たいそうな年寄りが、もう大変薄汚れた貧乏者の格好をして、物乞いに来たらしい。一番に大金持ちの家に物乞いに行かれると、そこから追っ払われてしまった。物乞いにというよりも、泊めて下さいということだったらしい。すると、「なんてことだ。お前らのようなやつを泊まらせる所ではない。どこかで泊まれ。」と、そこから追っ払われてしまったって。それからまた、もう一回訪ねた家は、なんていうか、あまりにも貧乏者の家で、「火正月しようねえ。」と言って火を燃やし暖まっているところへ、「泊めてもらえませんか。」とお願いした。すると、「こんな汚い家でもよろしければどうぞ。」と言って泊めてあげた。「泊めることはできても、何もなくて火を温まるだけです。私達は正月だというのに何かを買おうにもお金もなく、火正月をしていますので、せめて火だけでもあたって下さい。」と言った。「分かりました。それで結構です。薪と一緒に鍋を火にかけなさい。カマにかけなさい。」とおっしゃるので、「何もありませんが、水を入れて火にかけますか。」と尋ねると、「何とかなるものさ。火にかけなさい。」と言われた。鍋を火にかけると、もう御馳走ができたようだね、二つの鍋に。そうして、そこで一緒にいただいて、その方も。そこの家の人も、もう、たいそう御馳走になった。また翌日の朝はもう、「さあ早く、お風呂に入りなさい。」と、お風呂に入れると、そこの家の人はみんな若くなってしまった。大変なお年寄りであったらしいんだがね。そうしたもんだから、隣の家を訪ねて行って「私達は昨夜は白髪の老人が訪ねて来て泊まられて、その方が私達にお風呂に入るように言われてね。鍋を火にかけると御馳走も出来て、お風呂に入ったら、このように若くなったんですよ。」と言った。「ええそういうことかあ、その方はどこに行ったの。どの辺りまで歩かれているのか。」と尋ねるので、「今なら、だいたいあの辺りまで行ってるだろうね。」と答えると、大金持ちの人は追いかけて行って呼び戻して来た。そして、「どうか私達も若返えらして下さい。」とお願いすると、「いいでしょう。」と、戻って来られた。そうして「お湯を沸かして浴びなさい。」と言われたので、お湯を沸かして入ると、そこの大金持ちの人は猿になってしまったんだと。だから猿は、赤い尻をしているという話だよ。それから、東の方に置いてある甕の底に座って、その猿になった金持ちはいつもそこにやって来ては、「私の家を返せ、返せ。」と言ったんだって。そうしていつも同じ場所に座るので、その甕の底を焼いて置いていると、案の定、いつものようにやって来て、そこに座り尻を焼いてしまい、赤尻になったという話でした。
| レコード番号 | 47O374372 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C190 |
| 決定題名 | 猿長者(シマグチ) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 岳原ツル |
| 話者名かな | おかはらつる |
| 生年月日 | 19050504 |
| 性別 | 女 |
| 出身地 | 沖縄県読谷村牧原 |
| 記録日 | 19761219 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団 |
| 元テープ番号 | 読谷村長田T01A04 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | 寝る時に母親に昔話を聞かせてくれるように要求し、いつでも違う話を聞かせてくれた。 |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集13 大木・長田・牧原の民話P280 |
| キーワード | 年寄り,大変薄汚れた貧乏者の格好,物乞い,大金持ち,泊めて下さい,火正月,汚い家,鍋を火にかけなさい,御馳走,風呂に入りなさい,若くなった,大金持ちの人は猿,赤い尻,甕の底,焼いて置いた |
| 梗概(こうがい) | たいそうな年寄りが、もう大変薄汚れた貧乏者の格好をして、物乞いに来たらしい。一番に大金持ちの家に物乞いに行かれると、そこから追っ払われてしまった。物乞いにというよりも、泊めて下さいということだったらしい。すると、「なんてことだ。お前らのようなやつを泊まらせる所ではない。どこかで泊まれ。」と、そこから追っ払われてしまったって。それからまた、もう一回訪ねた家は、なんていうか、あまりにも貧乏者の家で、「火正月しようねえ。」と言って火を燃やし暖まっているところへ、「泊めてもらえませんか。」とお願いした。すると、「こんな汚い家でもよろしければどうぞ。」と言って泊めてあげた。「泊めることはできても、何もなくて火を温まるだけです。私達は正月だというのに何かを買おうにもお金もなく、火正月をしていますので、せめて火だけでもあたって下さい。」と言った。「分かりました。それで結構です。薪と一緒に鍋を火にかけなさい。カマにかけなさい。」とおっしゃるので、「何もありませんが、水を入れて火にかけますか。」と尋ねると、「何とかなるものさ。火にかけなさい。」と言われた。鍋を火にかけると、もう御馳走ができたようだね、二つの鍋に。そうして、そこで一緒にいただいて、その方も。そこの家の人も、もう、たいそう御馳走になった。また翌日の朝はもう、「さあ早く、お風呂に入りなさい。」と、お風呂に入れると、そこの家の人はみんな若くなってしまった。大変なお年寄りであったらしいんだがね。そうしたもんだから、隣の家を訪ねて行って「私達は昨夜は白髪の老人が訪ねて来て泊まられて、その方が私達にお風呂に入るように言われてね。鍋を火にかけると御馳走も出来て、お風呂に入ったら、このように若くなったんですよ。」と言った。「ええそういうことかあ、その方はどこに行ったの。どの辺りまで歩かれているのか。」と尋ねるので、「今なら、だいたいあの辺りまで行ってるだろうね。」と答えると、大金持ちの人は追いかけて行って呼び戻して来た。そして、「どうか私達も若返えらして下さい。」とお願いすると、「いいでしょう。」と、戻って来られた。そうして「お湯を沸かして浴びなさい。」と言われたので、お湯を沸かして入ると、そこの大金持ちの人は猿になってしまったんだと。だから猿は、赤い尻をしているという話だよ。それから、東の方に置いてある甕の底に座って、その猿になった金持ちはいつもそこにやって来ては、「私の家を返せ、返せ。」と言ったんだって。そうしていつも同じ場所に座るので、その甕の底を焼いて置いていると、案の定、いつものようにやって来て、そこに座り尻を焼いてしまい、赤尻になったという話でした。 |
| 全体の記録時間数 | 2:35 |
| 物語の時間数 | 2:35 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |