昔、琉球時代のことですけど。ある王が、本妻はおるけど、どうしても後の妾が欲しいということで。自分の部下に命じて、琉球国から非常にきれいな女を、自分の妾にできるような女を探したらしいけど。で、その部下は琉球一般を探していたところが、とうとう津堅の島に、とても美麗な女の子がおったらしいですがな。そしたら、その使いの者は早速その王に対して、きれいな女がおるちゅう事を強調してしまったら、早速連れて来いという事になりまして。で、早速連れて行ったら、王も非常に気に入って、その女を愛したらしいですな。そしたらそこには本妻もおるし、本妻との間には子供がまだできてなかったらしいですな。そしたら王も、とにかく非常に気に入って、もう政治はおろか、すべてサンゲーの事ももうほったらかしで、いつもその女と遊ぶ事だけしか考えてなかった。で、政治も乱れて、世の中も乱れてしまったらしいですね。ある時、王の誕生日にその女を迎えた。で、大きな御殿でお祝いする事になったらしいですけども。で、昔から王というのは一夫多妻の方で、妻一人でなくって、今度は女官とかいろんな妾がたくさん付いておったらしいけども。その嫉妬のあまり、その本妻が、これはどうしてもその女を取り除いていかなきゃいかんと。今までは自分を愛してくれたけども、その女が来てからはもう、自分には触れようとしないから、どうしたらその女をお城から追い出すかという事をいつも日々それを考えておったんです。で、相談の結果、どうしたらいいかという事をある女同士考えて、で、来たるいつ何日の王の誕生日に女が出るから、その時を利用して何とか訴訟を起こして、早速追い出そうということで協議は帰結したらしいですね。いよいよその誕生日を迎えて、とにかくやって。その式順が決まり、座る場所もちゃんと決まっておったらしいですな。で、案の定、正妻は別として、王はいつも自分が可愛がっておるその津堅から来た女を相手にして酌をしてとることになっていたらしい。で、それを見た本妻や別の女は、なおさら嫉妬に燃えて非常に怒ったらしいですけども。んで、その悪辣な方法はどうするかとこれを帰結したら、じゃあこうしようという事になりまして。で、その悪法は、今日は誕生日だから、どうしてもその女が王にお酌をするでしょうから、で、その時に誰か出したくないおならでもひとつやってくれんか言うたわけ。やったらしいですな。で、その時、王もたしか怒って早速その場で、その女をまた元の津堅の島へ帰してくれるだろうちゅう事になりまして。いよいよ、誕生の祝いもまっ盛りとなって、まあ案の定、その話の通り、いよいよ女が王に対して酌をする時に、誰かがお酌をする途中に、屁をへったらしいですな、おならを出して。んで、とにかく相手は七、八人で、こっちは一人だから、「今のおならを出した人は誰か。」と王は非常に怒ったらしいですな。今日のこの場所に限って、今日に限ってそんな不承知な事は無礼千万の事をしたちゅうんで、王は非常に怒ったらしいけども。元々四、五人の女の方は話あった結果だから、今の女がおならを出したちゅう事を皆に押し付けたらしいですよ。女は「どうして、私はそんな粗相な事はしていません。」と頑張ったけども、とにかく皆のその多数決で、「お前が今やったじゃないか。」という事を皆にこう言われて。で、泣く泣く、王も怒って、「今まで君は非常に私が可愛がってきても、場所柄、こんな粗相を起こすというのは、とにかく田舎者のくせに。」と、非常に怒って早速帰す事になったらしいですね。そして、泣く泣く、とにかく船に乗せて、また元の生まれ故郷の津堅の島に行ったらしいですよ。で、幸いにして、帰す時にその女は身重になっておったらしいですな。妊娠しておったらしいですよ。で、その女は国をあげての、津堅の島をあげて、非常にこう見送りもして、盛大に送ってやったけども。まあとにかく、また田舎者だからまた帰されたという事は、国の方でも非常にこう落胆してしまって。その女は、しょっちゅう一人暮らしで、悔しがって、一人暮らしておったらしいですな。その女は、帰された時は、こうおめでたをして、妊娠しておったらしいです。女は、せっかく国をあげてのお見送りと、また今度は帰されたとの悲観からもって、いつも一人暮らしておったらしいですな。そうして、毎日毎日、暮らしている間に、とにかくこう十月十日(とつきとおか)になりまして、とうとうその女は、男の子を生む事になりました。で、言わばそれが、その人が琉球王の後継ぎになるわけです。本妻とは子供ができなかったそうですけども、その女とはちゃんと子供ができて、琉球王の後を取ったちゅう話だけども。で、そのいきさつというのはだんだん子供が成長するにしたがって、周囲の友達から、父無し子として非常にいじめられたそうですな、その男の子は。で、お母さんはそれを聞く度に、非常にこう心が焼けて。で、「今はとにかくそういう事言う(時)じゃないから、いつかはその事が表われるから、その時まで辛抱して待っておけ。」と、いつも子供を諭しておったらしいけども。で、「そのいつかとはいつになるか。。」と言うと、「あんたがね、十五になったら必ずあんたのお父さんの行方、また誰々ということは名前を告げるから、その時まで十五になるまでは、とにかく辛抱して人が何と言おうと待っておきなさい。その時には、お母さんは早速知らしてやるから。」ちゅうて。で、その子どもも、お母さんの言う事を聞いて、十五になるまで非常にこう、楽しんで待っておったらしいですな。 そしてある時、今度はその男の子は、一人散歩に行って浜辺に遊びに行ったらしいですな。行ったら沖の方から、とにかく小っちゃい甕が流れて来た。で、その甕がいわゆる黄金甕(こがにがーみ)、いわば黄金の甕であったらしい。で、それを拾い上げて、母ちゃん、その子供は自分の家に持って行ったらしいですな。持って行って、それを蓋を開けてみたところが、そこには、その壺の中にはいわゆるその今日の穀物、穀物ですね。米、麦、粟、とうもろこし、全ての種が入ってあったらしいですな。昔はそれはなかったですけども、これはどういうもんだろうと非常にこう不思議がって、その女は自分の庭にもう何とかしてこれを植えてみようという、試験的にとにかく捨てるつもりでこう、庭に放っておいたらしいです。それがだんだんだんだん実って、米やらマージン(黍)やらすべて穀物が非常にできたらしいですな。今度は、そのうちに男は十五になって、いよいよお母さんと約束の通り、「お母さん私もう十五になったから、私のお父さんの行方と、名前、居所知らせてくれ。」と言ったらしいですな。そしたら今度は、男の子は、そのお母さんが作った食べ物をまた元の壺に入れて、「あんたのお父さんは、これこれという人だから、しかし、お前に会ってくれるかくれないかは分からんけども、まあとにかく、これを持っていってお父さんに会ってくれ。」と、お母さんがこれをしきりに諭して、子供にやったらしいですな。で、その子供は、それの話を聞いて、自分のお父さんは国王であるということを聞いて、勇気づけられて今度は、今の首里に国府に行ったらしいですな。まあもちろん、今でもそうですけども、昔もとにかく番兵がおりまして、そこは門を閉ざしてなかなか中に入れないし。で、子供は、自分はとにかく国王であるという事をちゃんと心に決めてるんだから、もうゆうゆうと、とにかくそこに、どうしても入るちゅう事を、とにかくお父さんに会えるちゅう事を言って元気にその門に行ったらしいですな。その門兵は何と言ったかと言うと「君はどこから来たか。」と、「実はこれこれで、田舎から来たけども、私の、王に会わしてくれ。」と言ったらしいですな。ね、国王に会わせてくれと。「お前ごときが、子供のくせに王に会わせるわけにはいかん。」と、早速追い返されたらしいですよ。「追い返されても、私は死んでも、一週間十日でも、あんた方が会わすまではどうしても帰らない。一応王に会って初めて、私はあんたらの事を私は打ち明けてやるから、とにかく会わしてくれ。」となんぼ嘆願しても、子供のくせに、身なりも汚いから、絶対合わす事できないと、でそれを、拒んだけども。で、その熱心さに今度は門兵の方もほだされて、じゃあ一応とにかく、顔だけは見せてやるちゅう事で、いよいよお取り次ぎして、まあ王に会う事ができたらしいですな。そしたら今度は王もこれは不思議な子供だというんで、子供のくせに会うというのは、とにかく最も勇気のある子どもだ、一応会ってみようちゅう事で。とうとう王もその子供の熱心にほだされて会う事になったんだが。いよいよ、とにかく正座し話をした。第一に答えた後の質問は何と言ったかと、その子供ね。「王様、この世の中に人間に生まれて、おならを出さない人がおりますか。」と、早速それを言うたんですね。その子供はね。王は何と言うたかというと、「いや、とにかく世の中に生まれて、人間として、生を持つ動物では、誰しもおならを出すんだけども。おならを出さない動物がおるか、人間もましてはそうですけども。」ちゅうと、「そんな馬鹿な事があるか、皆おならは出る、それを出ないのはおかしい、病気だ。」と(王は言った)。「それなのに、私のお母さんはね、おならを出した関係で、母は王のお側の人だったけど、今では自分の生まれ故郷に帰されて一人寂しく暮らしているけども、昔の事を考えて、十五年前の事を考えてごらんなさい。」とそう言ったらしいですな。で、王もしばらくずっと、「ああ十五年前に、これこれこういう事があったね。」ということを早速思い出して、「あんたのお母さんは、お母さんの名前を言ってみなさい。」と言ったらね。これこれ、何の名前であると言う事を聞いて、聞いたけどもまあおそらく王もその子供の意見にね、非常に感服して「とにかくお母さんはまだ元気か。」と聞いたら「元気です。」「じゃあ、私が悪かったから、今度はお母さんを早速呼んで一緒に暮すから。」と言って、こう共に仲良く、もっと仲良く暮したらしいですけどもね。それが、そのまあ、おならの出たという原因で離縁された話ですけども。で、また持って来たその壺の中には「これは私のお土産だから、私のお母さんが、ちゃんと海から流れてくる壺に入った種を庭に撒いたら、これぐらいできておるから。確かに将来は琉球の為になるから、これをいっぺん試験的にやってみて、して下さい。」と百姓に命じて、それを植えさせたらしいですな。で、それから、今度はその苗が実って、とにかく沖縄の穀物が盛んになったと。まあそれが、おならの壺になっているという。
| レコード番号 | 47O374323 |
|---|---|
| CD番号 | 47O37C188 |
| 決定題名 | 黄金の瓜種(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 玉木恵優 |
| 話者名かな | たまきけいゆう |
| 生年月日 | 19070708 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県与那城村伊計 |
| 記録日 | 19770508 |
| 記録者の所属組織 | 読谷村民話調査団 |
| 元テープ番号 | 読谷村大木T05B01 |
| 元テープ管理者 | 読谷村立歴史民俗資料館 |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 読谷村民話資料集13 大木・長田・牧原の民話P131 |
| キーワード | 王,本妻,妾が欲しい,非常にきれいな女,津堅の島,御殿でお祝い,王の誕生日,おなら,王は非常に怒った,妊娠,男の子,黄金の甕,穀物,門兵,一緒に暮す,おならの出たという原因で離縁,おならの壺 |
| 梗概(こうがい) | 昔、琉球時代のことですけど。ある王が、本妻はおるけど、どうしても後の妾が欲しいということで。自分の部下に命じて、琉球国から非常にきれいな女を、自分の妾にできるような女を探したらしいけど。で、その部下は琉球一般を探していたところが、とうとう津堅の島に、とても美麗な女の子がおったらしいですがな。そしたら、その使いの者は早速その王に対して、きれいな女がおるちゅう事を強調してしまったら、早速連れて来いという事になりまして。で、早速連れて行ったら、王も非常に気に入って、その女を愛したらしいですな。そしたらそこには本妻もおるし、本妻との間には子供がまだできてなかったらしいですな。そしたら王も、とにかく非常に気に入って、もう政治はおろか、すべてサンゲーの事ももうほったらかしで、いつもその女と遊ぶ事だけしか考えてなかった。で、政治も乱れて、世の中も乱れてしまったらしいですね。ある時、王の誕生日にその女を迎えた。で、大きな御殿でお祝いする事になったらしいですけども。で、昔から王というのは一夫多妻の方で、妻一人でなくって、今度は女官とかいろんな妾がたくさん付いておったらしいけども。その嫉妬のあまり、その本妻が、これはどうしてもその女を取り除いていかなきゃいかんと。今までは自分を愛してくれたけども、その女が来てからはもう、自分には触れようとしないから、どうしたらその女をお城から追い出すかという事をいつも日々それを考えておったんです。で、相談の結果、どうしたらいいかという事をある女同士考えて、で、来たるいつ何日の王の誕生日に女が出るから、その時を利用して何とか訴訟を起こして、早速追い出そうということで協議は帰結したらしいですね。いよいよその誕生日を迎えて、とにかくやって。その式順が決まり、座る場所もちゃんと決まっておったらしいですな。で、案の定、正妻は別として、王はいつも自分が可愛がっておるその津堅から来た女を相手にして酌をしてとることになっていたらしい。で、それを見た本妻や別の女は、なおさら嫉妬に燃えて非常に怒ったらしいですけども。んで、その悪辣な方法はどうするかとこれを帰結したら、じゃあこうしようという事になりまして。で、その悪法は、今日は誕生日だから、どうしてもその女が王にお酌をするでしょうから、で、その時に誰か出したくないおならでもひとつやってくれんか言うたわけ。やったらしいですな。で、その時、王もたしか怒って早速その場で、その女をまた元の津堅の島へ帰してくれるだろうちゅう事になりまして。いよいよ、誕生の祝いもまっ盛りとなって、まあ案の定、その話の通り、いよいよ女が王に対して酌をする時に、誰かがお酌をする途中に、屁をへったらしいですな、おならを出して。んで、とにかく相手は七、八人で、こっちは一人だから、「今のおならを出した人は誰か。」と王は非常に怒ったらしいですな。今日のこの場所に限って、今日に限ってそんな不承知な事は無礼千万の事をしたちゅうんで、王は非常に怒ったらしいけども。元々四、五人の女の方は話あった結果だから、今の女がおならを出したちゅう事を皆に押し付けたらしいですよ。女は「どうして、私はそんな粗相な事はしていません。」と頑張ったけども、とにかく皆のその多数決で、「お前が今やったじゃないか。」という事を皆にこう言われて。で、泣く泣く、王も怒って、「今まで君は非常に私が可愛がってきても、場所柄、こんな粗相を起こすというのは、とにかく田舎者のくせに。」と、非常に怒って早速帰す事になったらしいですね。そして、泣く泣く、とにかく船に乗せて、また元の生まれ故郷の津堅の島に行ったらしいですよ。で、幸いにして、帰す時にその女は身重になっておったらしいですな。妊娠しておったらしいですよ。で、その女は国をあげての、津堅の島をあげて、非常にこう見送りもして、盛大に送ってやったけども。まあとにかく、また田舎者だからまた帰されたという事は、国の方でも非常にこう落胆してしまって。その女は、しょっちゅう一人暮らしで、悔しがって、一人暮らしておったらしいですな。その女は、帰された時は、こうおめでたをして、妊娠しておったらしいです。女は、せっかく国をあげてのお見送りと、また今度は帰されたとの悲観からもって、いつも一人暮らしておったらしいですな。そうして、毎日毎日、暮らしている間に、とにかくこう十月十日(とつきとおか)になりまして、とうとうその女は、男の子を生む事になりました。で、言わばそれが、その人が琉球王の後継ぎになるわけです。本妻とは子供ができなかったそうですけども、その女とはちゃんと子供ができて、琉球王の後を取ったちゅう話だけども。で、そのいきさつというのはだんだん子供が成長するにしたがって、周囲の友達から、父無し子として非常にいじめられたそうですな、その男の子は。で、お母さんはそれを聞く度に、非常にこう心が焼けて。で、「今はとにかくそういう事言う(時)じゃないから、いつかはその事が表われるから、その時まで辛抱して待っておけ。」と、いつも子供を諭しておったらしいけども。で、「そのいつかとはいつになるか。。」と言うと、「あんたがね、十五になったら必ずあんたのお父さんの行方、また誰々ということは名前を告げるから、その時まで十五になるまでは、とにかく辛抱して人が何と言おうと待っておきなさい。その時には、お母さんは早速知らしてやるから。」ちゅうて。で、その子どもも、お母さんの言う事を聞いて、十五になるまで非常にこう、楽しんで待っておったらしいですな。 そしてある時、今度はその男の子は、一人散歩に行って浜辺に遊びに行ったらしいですな。行ったら沖の方から、とにかく小っちゃい甕が流れて来た。で、その甕がいわゆる黄金甕(こがにがーみ)、いわば黄金の甕であったらしい。で、それを拾い上げて、母ちゃん、その子供は自分の家に持って行ったらしいですな。持って行って、それを蓋を開けてみたところが、そこには、その壺の中にはいわゆるその今日の穀物、穀物ですね。米、麦、粟、とうもろこし、全ての種が入ってあったらしいですな。昔はそれはなかったですけども、これはどういうもんだろうと非常にこう不思議がって、その女は自分の庭にもう何とかしてこれを植えてみようという、試験的にとにかく捨てるつもりでこう、庭に放っておいたらしいです。それがだんだんだんだん実って、米やらマージン(黍)やらすべて穀物が非常にできたらしいですな。今度は、そのうちに男は十五になって、いよいよお母さんと約束の通り、「お母さん私もう十五になったから、私のお父さんの行方と、名前、居所知らせてくれ。」と言ったらしいですな。そしたら今度は、男の子は、そのお母さんが作った食べ物をまた元の壺に入れて、「あんたのお父さんは、これこれという人だから、しかし、お前に会ってくれるかくれないかは分からんけども、まあとにかく、これを持っていってお父さんに会ってくれ。」と、お母さんがこれをしきりに諭して、子供にやったらしいですな。で、その子供は、それの話を聞いて、自分のお父さんは国王であるということを聞いて、勇気づけられて今度は、今の首里に国府に行ったらしいですな。まあもちろん、今でもそうですけども、昔もとにかく番兵がおりまして、そこは門を閉ざしてなかなか中に入れないし。で、子供は、自分はとにかく国王であるという事をちゃんと心に決めてるんだから、もうゆうゆうと、とにかくそこに、どうしても入るちゅう事を、とにかくお父さんに会えるちゅう事を言って元気にその門に行ったらしいですな。その門兵は何と言ったかと言うと「君はどこから来たか。」と、「実はこれこれで、田舎から来たけども、私の、王に会わしてくれ。」と言ったらしいですな。ね、国王に会わせてくれと。「お前ごときが、子供のくせに王に会わせるわけにはいかん。」と、早速追い返されたらしいですよ。「追い返されても、私は死んでも、一週間十日でも、あんた方が会わすまではどうしても帰らない。一応王に会って初めて、私はあんたらの事を私は打ち明けてやるから、とにかく会わしてくれ。」となんぼ嘆願しても、子供のくせに、身なりも汚いから、絶対合わす事できないと、でそれを、拒んだけども。で、その熱心さに今度は門兵の方もほだされて、じゃあ一応とにかく、顔だけは見せてやるちゅう事で、いよいよお取り次ぎして、まあ王に会う事ができたらしいですな。そしたら今度は王もこれは不思議な子供だというんで、子供のくせに会うというのは、とにかく最も勇気のある子どもだ、一応会ってみようちゅう事で。とうとう王もその子供の熱心にほだされて会う事になったんだが。いよいよ、とにかく正座し話をした。第一に答えた後の質問は何と言ったかと、その子供ね。「王様、この世の中に人間に生まれて、おならを出さない人がおりますか。」と、早速それを言うたんですね。その子供はね。王は何と言うたかというと、「いや、とにかく世の中に生まれて、人間として、生を持つ動物では、誰しもおならを出すんだけども。おならを出さない動物がおるか、人間もましてはそうですけども。」ちゅうと、「そんな馬鹿な事があるか、皆おならは出る、それを出ないのはおかしい、病気だ。」と(王は言った)。「それなのに、私のお母さんはね、おならを出した関係で、母は王のお側の人だったけど、今では自分の生まれ故郷に帰されて一人寂しく暮らしているけども、昔の事を考えて、十五年前の事を考えてごらんなさい。」とそう言ったらしいですな。で、王もしばらくずっと、「ああ十五年前に、これこれこういう事があったね。」ということを早速思い出して、「あんたのお母さんは、お母さんの名前を言ってみなさい。」と言ったらね。これこれ、何の名前であると言う事を聞いて、聞いたけどもまあおそらく王もその子供の意見にね、非常に感服して「とにかくお母さんはまだ元気か。」と聞いたら「元気です。」「じゃあ、私が悪かったから、今度はお母さんを早速呼んで一緒に暮すから。」と言って、こう共に仲良く、もっと仲良く暮したらしいですけどもね。それが、そのまあ、おならの出たという原因で離縁された話ですけども。で、また持って来たその壺の中には「これは私のお土産だから、私のお母さんが、ちゃんと海から流れてくる壺に入った種を庭に撒いたら、これぐらいできておるから。確かに将来は琉球の為になるから、これをいっぺん試験的にやってみて、して下さい。」と百姓に命じて、それを植えさせたらしいですな。で、それから、今度はその苗が実って、とにかく沖縄の穀物が盛んになったと。まあそれが、おならの壺になっているという。 |
| 全体の記録時間数 | 11:12 |
| 物語の時間数 | 11:12 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |