、飲みなさい」と酒も餅もたらふく食べさせた。それから少し可笑しいけど、本当はそれを方言で言うと大金城のホーハイムーチーと言うよ。「どうしてそう言うのか」と言ったら、女が陰部を出して鬼に見せたようだよ。この鬼は、男女の性関係が、まったく分からなかったんでしょう、怖がるくらいだからね。「お前はへんな物があるね、下は何か」と言ったそうだ。「ここは物を食べる口、ここは鬼を食べる口だよ」と聞かせたら、自分でも鬼だとは自覚しているので怖がって後ろに後ずさりして、そしたら後ずさりするたびに前に寄って行ったのでそれを怖がって、崖から落として殺したそうだ。それからムーチーを炊く時には鬼の足を焼くと言うでしょう。葉は結んで軒下に吊るしたんだよ小さい時にはね。鬼の足を焼く、それから汁は撒いていたよ。
| レコード番号 | 47O375079 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C218 |
| 決定題名 | 鬼餅由来(共通語混) |
| 話者がつけた題名 | 鬼餅由来 |
| 話者名 | 真栄田カツ |
| 話者名かな | まえだかつ |
| 生年月日 | 19100110 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村大木 |
| 記録日 | 19770225 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団第8班 |
| 元テープ番号 | 読谷村比謝T02A07 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 兄,妹,首里の金城,人を食う鬼,子ども,御馳走,大きな鍋,人間の手首,小便,ら十二月師走の七日,餅が好物,崖,物を食べる口,鬼を食べる口 |
| 梗概(こうがい) | 男が兄さんで、女が妹だったわけだよ。首里の金城という所は山だったのか、そこに人を食う鬼が居るという話が出て世間の人が騒いでいた。何処の人かは分からないけど、とにかく山に住んで居たそうだ。そうしたら「これは、もしかしたら私の兄さんではないか」とその妹は感じて、もう結婚もして子どもも居るのでその子を連れて様子を伺いに行ったらしいです。そうしたら、「あんたはよく来たね。さあ入りなさい、私は御馳走を炊くのでね。あんたは子どもも出来たんだね」と言っ、て兄さんは大変喜んだそうだ。内心は子どもを連れて来ているので、御馳走がきたと喜んでいたわけだよ。そしたら「はい」と言って入った。それから大きな鍋に蓋をしてどんどん炊いていたそうだ。それで兄さんが何処かに行ったすきに、何を炊いているかと好奇心で鍋を開けて見たら人間の手首が入っていて煮えたぎっていたそうだ。そうしたら、世間の話は本当の事で、本当に人を食うんだとその時に感じたそうだ。「御馳走はもうすぐ炊けるので、待っておきなさいね」、「はい」と言って子どもを抱いて座っていたそうだ。そうして、もう確かめたので、その子どもは赤ちゃんではなく二歳くらいなっていたんでしょう。その子どものお尻をつねったら、とても泣いたそうだ。そうしたら「どうして、子どもは泣くんだね」と言ったそうだ。「小便がしたくて泣くんだよ」と。「家の後ろでさせて来なさい」と言ったが、「ちょっと待て」「どうして」と言ったら「手の首を括っておこう」と。それから小便をさせに行ったわけだよ。そうしたら、「今だ」と思い、木は沢山生えているので、その木に手の首の縄は解いて、結んでから死にものぐるいで後ろ向き走って逃げたそうだ。後ろ向きにすると足跡が前向きになるでしょう。そこはちょうど浜の側だったのか、小舟が一艘置かれていて、その小舟に隠れていたそうだ。「どうして今頃になっても来ないね」と自分で行って見たらしい。そうしたら木に括ってあるでしょう。「逃げてあるね」と言った。お乳の袋のことで、乳ぶっくゎといってそれを食べそこねたよと叫んでいたそうだ。その鬼である兄さんがね。そしたら「もう見られているね」と。浜の砂を見たら足跡がこっちを向いているので来る時の足跡かと考えたようだ。鬼は諦めて煮ていた御馳走は一人で食べたんでしょう。それから十二月師走の七日に、これは前から思いついていたんでしょうけど、この鬼はとても餅が好きだったそうです。兄弟なので餅が好物というのは分かっていたんでしょうね。それで月桃の葉に包んでいい香りをさせて、そして酒も好きだったので徳利に入れて頭に載せて持って行った。「お前はよく来たね」と。「今日は兄さんの好物を持って来てあるので二人で食べようね」と言ったらしいです。そしたら「そうか」と言って大変喜んでいたそうです。「兄さん、本当は家で食べたらこんな御馳走は美味しくもないので、何処か見晴らしの良い場所に行きましょう」と言った。そしたら「そうだね」と。「お酒も持って来たよ」と喜ばして二人で見晴らしの良い崖のある所に行ったそうだ。金城バンタといって絶壁があって、そのハンタを後ろにして、「向こうに座って、私はここに座るから」と。餅の入った籠は真ん中に置いて「酒も飲みなさい、飲みなさい」と酒も餅もたらふく食べさせた。それから少し可笑しいけど、本当はそれを方言で言うと大金城のホーハイムーチーと言うよ。「どうしてそう言うのか」と言ったら、女が陰部を出して鬼に見せたようだよ。この鬼は、男女の性関係が、まったく分からなかったんでしょう、怖がるくらいだからね。「お前はへんな物があるね、下は何か」と言ったそうだ。「ここは物を食べる口、ここは鬼を食べる口だよ」と聞かせたら、自分でも鬼だとは自覚しているので怖がって後ろに後ずさりして、そしたら後ずさりするたびに前に寄って行ったのでそれを怖がって、崖から落として殺したそうだ。それからムーチーを炊く時には鬼の足を焼くと言うでしょう。葉は結んで軒下に吊るしたんだよ小さい時にはね。鬼の足を焼く、それから汁は撒いていたよ。 |
| 全体の記録時間数 | 8:44 |
| 物語の時間数 | 8:44 |
| 言語識別 | 混在 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |